FCC、コムキャストの「ネット中立性」違反を決議
FCC(連邦通信委員会)は、ケーブルオペレーターでインターネットサービスも行っているコムキャストが容量の大きなファイルを送る消費者のインターネットスピードを故意に遅くしたことは、違反であるという決議を行った。
コムキャストはビットトレントといった特定のファイル交換サービスのトラフィックを遅くしていたもの。
【画期的決議】
これが「ネットの中立性」の原則に違反したかどうか、またケーブルや通信会社が消費者のインターネット利用をどの程度コントロールできるかという点において、初のケースであったため、今回のFCCの決議の行方を政府関係者やテレビ、娯楽、ケーブル業界、、消費者、IT業界ら皆が注目していた。
FCCの投票は、共和党のマーチン委員長と民主党のコップス委員、アデルスタイン委員らが「違反とする」に賛成。賛成3票対反対2票という結果であった。
【罰金はなし】
FCCはコムキャストに罰金を課さなかったが、今後このような処置を停止するよう要請、そしてコムキャストのネットワーク管理を見直するよう命令した。
コムキャストはインターネットトラフィックを故意に遅くしたことは認めているが、原則に違反したとは思わないと反論しており、FCCの判断を不服としており、何らかの法的措置をとることを検討している。
*ネットの中立性について
数年前、大手電話通信会社が階層分けしたインターネットシステムを作ろうとしたことに端を発し、回線供給側と使用者との間でインターネット規制についての論争が巻き起こった。膨大なネットワーク容量を使っているグーグルなどは、階層分けシステムができるとより高いネットワーク使用料を払わなくてはならなくなり、そうなると技術革新が滞り、消費者に不利益が生じると主張、一方、回線供給者は、ヘビーユーザーが一般顧客のトラフィック速度を妨げていると主張。両社間でいまだ大きく取りざたされている問題である。
最終更新:2008年08月15日 06:15