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バルサルタン(ARB)は心血管疾患のリスクのある患者でリスクを減らす可能性がある(Jikei Heart study) 2007年 Lancet 治療 RCT

原著論文

Valsaltan in a Japanese population with hypertension and other cardiovascular disease (Jikei Heart Study): a randomised, open-label, blinded endpoint morbidity-mortality study
Mochizuki S, et al. Lancet, 2007 April 28;369:1431-1439.  PubMed

論文の背景

レニン・アンギオテンシン・アルドステロン系を阻害する薬剤は心血管疾患のリスクがあるか、存在する患者で有効である。しかし、アジア人集団においてはこの効果のエビデンスは乏しい。従来の心血管治療にARBであるバルサルタンを追加することで、心血管疾患のある日本人に効果的かを調査した。

疑問のタイプ:治療


論文デザイン:RCT


論文のPECO

  • P(patient):高血圧、冠動脈性心臓病、心不全またはこれらの組み合わせの従来治療を受けている日本人(平均65才、女性34%、血圧139/81くらい、高血圧88%、冠動脈性心臓病33%、心不全11%)
  • E(Exposure):従来治療+バルサルタン(40-160mmHg/日)
  • C(Comparison):従来治療+バルサルタンなし(ARB処方しない)
  • O(Primary Outcome):複合エンドポイント(①脳卒中かTIAでの入院、②心筋梗塞、③うっ血性心不全での入院、④狭心症での入院、⑤解離性大動脈瘤、⑥クレアチニン2倍または透析導入)

論文の妥当性

  • ランダム化か?:されている
  • ITTか?:されている
PROBE法を用いている。

結果(一次アウトカムについて)

追跡期間(中央値)3.1年。研究終了時の平均血圧は両群とも132/77くらいであった。
  • 一次アウトカムの比較
バルサルタン群1541人 従来治療群1540人 RR(95%CI) NNT(95%CI)
複合アウトカム 5.97%(92人) 9.68%(149人) 0.62(0.48-0.79) 27(18-56)

補足

  • 一次アウトカムの複合エンドポイントのうち、入院でみたものとそうでないものに分けてみる。
バルサルタン群1541人 従来治療群1540人 RR(95%CI) NNT(95%CI)
入院でみたエンドポイント①③④ 4.35%(67人) 8.90%(137人) 0.49(0.37-0.65) 22(16-36)
入院以外でみたエンドポイント②⑤⑥ 1.69%(26人) 2.40%(37人) 0.70(0.43-1.15) 有意差なし
  • 死亡に関して
バルサルタン群1541人 従来治療群1540人 RR(95%CI) NNT(95%CI)
全死亡 1.82%(28人) 1.75%(27人) 1.04(0.61-1.75) 有意差なし
心血管死 0.58%(9人) 0.58%(9人) 1.00(0.40-2.51) 有意差なし

  • この試験ではPROBE法で用いるべきではない、「~の入院」がエンドポイントに含まれているため研究デザインとして不適格である。実際に、たとえば「狭心症による入院」は3.4%→1.2%とかなりの違いがあるが、「心筋梗塞」は1.2%→1.1%とほとんど違いがない。

  • またこの論文にはもう1つ大きな問題がある。
 それについては、次の本に詳細が記されている。
 名郷直樹.「人は死ぬ」それでも医師にできること.医学書院


最終更新日 2008年10月9日
評価者 DK
最終更新:2008年10月09日 20:16
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