新ジャンル「錬金術」

全てを染める鮮やかな紅、全てを覆い隠す深い漆黒・・・・・・・・
私の目には、その二元色しか映ってはいなかった…………

黒は嫌い……………………まるで私の存在を否定されているようで
紅は嫌い……………………まるで私の鮮血のようで

ナゼクロイノ?    それは私の存在が消えゆこうとしているからだ
ナゼアカイノ?    それは私の血が体から流れ出ているからだ

あれ……………?向こうに何か見える………………

ああ………そうか…………あれは私の体か………………


そして私は、紅と黒のスパイラルをさらに深く―――――堕ちてゆく――――――――




「っあ!!…………………!!?」

「ハァハァ………………?」

い、今のは何?夢?………いや違う、あれは確かに私の記憶。でも私は………そしてここはどこ?

かなりの汗をかいていたのか、私にかかっていた布はぐしょぐしょになっている。

息がある程度落ち着いてきたので辺りを見回してみた。
どうやらどこかの小屋のようだ。

カッカッカッカッ…………

「っ!!」

誰かが来る!!
今のご時勢、世の中は荒れに荒れまくっている。
どこへ行っても戦争戦争、自分のみは自分で守るのが鉄則だ。
私の装備と言えば薄っぺらい布一枚、ほかは何も着ていない。
まあ、相手が3、4人くらいなら何とかなるが。私はとっさに身構える。

ガチャリ………

しかし、ドアを開けて入ってきたのは、無骨な醜いオークでもなく、大振りな剣を携えた鎧の男でもなく……………。

「あっ、もう起きたんですか?」

小ぶりな女の子だった。

「フンフンフ~ン」

あまりにも想像とかけ離れていたために、キョトンとしている私を後目に女の子はしょっていたリュックを開け何かしている

「はい、まだ慣れていないかもしれませんが、お薬です。」
「あっ、どうも…………ってちがーーーう!!」

あまりにもヘンテコな展開にやっと追いついた私の脳が精一杯の声を発した。
うわぁ、女の子引いてるよ………。

「なんなのよ、これは!!一体どういう事なのよ、これは!!ってゆうか私は…………。」

勝手に叫んでおきながら私の脳は回想モードに入ってしまった。

~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

その日私は、いつもどうり洞窟の奥でグダグダとしていた。やる事なんていっても、私はただテキトーにここに居ればいいし、たいていのことは配下の魔物がやってくれるし。
大体私の存在価値なんてものは、よく言えば象徴、悪く言えばマスコットのようなものだし。
でもまあ、そんな暮らしも嫌じゃなかったし悪くも無かった。
そう――――――――――奴が現れるまでは。

風の噂や配下からの報告で聞いてはいたが、見るのは初めてだ。

そりゃ当然だろう、魔族にとって『彼』と出会うのはイコール死を表すのだから。
そうそいつの名は『勇者』、無機質な大剣を携えた『悪魔』―――――――――。

だが私とて魔王様からこの領域を任されたもの、配下の魔物とは一線を画した存在。いくら勇者と言えどそうやすやすとやられる私ではない。

舞い散る砂塵、吹き飛ぶ瓦礫、きらめく剣閃、荒れ狂う劫火。

私と勇者との戦いは熾烈を極め、一昼夜にも及んだ。

だけど…………。

かたや今までに数多の魔物を倒し、死線をくぐり抜けてきた勇者、かたや洞窟の奥で食っちゃ寝食っちゃ寝してきた私………こらそこ、ヒキコモリとか言うんじゃない。
長く戦っていれば、ボロが出る。

まさしく刹那というものか、私は一瞬の隙で首を刎ね飛ばされてしまった。

~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

いやー、まいったまいった。まさかドラゴンである私の首を一撃で刎ねるったぁ…………

ん?……………ドラゴンである私?


ちょっとまって、ドラゴンって言えばRPGとかに出てくるあのでっかくてガオーって…………。
私もドラゴンですから体長はかるく10mは越えていて………アレ?ここ巨人の里?さっきの女の子私と同じくらいあったよ!?
ハッ!?もしかして私が小さくなっちゃったとか?

「何で私が小さくなってるのぉーーー!!?」
「うわっ!?」

ちがう!!いや、間違っちゃいないけど違う!!
私が小さくなったとか、どうでもいいんだよ!!私首刎ねられたよね?私死んだよね?ここは天国ですか?とかそういうこと聞けよ私!!いや、やっぱり何で小さくなったかも気になる。
って言うかアンタも「うわっ!?」じゃなくて質問に答えなさいよ、いや、でも黙ってたのにいきなり叫べばびっくりするか。そういや、私ドラゴンなのによく普通に接しているねアンタ。

「まずは自分の腕を見てみればいいんじゃないかな?」

自分の腕を見ろだぁ~?そんないつも見ているものだし、どうせ鱗がびっしりついた丸太のような腕とながーい爪が生えているんでしょ………。

「…………………………………無い。」

ガバッ!!

間抜けな声をあげた後、私はベットを飛び出し窓ガラスに自分自身の顔を映した。

「無い!無い!!無い!!!」

窓ガラスに写った私の顔には、ドラゴンの象徴と呼べるものは何も無かった。
鋼より硬い鱗も、兵士の鎧もたやすく切り裂く爪も、なが~い髭も、鋭い角も!!
いまや目の前にある顔は、水のみ場で見るいつもの顔とは違う、女の、そう人間の女の子の顔なのだ。

もうね、まったくワケがわからんのですよ。死んだと思ったら、人間の美少女に生まれ変わった?
そんな、ファンタジー小説じゃあるまいし。この私の、やり場の無い感情は近くにいた女の子に向けられた。

「ちょっと!!これどういうことよ!!寝ている私になんか変な事でもしたわけ!?」
「イタイイタイイタイ!!話しますからやめて~!!」

…………………。

彼女の話によると、医者兼錬金術師である彼女が錬金術に使う鉱石を探して私の洞窟に入ったところ、死んだ私(彼女いわく死んだのではなく死に掛けだったらしい)を見つけたらしい。

「でもなんでドラゴンの私を助けようと?」
「ボクは医者です、種族がなんであれ助けるのがボクの信条ですから。」

「……………でも私は確かに死んだよね?」
「いいえ、正確に言えば瀕死の状態でした、まあ、どちらにしろ死んでしまうほどの重症でしたが。」
「じゃあ何で私は生きているの?」

「…………『賢者の石』って、知ってますか?」
「命無きモノに命を、価値無きモノに価値を、万物の法則さえも超越する究極の物質です。」

「じゃあその『賢者の石』って言うものの力で?」
「そうです、あなたの中にそれが入っているんです。」
「へぇ~………。」
「ただ、現在の技術で練成出来る『賢者の石』は不完全なもので、一定期間ごとにエネルギーを補填しなければならなくて…………」

そう話す彼女の声はだんだんと小さくなっていった。と言うかなんで顔が赤いのよ?

「ですから………その………あの…………」

声がさらに小さくなり、顔がさらに赤くなる。なによ、言いたい事があるならはっきり言いなさいよ。

「ボクと…………セックスしてください!!!」

……………え?ゴメン、なんだって?え?ちょ?ホワイ?何?
って言うか女同士じゃ性交できないよ?

「え?………いや…………ボク、男の子ですよ?」

…………………
な、なんだってー!!(AA略
そんな!?こんなかわいい男の子が世の中にいるだと!?まさにファンタジーだ!!
しかも性交!?

「その………さっきも言ったように『賢者の石』は不完全なのでこうやってエネルギーの補填をしないと…………」

さいですか、これなんてエロゲ的な展開ですね。と言うか『賢者の石』のエネルギーが切れるとどうなるんでしょう?

「えーと、『賢者の石』のエネルギーが切れると、話すことも、動く事もできなくなります。」

………つまりは死ぬってことね。あぁ、これから私はエネルギーを補填するため一生雄どもに嬲られ続けるのね………かわいそうな私!!

「安心して下さい、その………『賢者の石』の精製にはボクの血を使っているので、ボク以外ではダメというか、拒絶反応が起こると言うか………。」

ふーん、じゃあ私は一生このコとヤるわけで………アレ?これって遠まわしなプロポーズ!?

「あの…………やっぱりボクじゃダメですか………?」

ああ、そんな涙目で私を見つめないで………
お父さん、お母さん、私は人間の女の子に生まれ変わったあげく、ナニか新しいものに目覚めてしまいそうです。どうしましょ。
しかも、自分で言った後に恥ずかしかったのかうつむいてもじもじしています。ヤヴァイです、どストライクです。キタコレ。
もう襲っちゃっていいですか?もうだめです、理性の限界です。向こうから誘ってきたから襲っちゃってもいいですよね。もういいです、襲います。

彼はうつむいてモジモジしている。今がチャンスだ!!
私は静かに彼の後ろに回りこみ彼のズボンに手を掛けた。

「ひゃぅぅぅっ!??」

ああ、可愛い………やばい、私今、鼻血出かけた。

「あ………あのー………。」
「ふふふ………どうしたのかなぁー?」

そういいながら、彼のパンツを脱がし彼のモノがあらわになる。
彼の体がピクッっとなる。ふふふ………可愛い。

「あっ………そんな………だめです………。」
「だって脱がなきゃ出来ないよ………?」
「あぅ…………。」

そういって、赤面している彼のモノを擦り上げる。
んー、まだちょっと柔らかいかなぁ?でも擦っていればだんだんかた……く………な…………
なっ………なにこれ!?ちょっと大きすぎない!?

でも、こんなので突かれたら………。

「あの……なにを………。」
「なにをって入れようとしてるんだよ。」
「待ってください。ボク、まだ心の準備がっ………」
「問答無用っ!!」

ズニュン………彼のものが私を一気に突き上げる。

っはあ!?なにこれ!?やばっ……すごっ!!
体あつっ………あっ…頭がまっしろに……………

「うっ…あっ…ボ…ボク、もうっ……!!」
「ひゃうっ…わたしも…イクっ…イッっちゃうよぉ!!」

ドクッドクッドクッッ!!




……………う……ん?…………アレ?

チュンチュンチュン……………

窓から優しい朝日が差し込んでいる…………。
え~と?確か昨日はあのまま夜までヤってその後…………。

う~~~、頭いたーい………二日酔い?お酒は飲んでないんだけどなぁ………。
ふと周りを見回すと、小屋の中に彼の姿は彼の姿は無かった。
まあ、仕方がないか。私ってばこんな変態だし。愛想つかされるのも仕方がないよね。

さて、これからどうしようかな?どーせすることもないし勇者にでも復讐しに行こうかな?
そういえば、エネルギーがどうとか言ってたけど大丈夫かな?勇者に復讐するまで持つかな?とにかくここを出よう、時間がもそんな無いしね。

そうおもい、小屋を出る準備を始める私。って言っても何も持っていないんだけどね。とりあえず服はこの布を体に巻けばいいかな?

そうして私は小屋を出て、目の前の道を3、4歩歩いたところで………。

「あれ?、もう出発するんですか?」
「!?」

私が驚いて声のした方を見ると、どこかで顔を洗ってきたのか肩にタオルをかけた彼が立っていた。

「なんで居るのぉ?」
「?」

てっきり見捨てられたと思っていた私の質問に対し、彼は首をかしげ答える。

「もう少し休んで言っても良かったのに………それにその格好はなんですか?」
「えっ?だって私服着てないし………てか、私にあいそつかしてどっか行っちゃったんじゃなかったの!?」
「え………?だってボクが居なくなっちゃったら、アナタが死んでしまうじゃないですか////」

ちょっと顔を赤らめてそう話す彼。

「まあ、アナタが早く行きたいというのならいいですけど。」
「ちょっと待っててください、ボクの荷物を取ってきますから。」

そういうと彼は、小屋へと走っていった
そうか………私、一緒に居ていいんだ。彼の側に居ていいんだ。アレ?目から汗が………

少しして、彼が小屋から出てきた。私が泣いているのに気付いてビックリしながら私に駆け寄ってきた。
私は言う。だいじょうぶだよ。と………

朝焼けの光の中、彼と二人並んで歩く。美しく輝く太陽は、まるで私達を祝ってくれるような………


グウウウウゥ………


……………。

「……………。」

そうだった、朝ごはん食べてなかった。

「ねぇ~おなか減ったぁ~。」
「我慢してください。………ボクだって丸二日なにも食べていないんですから………。」

「ここから少し南に行ったところに町がありますから、そこで…………」
「ご飯食べよう!!」
「その前に服屋に行って服を買ってください。」


二人の旅は、まだ始まったばかり

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最終更新:2007年07月27日 01:35
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