ウィルミントン、他都市に先駆け、米国初のDTV都市に
ライト兄弟が最初に飛行機で飛んだことで知られるノースカロライナ州ウィルミントンが2008年9月8日正午、全米で初のデジタルテレビ移行都市になった。
ウィルミントンは今年、米連邦通信委員会(FCC)が早期デジタル化移行を実施したい都市を募った際、5月8日に自発的に名乗りを上げた。
実はFCCのマーチン委員長の故郷でもある。
【市役所でセレモニー】
午前10時、ウィルミントンの市役所前に米民間放送連盟(NAB)のレア会長、FCCのマーチン委員長、地元テレビ局関係者をはじめ、連邦、州、市の担当者がセレモニーのために集まった。
正午ちょうどにマーチン委員長とウィルミントン市長が、デジタル化を象徴する模型の大型スイッチをアナログからデジタルに押し上げて歴史的な一瞬を祝った。
同時にウィルミントンの4つのテレビ局はそれぞれアナログ波を停止した。なお公共テレビ局は緊急事態に備えアナログ波も継続送信している。
式典の壇上には4つのモニターが置かれた。デジタルチューナー内蔵のテレビ、ケーブルか衛星に繋がっているテレビ、デジタルチューナーが接続されたテレビ、そして最後に「普通のアナログテレビ」の4つである。このうち「普通のアナログテレビ」だけが正午に砂嵐状態となり、何故映らないかがテロップで説明された。
【アナログ視聴は7~8%のみ】
ウィルミントンのテレビ世帯数は19万7760世帯で全米210都市中135位の中規模都市である。
このうち7~8%の約1万4千~1万6千世帯がアナログ波のみでテレビを見ている世帯である(数字は情報ソースにより異なっている)。
全米には1300万世帯のアナログ波のみの受信世帯があるとニールセンは見積もっている。
デジタル化に伴い、NTIA(国家通信情報局)は政府が助成するクーポンの配布を実施中だが、NTIAによると、ウィルミントンでは3万7500世帯が6万9千枚のクーポンを申請し(47%は削除)、デジタル化前日の日曜まで、2万8千枚のクーポンがチューナーの購入に使われたという。
【電話問合わせに対応】
移行直後にウィルミントンのテレビ局4局にはあわせて226件の電話があったという。そのうち全く移行を知らずに「砂嵐状態」に驚いた視聴者は1人のみ。他はチューナーの接続に不備があったりアンテナに問題があった人々であった。
無料ホットラインを設置したFCCには初日に797件の問い合わせがあり、二日目には半減した。
ウィルミントンの消防署隊員は自発的に手伝いを申し出て、依頼のあった家庭に出向き、機器の接続を行ったという。
【97%が移行を認知】
NABによると、移行一週間前に行った調査では、ウィルミントンの97%の世帯が移行を知っていたという。
移行告知のキャンペーンが功を奏したと、関係者は胸を撫で下ろしている。
【経験を活かして】
FCCのマーチン委員長は、ウィルミントンでの経験で重要なことを三つ学んだという。
一つは地元の
★草の根団体の協力、
二つ目はハリケーンなどの
★緊急事態への準備対策、
そして二週間前に1分間のアナログ停波テストを実施した
★テレビ局の決断
であった。
ローカルコミュニティーとの密接なつながりという点については、FCCはウィルミントンでの経験を活かすためにFCCスタッフを、地上波だけに頼る世帯数の多い80都市以上に送り込んで、直接告知活動を行っている。
【30分の停波テスト要請】
マーチン委員長と共にウィルミントンに赴いたFCCのコップ委員は、ウィルミントン以外のノースカロライナ州の民間放送局に対し、移行5ヶ月前にあたる9月17日に、午後6時から30分間、アナログ波を停止するテストに参加してほしいと呼びかけている。
【日本のTV局にびっくり】
ウィルミントンの早期デジタル移行は、全米から注目され、NBCナイトリーニュースやケーブルのCスパンなどが取材に来た上、活字媒体もワシントンポスト、LAタイムス、ブルームバーグニュース、AP通信、テレビジョンウィーク(業界紙)など多数が8日、同地入りした。
Star news
online.comは「その中に、日本のテレビ局が4社も取材に来ていた」と日本の関心の高さを指摘している。
最終更新:2008年09月13日 04:45