わたしは世間では優等生で通っている。
だが誰も知らない。先生でさえ、親友でさえ、両親でさえ本当のわたしを知らない。
わたしはこう見えても“ギャップ萌え”なのだ!!!!
………いやわたしの嗜好ではない。
わたしが密かに想いを寄せている男の子の好みのタイプ、らしい。
なんでも普段髪を括っている娘がその髪を解いたり、メガネっ娘がコンタクトにしたり、
番長が雨の日に猫にミルクをやっていたりする姿にときめくらしいのだ。
だがわたしはそんな、わかりやすいギャップなどできそうもない。
髪は短いしコンタクトは苦手でどうしてもセルフ目潰しになってしまうし、猫より犬派だからだ。
でも、ここで退いては恋する雄闘女(おとめ)の名が廃る。
優等生には優等生にしかできないギャップ萌えがあるはずなのだ。
「で、あるからして―――」
そう、例えば今!
「ABCDの内部を動く相異なる2点P,Qが―――」
数学の授業中!!
「うちの娘に―――」
突然立ち上がり!!!
「……どした、いきなり」
叫 ぶ ! ! ! !
「 お っ ぱ い ! ! ! ! ! 」
………………………………………。
………………………………。
………………………。
………………。
その日、担任の先生がウチに来た。
ギャップ萌えは難しい。
最終更新:2007年11月27日 21:58