上期の広告費減少。第2四半期は2001年以来の落込み
 
今年前半(第1、第2四半期)の米国の広告費は、北京五輪や大統領選挙の年にもかかわらず、昨年同期比で1.6%減少した。また第2四半期だけでは、昨年同期比で3.7%落ち込んでおり、2001年以来の広告業界の景気後退であると、調査会社のTNSメディアインテリジェンス社が発表した。
同社によると、サブプライム問題をうけて、宣伝担当者たちは9月の金融危機以前に広告予算を抑制し始めた。
これから始まるホリデー商戦(11月の感謝祭~クリスマス)が危惧されるが不景気が続けば、広告出稿を例年並に派手に行うか、守りに入るかの決断に迫られる。

【自動車、携帯が削減】
上期で最も広告費を削ったのが自動車業界で昨年比11%減だった。過去3年間、広告費を削減し続けている。
電話通信業界も携帯を中心に9%減となった。
金融業界は今のところ昨年並みだが、クレジットカード業界が広告費を削減している中、消費者向け銀行は預金者を増やそうと広告費をふやしている模様だ。
 
【メディアは成長ストップ】
メディア分野はテレビからインターネットまでの全分野で成長が停滞、特に今年第2四半期はそれが顕著だという。メディアで最も低下したのが新聞の7.4%減、ラジオが6.5%減だった。
テレビ(ネットワーク)は脚本家のストの影響でプライムタイムの視聴率が振るわず2.4%減となった。
一方、ケーブルネットワークの広告売上は3.1%増、シンジケーション(番組販売)は10.2%増と、新エピソードの在庫があったせいで好調だった。
インターネットは、ディスプレイ広告は成長しているものの、これまでのように早いペースではなくなった。動画広告は徐々に市場シェアを増やしてきているが、TV広告を脅かす存在としてはまだ時期尚早の模様である。
屋外広告は8%と成長している。だが16%増だった昨年第3四半期に比べれば停滞気味である。
TNS社は、今年後半は五輪の本番と、し烈な大統領選のおかげで、慎重ながらも楽観視できる状態だ語っている。

 

最終更新:2008年10月04日 06:17