「さくらちゃん、元気だして」
「うん...」
「ほら先輩大した事なかったんでしょう?きっと許してくれるよ」
「大した事有るよ..骨折だもん...」
「あ、あ、でもほら、先輩も分かってくれるよ、だってさくらちゃんが..ほら、
ちょっと...ちょっと甘え過ぎただけだって」
私がそう言うと彼女は拗ねたような顔で顔をしかめて俯きました。
でもちろちろっと上目つかいで私に視線を送ります。何か言いたそうな、でも言えないと言う風に。
『違うの』
そう言いたいんだよね。
そうだよね、でも言えないよね。
やがて彼女はばつの悪そうな顔でわたしに言うのです。
「小梅ちゃん..」
「ん?」
「胸..貸して..」
「ん」
そして親友-吉野さくら-はわたし-月ヶ瀬小梅-の胸に顔埋めるのです。
「ん..んふ.....ふっふっ、...ふうううん................ふええええん...」
やがて押しころした声で彼女はわたしの胸で泣くのです。
私がよしよし、と小さい子にする様に彼女で背中を軽く叩いてあげます。
頭に優しく手をあててあげます。
いいよ、いつでも貸してあげるよ。
この胸はさくらちゃんの為にいつでも空けてあげるよ。
「..ごめん...」
「落ち着いた?」
「うん...」
「じゃぁ、はい、これ」
「ありがとう」
彼女はわたしが渡した紙パックをつうぅと吸うと、はぁと一息。
「うふふ」
「何?」
「だって小梅ちゃんいつもウーロンだよね」
「んふふふ、そうだよ」
そうだよ
だって私知ってるんだよ?
さくらちゃんと先輩が何してるのか
あの時はびっくりしたよ
偶然見ちゃった準備室の中、さくらちゃん先輩の股間を足で押さえてたよね。
どきどきしたよ。
でもさくらちゃん、もっとどきどきしてたんだよね?
力入れ過ぎちゃった、踏んじゃいけないとこ踏んじゃったんでしょ。
先輩、白目むいてたもの。
あの時のさくらちゃんの顔ったら、おろおろして、どうしたらいいか分らない顔で
とっても可愛いかったよ。
すっごくどきどきして、じゅんってきちゃった。
あの時廊下の棚に忘れてきちゃったウーロン茶。
だからいつもウーロン茶
いつか気が付くかな?
気が付いたらどんな顔してくれのかな?
早く気が付いてくれないかな。
その時までウーロン茶。
もし気が付いたら、その時は
私がさくらちゃんをもっといい顔で泣かせてあげるね。
最終更新:2007年07月27日 02:55