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著者不詳
「ずっとついて来ていたのならば、何をしていたかも見ていたのだろう?」 竹千代は、意地の悪い国千代を責めるように言った。 「…ごめんなさい。でも、国千代は、兄上を泣き虫だなどとは思わぬ」 「…は?」 意表をついた弟の答えに、竹千代はまぬけな声をもらした。 泣き虫だって? 「兄上は、ほんに悲しきことがあられたから泣いておったのじゃ、国千代だったら我慢できないような悲しきことがあられたから…、国千代はそう思う」 国千代は小さな拳を胸の辺りで握りしめて、そう一気に言った。
…そうか、こいつ、おれのあえぎ声を泣き声だと勘違いしているのだな。 「馬っ鹿だなあ」 「え?」 思わず呟いた言葉に、国千代は目をぱちくりさせた。 その可愛い顔に、竹千代の嗜虐性が突如として燃え上がる。 「ば、か、って言ったんだ」 竹千代は弟を組み敷いた。 しかし力は国千代の方が強いため、すぐに押し戻されそうになる。 竹千代は全体重をかけて国千代を押し倒した。 すかさず弟の首筋を舐める。 「ひぁ…」 今まで聞いた事のないようなかん高い声。 竹千代は思わず弟に口付けをした。 地下牢に、淫らな水音が響く。 その小さな唇と唇が透明な糸を引いて離れたときには、国千代の瞳は洸惚にとろけていた。
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