ククデレ

魔王「………なんだ、今日もまだこの町にいるのか?」
姫君「まだ湖が安定しないんですの?」
錬金「まだ、というより……『また』ですね」
魔・姫「?」
勇者「昨夜どっかの誰かが谷山を爆破したろ。
   幸い渓谷の道は塞がらなかったけど、瓦礫が河を塞いでダム化してるんだ。
   それを放っておくわけにはいかない」
魔王「………………………む」
竜子「そんなの、ぱっぱとやっちゃえばいいじゃん。
  “豪剣”なり“天輪”なり、ぶっ飛ばしちゃえば済む話でしょ?」
錬金「場所が場所ですからね。それは二次災害に繋がりかねない。
   面倒でも、瓦礫をひとつひとつ取り除いていかないと」
竜子「めんどーい」
錬金「仕方がないですよ」
勇者「と、いうわけで俺は直接岩なりなんなりを取り除く役割、
   ジョンには工事の指揮を取ってもらうために今日は動けない。
   町の人間も集まってくるから、リューの“天輪”やリオレイアの“龍咆”は控えたほうがいいと思う。
   三人はここで待機していて欲しい。自由行動でも構わないが、夜には戻ってくるように」
姫君「了解しましたわ」
魔王「……………………むむ」
竜子「えー、つまんないよぉ」
錬金「一緒についてきてもいいですけど。リオル、邪魔はしないでくださいよ」
竜子「え?いいの?やたー!!」
錬金「リオル。邪魔は、しないで、くださいよ」


カーン…コーン…
ハコビダスゾー!セェーノッ!!
ジャアハイキョガイマデタノムナー

魔王「………だ・か・ら!なーァんで貴様がここにいる!?」
姫君「貴方こそ。“天輪”の使用を禁じられて役立たずの貴方がいては邪魔になるでしょうに」
魔王「フン、一応我が谷山を破壊した所為だからな。直接は手を出せなくても、フォローくらいはできるさ」
町人「おう、魔法使いさん!アンタが魔力付加(エンチャント)してくれた荷台、
   スゲー軽いよ!!ありがとな!!」
魔王「何、造作もないことだ。運び出せぬ大岩があったら言うがいい。重量軽減で綿より軽くしてみせよう」
町人「頼むぜ!流石は勇者様のお供だ、すごい魔導師がいたもんだなぁ」
魔王「……ホレ、この通り。貴様はどうだ?
   何も出来ぬ箱入りは大人しく路地裏の木箱にでも引っ込んでいるがいい」
姫君「………なかなかやりますわね。ですが、それでは決定打に欠ける。
   重要なのは『女性としての』存在感だと知りなさい」
魔王「何?」

町人「お嬢ちゃん、煮えたよ!これでいいかい?」
姫君「ええ。あとは大鍋に入れて、10分ほど煮込めば完成ですわ。あとは薬味ですが―――」
町人「わかったよ。しかし、異国の料理は大抵頭っから美味しいとは思わないもんだけど、
    これはちょっと驚いたねぇ」
姫君「でも少し薄いでしょうから、薬味は個人個人の好みに合わせて選べるようにしておいてくださいまし」
町人「わかったよ!お嬢ちゃん、きっといい嫁さんになるよ!!」
姫君「ありがとうございます、ですわ♪」
魔王「……………き、き、き、貴様、料理できるのか」
姫君「ええ。王城で一通りのことは仕込まれましたから。あとは独学ですわ。
   手料理こそ殿方を射止める女の武器ですものね」
魔王「~~~~~~ッッッ!!………!!!………………!!!!」
姫君「労働のあとの温かい食事、それを用意するのは女の務め。勇者といえどお腹はすきますもの、
   懐かしい故郷の味と私の愛情でココロもカラダも満たされるというものですわ」
魔王「ふ、ふ、ふん!そんなもの、我なんかヤツの本当の故郷の料理を教わったことだってある!」
姫君「本当の故郷?」
魔王「ああ。肩を並べて共に作り、共に食べる!まるで本当のか、か、家族のようではないか!ふふん」
姫君「本当の、故郷…………ヒイヅル……」
魔王「む?どうかしたか」
姫君「え?い、いえ、何でもありませんわ。
   それより貴方、そこまで言うのでしたら当然、ヒロト様を満足させる料理は作れるのでしょうね?」
魔王「ギクッッッ!!!!!い、いやその、材料がない……魚が……その」
姫君「お忘れかしら、ここは湖畔の町ですわ。新鮮な魚も米も揃っていてよ。
   さあ!遠慮なくどうぞ」
魔王「………………うぅ」

………………………………
……………………
………ドカーン
ウワー

勇者「うわぁ、土砂が!?」
錬金「えぇ!?いやだってちゃんと補強して………リオル!!」
竜子「あたし何もしてないよ!!?」

姫君「料理下手ってレベルじゃねーですわ!」

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最終更新:2007年10月14日 16:50
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