「やあやあやあ。 僕が、かの有名な食客世界の三冠王岩崎さ。 岩崎仲俊(いわさき なかとし)。仲良くしてくれよ、あはは。 うんうん食客というのはね、人の家に住み込んで申しわけ程度の仕事をして食べさせてもらっている人の事だよ。 要するに居候だね。僕の場合は、そのプロかな。 そうだ。お近づきのしるしに何かあげよう」 安産のお守りをもらった。 「あ、それ借金で買ったものだけど、気にしないでいいよ」 「葉月さんとは会ったかな。 葉月さんは偉いからねえ。うんうん、頭が下がるよ。 彼女には心から幸せになって欲しいね。 僕は本当に彼女がいなかったら、今頃どこかで野たれ死んでいるだろうしね。 僕が小さくて家族が誰もいない時、手を引いて家まで連れて行ってご飯を食べさせてくれたのは葉月さんなんだよ」 一方その頃、山口葉月の家…。 岩崎「葉月さん。お金貸してください」 山口「しょうがないですねぇ。はい」 岩崎「ありがとう。恩にきます」 山口「私以外の人からは、あんまりお金借りたら駄目よ」 岩崎「みんな葉月さんほど優しくないから、大丈夫だよ」 山口「そう…? あ、いや、それならいいんだけど。 それから無駄遣いしないようにね」 岩崎「わかりました。誓ってこのお金はみんなの役に立てます」 山口「よし。…じゃあ、いってらっしゃい」 岩崎「はい」 岩崎は、何か熱心に書いている。 「これかい? ああ、恋文だよ。 うんうん、恋文というのはね、あなたが好きですという内容を文学的、修辞的にあらわしたものだよ。 要するにラブレターだね。え、誰に出すかだって? あははは。 僕がそんな他人に迷惑かける事、やるわけないじゃないか。 これは頼まれものだよ、内職だね。 うんうん、内職というのはね…。 え、説明最後まで聞かなくてもいいのかい?」 岩崎は、何か熱心に書いている。 「うん? 今日も恋文を書いているわけさ。 最近は女の子からの依頼が多くてねえ」 &color(gray){(頼んだら書いてくれる?)} 「もちろんだよ。宛名はだれだい?」 &color(gray){(岩崎…)} 「ふうん。僕と同じ苗字か。…?」 岩崎は、あなたの顔を見て表情がかわりました。 「…人をからかうのは、やめた方がいいと思うよ」 &color(gray){(あ、いや、やっぱいいや)} 「うんうん。そういう事もあるよね。 気が変わったら声かけてよ」 &color(gray){(儲かるの?)} 「いや、お金はとってないし。 まあでも、幸せな人が増えるなら、これくらいの事はやってもいいんじゃないかな」 あなたが岩崎の顔を見ていると、岩崎はあいまいに笑って口を開いた。 「人の心をのぞくのは、いけないよ」 そして、歩き去った。 「僕に好かれるというのは、すごい迷惑だと思うよ。 僕は借金が多いからね。…僕は人に迷惑な事はしない。 もう十分迷惑をかけているからね。 だから、これ以上迷惑をかけるつもりはないよ」 「優しくしてもらって悪いけど、僕は人を好きにはならないと思うよ。 その人に、迷惑をかけるから」 &color(gray){(誰か本命でもいるの?)} 「…僕が? まさか。 それこそ本当に迷惑な話だよ。その人にとっては。 …待って。 僕は遠くで、君の事を思っている。それは事実だ…雨の日は特に。 …それだけだよ」 &color(gray){(そんなつもりはない)} 「そうか。じゃあ、いいんだ」 岩崎は、誰か知らない人と話している。 話し終わったようだ。こちらに近づいてくる。 「ああ、彼か。 借金返せと言ってきた人で、さっきご飯をおごってもらったんだ。 うんうん、世の中はいい人が案外多いものだよ。 僕から言わせてもらえば、悪口言えるのはその人とつきあった事がないからだよ。 人間、知らない事に限って、責任ない事を言うんだ」 岩崎は、誰か知らない人と話している。 話し終わったようだ。こちらに近づいてくる。 「ああ、彼女かい? 昨日泊めてもらったんだ。世の中、いい人が多いもんだよね」 &color(gray){(何をした!?)} 「掃除と洗濯だよ。 うんうん、もちろん僕にも性欲はあるんだけど、変な事はしないよ。 いや、出来ないといっていいね。 だって次にご厄介になる時、面倒じゃないか」 &color(gray){(そうかもねえ)} 「うん。そんなもんだよ」 「僕は約束を守る方だと思うよ。 自分でも相当の自信がある。 なんといっても葉月さん、約束破ると悲しそうな顔するからねぇ。 僕が小さい時、あれほど怖いものはなかったね。 いや、今も怖いな。 銃弾や砲弾の雨あられを怖いとはあまり思わないけど、 葉月さんが悲しい顔すると思うと何も手につかなくなるよ」 「色々なところで、色々な話をきいた。多分、僕が役に立てると思う。 僕は、誓ってみんなの役に立てると言った。僕は約束を守る。 それだけが僕のいいところだ。弾薬を手配しておいた。好きに使ってくれ」 弾薬の補充が行われました。 岩崎仲俊はいつもどおりだ。 &color(gray){(ねえ、泊まりに来ないの?/元気にしてる?)} 「うーん。 僕も色々命を狙われているからねえ。 ああ。 でも心は、いつもあなたの傍にあるよ。 いや、ほんとほんと。嘘いつわりなく。 まあ、少しでも平和になったらまっさきに遊びに行くよ。 うん。それはいいな。そうしようそうしよう」 &color(gray){(※イベントクリア)} 「お金を貸してください」 &color(gray){(はい。無駄遣いしないようにね)} 「わかりました。誓ってみんなの役に立てます」 &color(gray){(駄目。こっちもピンチなんだ)} 「そうかー、そうだよね。いやいや、ごめんごめん。 うんうん。 僕が苦しい時は他人も苦しいとはわかってるんだけど。 僕は甘えん坊だからすぐ人に頼ってしまうんだ」 &color(gray){(政治家の色紙)} 「うん。 この間、泊まった折に政治家の先生に色紙もらったんだけど。 あんまりありがたくないよね」 &color(gray){(本音)} 「人間というものは本音を言わないものだよ。 本音というものは、醜いからね。 僕は子供の頃、色々な大人の本音を見てきたから、良く知っているんだ。 僕は親に捨てられて、色々な人の厄介になったからね。 子供相手と思って、良く目の前で色々言われたなあ。 ああ、でも本音が醜くない子が一人、いた。 うんうん。おかげで僕は絶望せずにすんだ。 人間って奴は絶望さえしなければ、どんな闇の中でも歩けるものだよ」 &color(gray){(夜遊びはいけない)} 「うんうん。僕は夜遊びはいけないと思うな」 岩崎はそういうと、あなたの手を掴んで歩き出した。 あなたは自宅に連れて行かれた。 「あんまり夜は出歩かない方がいいと思うよ。 最近、物騒だからね」 岩崎はそう言うと、自分は外に歩いていった。 そして、時が過ぎた…。 &color(gray){(泊まりに来る)} 「やあやあやあ、今日は僕が泊まりに来たよ」 &color(gray){(そんなのお前しかいないよ)} 「そうなのかい? こんなにいい家なのにね。みんなバカだなあ。 いやー。今日も働きづめでお腹ペコペコだ。 食べ物があるとうれしいんだけど」 &color(gray){(はいはい)} 「いやー。ありがとうありがとう。いい人だ。 あ、いただきまーす」 数時間後。 「おやすみー」 &color(gray){(寝れない…)} 岩崎は気持ちよく寝ているようだが… あなたが「はぁ…。」と言うと不意に岩崎が目を開いた。 「眠れないのかい? そうか。わかった。じゃあ、お話しよう」 岩崎は、突然一つの恋物語を語り始めた。 自分を駄目と思っている、片思いの男の話だ。 「…雨が降って寂しい時も、相手を思えば心が安らぐ。 僕は思うんだけど、故郷というものは心の中にあるんだよ。 その人の故郷は、その人の思い出の中にあったんだねえぇ」 &color(gray){(それ、岩崎のこと?)} 「さあ。どうだろうね」 そして、なんだかんだで夜が明けた…。 &color(gray){(話を聞きながら眠る)} 岩崎はにっこり笑うと、自分も眠りはじめた。 そして、夜が明けた…。 &color(gray){(ぐっすり眠る)} 非常に静かな夜でした。 そして、夜が明けた…。 &color(gray){(え、もう食べちゃった)} 「そうかぁ。いやー残念だ。 ここのご飯はおいしくて有名なんだけど。 じゃ、風呂に入ってくるね。 あ、場所は知ってるから気にしないでいいよ」 岩崎は、そう言うと風呂に行った。 そして、なんだかんだで夜が明けた…。 &color(gray){(ごめん、今ちょっと…)} 「あ、そうなんだ。ごめんごめん。 うんうん、そういうことあるよね。 ああ、じゃあ僕は公園で寝るから。気にしないで」 岩崎は、そういうと出て行った。 そして、夜が明けた…。 &color(gray){(岩崎ED)} 僕ぁ、その日はすぐに僕が家だって勝手に決めているところに帰りましたよ。 いや、しばらく行かなかったら、家主に凄く悲しそうな顔をされてね。 今思えば、それに惚れたんだなぁ。 (108警護師団に配属されていた学生兵の手記より) あなたが料理をしていると、家のドアを遠慮がちに叩く音がする。 火を止めて慌てて出ると、岩崎仲俊だった。手に、土産の寿司を持っている。 岩崎「やあ。ちゃんと約束どおり帰ってきたよ。 いや、しばらくあちこちに行く必要はないから、しばらくはここにいるんだけどね。 わー。ドアしめないで! ほんと、ほんとだから。いや、もう本当。嘘いつわりありません。 僕ぁ、仕事以外じゃ本当の事しか言わないんだよ。好きです、大好き。 ……いや……だから本当だってぇぇぇ……」 結局、許すまで5分ほどかけてやりました。 これまで待ってたので、これくらいはいいよね。