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心房細動のある日本人で脳卒中の一次予防にアスピリンを処方するのは有害な可能性がある 2006年 Stroke 治療 RCT

原著論文

Low-dose aspirin for prevention of stroke in low-risk patients with atrial fibrillation: Japan Atrial Fibrillation Stroke Trial.
Sato H, et al. Stroke. 2006 Feb;37(2):447-451. Pubmed

論文の背景

心房細動のある患者へのアスピリンの効果は? 非弁膜症性心房細動(NVAF)患者の脳卒中の一次予防に対する抗凝固療法の効果は証明されているが、日本では抗トロンビン療法はあまり行われていない(8%)。抗血小板薬(45%)か無治療(47%)が選ばれることが多い。また、日本では消化管障害や用量依存性の出血リスクを心配して、脳卒中予防では高用量(325mg/日)ではなく、低用量(81mg/日)が選ばれている。

疑問のタイプ:治療


論文の研究デザイン:RCT


論文のPECO

  • P(patient):非弁膜症性心房細動患者
 [患者背景]平均年齢65才、男性約70%、Paf45%、高血圧約40%、高脂血症約23%、喫煙者約30%、糖尿病約15%
        心血管疾患既往約2.5%、心不全約10%、ワーファリン投与歴7-8%

  • E(Exposure):アスピリン投与(150-200mg/day)

  • C(Comparison):コントロール群(アスピリンを投与しない)

  • O(Primary Outcome):心血管死、症候性脳梗塞、TIAの発症

論文の妥当性

  • ランダム化か?:されている。
  • ITTか?:されている。

結果(一次アウトカムについて)

 平均810日フォロー、脱落者アスピリン96人・コントロール89人          
 一次アウトカム:ハザード比(年齢、性別、Paf、高血圧、糖尿病、喫煙、その他調整後のリスク)は1.50(95%CI:0.84-2.70)
         アスピリン投与群の方がラクナ梗塞少なそうだが(0vs4)、TIAが多そう(7vs2)
 ・一次アウトカムの比較(810日でのイベント発症率)
アスピリン投与群 コントロール群 RRI(95%CI) NNH(95%CI)
6.3%(27/426) 5.2%(23/445) 1.23(0.72~2.10) 有意差はなし
アスピリン群で大出血リスクのわずかな上昇が見られたこと、アスピリン群の有益性を証明できる見込みが低いことから、途中で試験中止に

補足

  • secondary outcome(非心血管系死亡、頭蓋内出血、末梢塞栓、大出血):アスピリン群14/426、コントロール群9/445
大出血(致死的出血、入院治療の必要な出血、輸血、ヘモグロビン4mg/dl異常の減少)がアスピリンに多そう(7vs2)

  • アスピリン投与群の結果が悪かったことに対する検討(本文中のdiscussionより)
 ①イベント発症率が比較的低かったため、アスピリンの効果がマスクされてしまったかもしれない。
 ②患者の選択バイアスがあったかもしれない。AHA/ACCガイドラインで抗凝固療法を推奨されているハイリスク患者が含まれるので。
 ③この研究で使用されたアスピリンの量がAHA/ACCガイドラインの推奨(325mg/日)より少ない。
 ④脳塞栓の発症率の高さがアスピリンの効果に影響を及ぼしているかもしれない。
 この研究の大出血や頭蓋内出血発症率は過去の研究より低いが、日本人の脳出血発症率が欧米よりデータ的に高く、検討する必要がある。
 この研究デザインは二重盲検されていないので、いくつかのバイアスの存在を排除できていない。
最終更新:2008年10月07日 22:42
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