「………男くんってさ。やっぱりあたしのこと何とも思ってないのかな?」
女はぽつりと、小さくそう言った。
実際にはそれは聞こえるか聞こえないかの声だったろう。
しかし男にはそれは耳元で囁かれたようにはっきりと聞こえた。
「え?」
思わず聞き返す。
「………そうだよね。あたしなんてさ、色気もないしバカだし、女の子って見てもらってないよね」
「な、何言ってるんだよ女?」
男は女の顔を覗き込んで、息を飲んだ。
泣いている。
いつも陽気に笑っていた女が、ぼろぼろと涙を零していた。
「……あ、はは。ごめんね、変なこと言って。あたし、今日は変だ。だ、大丈夫。ちょっと寝たら治るから―――」
無理に笑うな。
俺こそ、無防備なお前に何度抱きしめたいと思ったかわからない。
でも、お前はただ無邪気なだけだからと、そう自分に言い聞かせて―――。
そう言いたかった。でも、言葉が出ない。
「ごめんね。あたしから無理に来てくれって頼んだのに……ごめん」
これが正しいのかわからないけど、男はこの少女を泣き止ませる方法を、ひとつだけ知っている気がした。
「女」
「―――え?ん……!?」
柔らかな唇を、とうとう、奪う。
「俺、女が好きだ。女に、……その、触りたい」
男は女の肩を抱いて、自分の心うちを正直に口にした。
ずっと言いたかったこと、ずっと言えなかったことを、やっと伝えられたのだ。
女はますます涙を滲ませて―――でも、これは嬉し涙だ―――俯き、言った。
「全てを読むにはここにワッフルワッフルと」
「そういうオチかよ!!」
最終更新:2008年02月11日 00:46