原著論文
Varenicline versus transdermal nicotine patch for smoking cessation: results from a randomised open-label trial.
H-J Aubin, et al. Thorax 2008 Feb; 63:717-724.
論文の背景
新しい禁煙治療薬のバレニクリンは、プラセボや持続放出型ブプロピオンよりも有意に効果があることが証明されている。バレニクリンを使った12週間の標準的治療と、経皮的ニコチンパッチを使った10週間の標準的治療(NRT:nicotine replacement therapy)の、禁煙に対する効果を比較してみた。
疑問のタイプ:治療
論文デザイン:RCT
マスキングはオープン
論文のPECO
- P(patient):喫煙者
- E(Exposure):バレニクリン1mgを2回/日 12週間 376人
- C(Comparison):ニコチンパッチ 21mg/日から7mg/日まで減量 10週間 370人
- O(Primary Outcome):少なくとも1回は治療を受けた患者に対して、治療の最終4週間に、生化学的に確認(呼気CO<10ppm)された自己報告の継続禁煙率
二次アウトカム:治療後24週と52週での自己報告の継続禁煙率、喫煙の欲求、離脱症状、喫煙による満足度
論文の妥当性
- ランダム化か?:されている
- ITTか?:されていない バレニクリン群378人、NRT379人でランダム割り付けされたが、治療を受けたかった人がそれぞれ2人と9人いたため、それぞれ376人と370人で解析がされた。
結果(一次アウトカムについて)
|
バレニクリン376人 |
NRT群370人 |
オッズ比(95%CI) |
NNT(95%CI) |
| 治療の最終4週間での継続禁煙率 |
55.9%(210人) |
43.2%(160人) |
1.70(1.26-2.28) |
8(6-19) |
| 52週間を通しての継続禁煙率 |
26.1%(98人) |
20.3%(75人) |
1.40(0.99-1.99) |
有意差なし, p=0.056 |
補足
バレニクリン群で有意に、喫煙の欲求、離脱症状、喫煙の満足度は低かった。
もっとも多い副作用は嘔気で、バレニクリン群37.2%、NRT9.7%。他にも副作用が多いことは注意しておきたい。
バレニクリンでうつ病や自殺企図など脳神経系への副作用の報告もあるようである。
この研究でもバレニクリン群で1人自殺企図が出ている。処方の前にそのような既往がないかは気をつけたい。
あとは研究自体オープンラベルであり、ITTも厳密にはされていないため、バイアスの入る余地がある。
| 副作用 |
バレニクリン群 |
NRT群 |
| 嘔気 |
37.2% |
9.7% |
| 不眠 |
21.3% |
19.2% |
| 頭痛 |
19.1% |
9.7% |
| 異常な夢 |
11.7% |
8.4% |
| 便秘 |
8.2% |
2.4% |
| めまい |
7.4% |
3.5% |
| 注意力低下 |
6.4% |
1.4% |
| 嘔吐 |
6.1% |
1.1% |
| 下痢 |
5.9% |
2.7% |
| 鼓腸 |
5.9% |
1.4% |
| 味覚障害 |
5.9% |
1.1% |
| 上腹部痛 |
5.6% |
1.1% |
| 倦怠感 |
5.6% |
2.4% |
最終更新日 2008.12.14
評価者 DK
最終更新:2008年12月14日 22:35