歌姫「ボロフさんボロフさーん」
楽師「んー?どうしたキアス」
歌姫「ボロフさんに言われて、わたしなりに歌詞を考えてみたんです」
楽師「……………ああ、そう」
歌姫「なんですかぁ!その気の抜けた返事はぁ!!」
楽師「いや、だって……なぁ?」
繰手「アタシに振らないで頂戴」
歌姫「ま、見てみてくださいよぅ!」
からだ こころ ひとつになれない
難しい ことじゃない なのになぜか
なくすことが こんなにこわくて
さっきみつけた こたえが もうとけて
これでにどと てには はいらないと かんじる
めにすなが はいったといいわけして すこしないた
歌姫「……どう、ですか?」
楽師「………うーん……呪歌には、ならないっぽいが……」
繰手「いい出来じゃないかい」
歌姫「そ、そうですか?えへへ……」
楽師「ダメだな」
歌・繰「え?」
楽師「なんつーか、何かを意識してわざと普通に綴った……そんな感じがする。
言葉を選ぶな。お前じゃなくても書ける詩になんか、俺は音をつけたくない」
繰手「ちょいと、ボロフ」
歌姫「……いいんです、イアラさん。確かに、ボロフさんの言う通りだもの」
繰手「キアス………」
楽師「神歌は作るもんじゃない、ただそこにあるものだってバアちゃんが言ってた。
焦るな。……俺も、少し言いすぎた」
歌姫「………はい……」
歌姫「……わかってはいるんです。わたしはシェンツェスの勇者。世界を謳う巫女。
誰か一人のための詩なんて、作っちゃいけないって」
繰手「………………キアス」
歌姫「えへへ、早く凱旋しないと、わたしおばあちゃんになっちゃいますよね!
がんばって神歌を見つけなくっちゃ!」
繰手「………ああ、そうだね。キアス……」ナデナデ
歌姫「………ぐす」
新ジャンル「縦読み」
最終更新:2007年09月22日 21:39