原著論文
Rhythm control versus rate control for atrial fibrillation and heart failure.
Denis Roy, et al. N Engl J Med, 2008 Jun 19;358:2667-2677.
PubMed
論文の背景
心房細動と
心不全のある患者において、洞調律に戻し維持するというのは、よく行われていることである。このアプローチは一つには、心房細動は心不全患者における死亡の予測因子であると示しているデータや、心房細動を抑えることが結果に良い影響を与えるかもしれないというデータに基づいている。しかしながら、このアプローチについてのベネフィットとリスクは十分に研究されていなかった。
疑問のタイプ:治療
論文デザイン:RCT
論文のPECO
- P(patient):左室駆出率が35%以下、うっ血性心不全の既往がある、心房細動の既往のある患者1376人
左室駆出率→6か月未満に行われた核画像、心エコー、心臓血管造影のどれかで計測した値
うっ血性心不全の既往→過去6ヶ月以内に症候性の心不全(NYHAⅡorⅣ)、過去6ヶ月以内に無症状だが心不全で入院した、左室駆出率が25%以下のどれかに当てはまる
心房細動の既往→過去6ヶ月以内に少なくとも6時間以上続いたか電気的徐細動を必要とした1回のエピソードがあった、または過去6ヶ月以内に少なくとも10分続くエピソードがあり過去に心房細動で電気的徐細動をしたことがある
除外基準…12ヶ月以上の持続性心房細動、心房細動か心不全の改善可能な原因がある、ランダム化前の48時間以内に非代償性心不全がある、他の不整脈で抗不整脈薬を使用している、2度または3度房室ブロック、QT延長症候群の既往、房室結節のアブレーションの既往、6ヶ月以内に心移植が予定されている、透析の必要な腎不全、出産可能な女性で妊娠調節できない、余命が1年未満、18才未満
- E(Exposure):リズムコントロール682人
ランダム化した後6週間以内の場合、抗不整脈薬で洞調律にならないなら電気的徐細動をすすめた。組み入れ後3ヶ月以内なら、必要があれば2回目の電気的徐細動を勧めた。その後も心房細動を繰り返すなら、追加の電気的徐細動を勧めた。アミオダロンを洞調律維持に使い、必要に応じてsotalolとdofetilideを使った。徐脈が抗不整脈薬の使用を回避するなら、永久的ペースメーカー植え込みをすすめた。抗不整脈薬への反応がなければ、非薬物治療を紹介することができた。
- C(Comparison):レートコントロール694人
ジギタリス+βブロッカーで、脈拍数を安静時心電図で80/分未満、6分の歩行テストで110/分未満を維持できるようにする。4、12ヶ月とその後は年に1回このテストを行った。薬物治療でレートコントロールのターゲットまで脈拍を調節できなければ、房室結節のアブレーションかペースメーカー治療が勧められた。
二次アウトカム:全死亡、脳卒中、うっ血性心不全の悪化、入院、QOL、治療費、心血管死+致死性脳卒中+うっ血性心不全悪化による死(複合アウトカム)
論文の妥当性
- ランダム化か?:されている
- ITTか?:されている
結果(一次アウトカムについて)
平均追跡期間は37カ月。
|
リズムコントロール群682人 |
レートコントロール群694人 |
ハザード比(95%CI) |
NNT(95%CI) |
| 心血管死 |
26.7%(182人) |
25.2%(175人) |
1.06(0.86-1.30) |
有意差なし |
補足
|
リズムコントロール群682人 |
レートコントロール群694人 |
ハザード比(95%CI) |
NNT(95%CI) |
| 全死亡 |
31.8%(217人) |
32.9%(228人) |
0.97(0.80-1.17) |
有意差なし |
| 脳卒中 |
3% |
4% |
0.74(0.40-1.35) |
有意差なし |
| 心不全悪化 |
28% |
31% |
0.87(0.72-1.06) |
有意差なし |
| 複合アウトカム |
43% |
46% |
0.90(0.77-1.06) |
有意差なし |
12ヶ月以上の持続性心房細動は除外されているので、慢性心房細動患者はこの患者層には直接はあてはまらない。ただ、慢性心房細動患者をリズムコントロールするのは大変な気もするが。。。
最終更新日 2008年10月7日
評価者 DK
最終更新:2008年10月08日 17:30