あい☆ます

俺こと、荒ノ町 鉄路(あらのまち てつみち)と保木 小栗(ほぎ おぐり)は恋人同士である。
二人の絆は何よりも硬い。たとえダイヤモンドを両断する、
最高峰の超高圧ウォーターカッターでだって断ち切れない真紅の糸で繋がっている。
………そう、信じていた。
―――少なくとも、俺は。
けど、今。
俺と小栗は今までにない最大のピンチを迎えていた!!

「やだ、やだやだやだ、やめて!来ないでぇ!!」

小栗が。
あの小栗が、俺を拒絶していた。
それは俺にとって、全世界の人間から嫌われることより遥かに辛いことだ。
眉が下がり、眉間に皺が寄るのを自覚する。
やめてくれ、そんな顔をするのは。小栗、言ってくれたじゃないか。
たとえ俺の顔が火傷で見るもおぞましく爛れたとしても、そんなことは関係ないって。
その俺を否定するのか?小栗―――。

………だが。
たとえ否定されても、俺は小栗を愛している。
たとえ拒絶されても、俺は小栗を護ってみせる。
だから頼む。お前も俺を信じて欲しい。
俺たちの絆はそんなに脆いものじゃないと言って欲しい。
小栗………!

「いや、いや、いやぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁああ!!!!」

覆いかぶさろうとしたその時、女子カポエイラ部部長である小栗の、
県大会四位の実力を持つ蹴りが高速で俺の無防備極まる股間にクリーンヒットし、
俺は天地逆さまになってベッドの上にノックアウト。ついでに視界もブラックアウト……。

………そんなに怖がることないだろう………が……ま………。


「だって怖いもん」

何故か怒っている小栗である。
怒るのはこっちだろう。
せっかく両親が結婚記念で旅行に行って留守だというチャンスに、最愛の彼女を連れ込んで、
さあ初エッチだと意気込んでいたら彼女が俺のイチモツに怯えて、
あげく攻撃してきたなんて笑い話にもなりゃしない。

「子供の頃はそんなんじゃなかったじゃない」
「いつの話だ!いつの!」

そりゃあ、毛も生えていないようなチビの頃と比べられても困るというものだ。
だいたい、女の子ってそういう知識は男よりも深く仕込まれるものなんじゃないのか?
俺らが体育館でバスケしている間、女子が教室でなんかのビデオ見てたのは知ってるんだぜ。

「……だって、本物だし」

だからなんだ。
いかなる知識媒体もナマの迫力は伝えることができない、
まさにコレ百聞は一見にしかずというヤツかっ。

「大丈夫だって。こんなナリでも俺だぞ?小栗、俺のこと嫌い?」
「好き……」

良かった、即答された。勢い余って俺本体まで嫌われたりしたら、
ショックのあまりモロッコへ飛ぶところだった。
でも、ということは小栗の中では俺本体と俺のアレが別の存在になっているということだ。
コイツは俺が生を受けてからずっとつきあってきた、
俺の一部だということを受け入れてもらわなければなるまい!

何故そんなに気合を入れているのかって?
決まっている。
俺が、小栗のことが好きだからだ。

アガペーだけを愛と思うな。エロスだって立派に愛なんだぜ?
そして俺が今日という日を、小栗と一線を超えることができる日をどれだけ待ち望んだと思っている。
中坊の頃から日課のように続けてきたGという名のシュミレーションはこの時のために。
俺は、小栗と、Hがしたいんだッッッ!!!!

「………てっちゃん……」

ざっぱーん、と日本海の荒波を背に受ける俺に何かしらの危機感を感じ取ったか、
小栗は顔を引きつらせてざざざと引いた。

「ね。きょ、今日のところは顔見せってことで、一旦切り上げよう?
 ほら、対戦しようよ対戦!ボンバーマン!」

下着に手を伸ばそうとする小栗の先手を取って、ブラを引っ掴んで遠くへ放り投げる。

「あー!」
「そうは問屋が卸さないぜ、小栗。性欲を!持て余すッ!!」
「うう………」

小栗はシーツでナマチチをガードする体勢に入ると、ちらりと俺の下半身に視線を落とした。
そそり立つ俺のタワーオブグレイ。
デビュー戦にやる気も充分、かつてない硬度とサイズで存在感も十分だ。

「………怖い」

小栗は上目遣いであっという間に弱音をハク。
だからどこが。こう見えても結構優しいかも知れないだろ?外見でモノを判断しちゃいけないぜ。

「ウソだぁ。だって、それって結局のところあたしの身体に入るわけでしょ?」
「まあ、そうなるな」
「身体に入っていいサイズじゃないって。てっちゃん、もちょっと小っちゃくしてよぉ」
「無茶言うな」

好きな女の子がぱんつ一丁で目の前にいるんだ。これで小さくできたらソイツは
ED間違いなし、治る病気だからちゃんと治療を受けましょう。

「そんな大きさのモノが入ってくるんだよ?言ってみれば、ナイフで刺されるのと同じくらいだよ。
 そんなの痛いに決まってるじゃん!死んじゃうって!無理!絶対無理!!」

いや、そんな、ちんこを凶器のように言われても。
だいたい、男女の身体の構造からちゃんと収まるようになってるんだから死ぬようなことはないだろう。
は!そうか、俺たちは服を脱いだだけでまだ前戯、
あるいはペッティングと呼ばれるものをしていない。脱ぐ前にキスをしただけだ。
小栗はまだ受け入れ態勢が整っていないことを不安がって、
しかし『ぐっちょんぐっちょんにしてくだしあ><』とは恥ずかしくて言えず、
マイディックを過剰に怖がることによって遠回しに円滑油の分泌を促しているのかッ!

「………それなら早く言ってくれればいいのに。
 今さら俺たちの間に、恥ずかしがることなんてないだろう?」
「だから怖いって言ってるでしょうがぁぁぁぁぁあああ!!!!」

再び覆いかぶさろうとしたその時、中学の時女子セパタクロー部部長だった小栗の、
地区大会優勝の成績を叩き出した蹴りが俺の無防備極まる股間に痛恨の一撃をし、
俺は本日二度目のダウンと相成ったのだった。

だから別に噛み付きゃしないってのに………が……ま…………。

若い男女が一糸纏わぬ姿で絡み合っていた。
女は男のペニスを咥えたままくぐもった喘ぎ声をあげ、
男はねっとりとした口調で女がいかにいやらしいことになっているのか説明し、さらなる興奮を煽る。
女は目を細め、性的な高揚を隠すこともなく口に含み、
歯を磨くときのように頭の角度を変えてさんざん味わったあげく、
あまつさえ根元も根元、玉袋にさえ舌を這わせていた。

女の奉仕に、男の口調が段々切羽詰ってくる。射精が近いのだろう。
男は女を下半身から引きはがすと、ベッドの上にゆっくりと押し倒した。
女も抵抗せず、それどころか誘うように自らしなやかな脚を広げ、
とろりと蕩けたような視線で男を迎え入れる。
男はぎちぎちに高まったペニスを女の秘部にあてがい、そして押し込んでいった……。


「ほら!入るだろ?よく見てみろ!セックスは都市伝説なんかじゃありません!」

俺は小栗の頭をガッチリとホールドし、押入れに突っ込んであるダンボールの中で
辞書のカバーを被せてカモフラージュしている秘蔵のエッチDVDに視線を固定させていた。
小栗は小栗で何やら興味深そうに画面に見入っているようだし、
この『エロビデオで一緒に勉強しようよ性的な意味で作戦』は成功かっ。

「モザイクかかってるし」

ところが小栗は口をアヒルのように尖らせると、ぼそりとそんなことを呟きやがった。

「モザイクかかってるってことは、コレが本当にアレかどうかは分からないわけじゃん。
 こけしか何かかも知れないよ」
「アホかーーーーーッッッ!!」

俺は小栗の頭をホールドしたまま、ぐわんぐわんと揺さぶってやった。
んな訳あるか。世には無修正のモノだってあるんだぞ?現物を目にしたことはないが。
俺が『モザイクなし!』のDVDを求めて深夜の自動販売機でゲットし、
モザイクじゃなくて濃いぼかしが入っていた時の落胆が貴様に分かるか!いやそれは関係ないな。
だいたい何故。何故ここまで来てかたくなにセックスを拒む。
俺とひとつになりたくないって言うのか。俺を受け入れることはできないっていうのか!
それはなんか凹むぞ結構。

「………そうじゃないけどさ」

小栗はあくまで俺のアレ(ちんこ)に目を向けようとはせず、困ったように言う。

「せめて、なんかファンシーな感じにならない?エイリアンっぽいもん。それ」
「わかった。ファンシーな感じな。ファンシーになったらちゃんとするんだな?」
「……はぁ。そんなにしたいの?」
「したい」

キッパリ。
小栗はかくんと頭を落とすが、ここは俺としては絶対に譲れないラインだ。
俺は、小栗と、セックスをしたいのです。

「……女冥利に尽きるというかなんというか」

しかしファンシーねぇ。どうしたもんか。
ちっさいモードならともかく、臨戦態勢に入っているムスコはこれ以上変形のしようがない。
リボンでも巻いてみるか。いやいや、それでは挿入の時邪魔でしょうがないだろう。

………………。
……………。
…………。

「というわけで、ファンシーにしてみました」

小栗に背を向けてごそごそやって数十秒、俺は再び我が侭姫と対峙した。

「………………わぁ」

なんだその感想は。これでも結構知恵を絞ったんだぞ。
ちゃんと実用的になるよう、コンドームを装着後その上からマジックで
コミカルにデフォルメされた顔を書くという俺の最終兵器。
しかしそれは、プイと横を向いた小栗のリアクションでお気に召しませんと告知された。

「………………………」

……まあ、絵心なんてない俺である。しかも場所が場所だ。悪趣味と言われても仕方ないかもしれない。
しかしだな。
段々と腹が立ってきたのは否めない。
もともと余裕なんて無いところに、小栗はヤダだの気に入らないだの怖いだの。
おかしいだろう。おかしいんだよ。俺の堪忍袋の尾もそうそう丈夫じゃないってことを、
付き合いの長いお前なら知っているだろう。
嫌なら嫌とはっきり言えっていうんだ。それなら俺だって、
好きな女の子に乱暴を働くような下衆ではないんだから我慢もできよう。
それをうだうだと、ちんこが怖い?
わけわかんないこと言うな!なら見なければいいだろうが!!

「それだ」

俺はぱちんと指を弾いた。

――――――で、約五分後。


「あたし、初めてなんですけど」
「奇遇だな。俺もだ」
「それでいきなり、目隠しプレイってどうよ?」
「でも少なくとも、これでちんこは見なくて済むぞ」
「―――そりゃ、そうだけどさ」

俺は洗面所からタオルを持ってきて小栗に巻きつけていた。
完璧なアイデアであった。
これで小栗は俺のちんこを見ることなく、安心して性行為を楽しむことができるというわけだ。
問題の先延ばし?なんのことかな?

「なんか、これはこれで不安なんですけど」
「これ以上の妥協は認めないぞ。手足縛って猿ぐつわ噛ませないだけマシだと思ってくれ」
「………はぁ。そんなにしたいかなぁ?」
「したい」

視界を完全に塞がれた小栗は観念したように大人しくなっている。
うんうん、初めからこうしておけばよかったぜ。俺は小栗の頭をぽんぽんと叩いた。
途端、過剰なまでに身体を硬直させる小栗。

「ん?どした?」
「い、いきなりだったから、ちょっとビックリした」

………?
俺は小首を傾げてから、ああ、と気付いてぽんと手を叩いた。

「え?何?」

そんな些細な音にも、小栗はびくっと反応を返す。
視界を塞がれたから、他の感覚に頼らざるを得なくなって、その分鋭敏になっているんだろう。
これはちょっと面白いことになってきそうだ。

「小栗、キス、するぞ」
「え。―――あ、うん」

おずおずと、本当にぎこちなく、小栗がついと顎をあげる。
何十回も繰り返した行為なのに、まるで初キッスのようにうぶな彼女の感触。
視界を奪っただけでこんなに変わるものなのか。
俺自身、背骨に鳥肌がたつようなぞくぞくとした興奮を覚えていた。

「はひゃ!?」

突然、小栗が素っ頓狂な声をあげた。
唇を重ねながら、俺の指はさわさわと小栗の太ももをまさぐっている。

「ちょ、いきなり、そんな―――」

小栗にとってはまったくの奇襲だろう。抗議の声をあげるのもしかるべきだが、
俺だって我が侭に律儀につきあって我慢の限界なんだ。もう、聞く耳は持つ気はないぞ。

「こ、こらぁ!どこ触るか、ちゃんと言ってから」
「そんな器用なことできるかよ」

かぷ、と囁くままに耳を甘噛みしてやると、ひぅ、と面白い吐息を漏らした。

「待ってってばぁ!も少し、ゆっくり―――」
「やだ」

焦って目隠しを取ろうとする、その手をとって頭の上で押さえつけてしまう。

「わ、わ、わ」
「もう待たないからな。だって、ほら」

くち、と。
そこに手を伸ばすと、確かにしっとりと湿り気を帯び、水音が聞こえる。

「………小栗だって……だろ?」

小栗はタオルの下の顔を真っ赤にして、うー、と唸っている。
そうだ。小栗だって、何もするのが嫌だったわけじゃないんだから。
そりゃあ予想外のゲテモノっぷりにビックリしたのは確かだろうけど、
誰もいない家に二人っきり、いよいよというシチュエーションで
ドキドキしていないわけがない。そうだろう?

「………まぁ、そうだけど」

困りきった顔で、小栗はとうとう白状した。
俺はにー、と笑い、くやしそうにしている小栗と再び唇を重ねた。

「や、やさしくしてよね」
「わかってる」

不安そうなのは、目隠しをしているからか、それとも初めてだからか。
まあ、両方だろうけど。

「ぱんつ、脱がすぞ」
「………ん」

俺は借りてきた猫のようになってしまっている小栗の腰から、いらない布っきれをするりと引き抜いてしまう。
女の子らしい、やけに頼りない造りのショーツには、ちょうど秘部に当たる部分に半円状の染みができている。
匂いを嗅ぐと―――変態っぽいが―――甘い女の子の匂いと、
鼻につく雌の匂いが混合し、妖艶な香りをかもし出していた。
こんな真似をして蹴られないのはひとえに小栗が目隠しをしているからこそだ。
今なら、たとえこのぱんつを被って小栗を抱いてもコイツは気付かずに
俺に身を委ねるだろう。といっても、おちゃらけるほどの余裕が俺にはないが。

「そ、それじゃあ、脚、開くから」
「うん……」

すっかり大人しくなってしまった小栗を抱えるようにして、ゆっくりと脚を広げていく。

―――――――――。

何も隠すもののない、初めて見る、女性器と呼ばれる縦筋に俺は少しばかりくらりときた。

「………だ、黙らないでよ。不安になるから」
「すまん。感動のあまりちょっとばかし死んでた。もう少し見てていい?」
「いいわけあるかぁ!!!!」

軽口を叩いて無理矢理いつもの調子に戻し、さて、と向き直る。
息遣いからいよいよだと悟ったのか、小栗はびくりと身体を震わせた。
その手を、とる。

「……じゃあ、いくよ」
「う、うん」

じんわりと握った手のひらに、あっという間に汗が滲むのがわかった。緊張しているのだ。―――俺も、小栗も。
小栗の言葉がフラッシュバックする。ナイフで刺されるようなものだと。
確かに、穢れを知らない無垢な身体にとってコレは異物以外の何物でもないかもしれない。
背中に冷や汗が滲む。喉が干上がり、腰が引ける。それを、

「――――――きて」

好きな女の子の暖かさで、引き止められた。
それで、覚悟は決まった。泣かせてしまうかもしれない。でも、やめない。それが覚悟だ。

「く、ぅぅうううぅぅぅうぅッッ!!!!」

俺は、確かに凶器かもしれない自分のモノを小栗の秘所にあてがい、一息で突き入れた。
初めての抵抗は流石にきついものがあったが、小栗の内部は意外とすんなり侵入を許す。
しかし本当に想定外だったのはペニスを経由して脊髄を伝い脳天を白く染めるこの快感だ。
挿入が成功したのがよかったのか悪かったのか、俺は身体を支えることさえできずに
くはぁ、と情けない声をあげて小栗の上に倒れこんでしまった。

「………入ったね」
「………ああ」

はぁはぁ、と。
お互いの息遣いが交じり合う。
小栗に倣って俺も目を閉じてみると、重なった身体はどこからどこまでが自分のものかも曖昧で、
ふたつの心臓の音だけが俺と小栗の個を主張するものになっていた。

「意外と、痛くないかも。あたし」
「そりゃあよかった。俺は予想より遥かに気持ち良すぎて色々ヤバイ」

そう言うと小栗の、えへへ、と照れたような笑い声がした。


ああ―――目を開けるまでもない。
そういう風に笑うとき、きみがどんな顔をしているのか。
ちゃんと、頭の中に、浮かぶ。


「動くぞ、小栗」
「うん。………動いて、鉄路」

慎重に、小栗の負担にならないように……といえば恰好もつくが、
主にうっかり射精してしまわないように慎重に腰を引く。
うう、膣内のひだがざわざわと絡み付いてきて気持ちがいい。
この痛いほどのしめつけといい、小栗はとんでもない名器なのかも。

「ん、ぅん……あ、ぅ………」

丹田に力を込めて、もどかしいほどゆっくりとしたピストンをはじめてしばらくした頃。
段々要領が飲み込めてきた俺の下で、驚いたことに小栗もまた、甘い声をあげ始めていた。

「小栗。もしかして、感じてる?」
「………かも。おなか、苦しいけど、なんか……」

てへへ、と上気した頬を緩ませる。

「すっごく、しあわせな感じ」

俺は。

小栗の顔に手を伸ばして、目隠しであるタオルを剥ぎ取った。
そうして、驚いている小栗の頭をホールド。
額と額がくっつくかのような距離までぐぐいっと迫ると、ちゃんと目を見て、言った。

「俺も、しあわせ」

――――――ああ、ちくしょう。
しあわせだ。



ぬめりを増した秘部はさっきとは比べ物にならないほどにいやらしく少年を誘い入れた。
ちゅく、ちゅく、ちゅく、と。
深く、深く侵入する陰茎は膣内をえぐり、犯し、はしたない淫音を奏でて興奮を煽る。
少女の肢体は早くも性交に快楽を覚えたのか、
くねらせ、胎(ハラ)の底から湧きあがる感覚に声をあげていた。

「あぁぁあ、あ、ン、鉄路、鉄……はぁああ、あぅ」
「ッ、ッく、あ、おぐりぃ………ッ!」

少年は少年で、猿のようになって腰を振る。
女の身体を貫く欲棒は熱く、引き抜き、差し込むごとに粘液を飛沫にして撒き散らす。
体液がしたたっているのはお互いの性器だけではない。
おとがいを反らす、その唇に吸い付いて舌を絡めている。

「ちゅ、ちゅく、ん、んー……ふぅ、あン……んん、ン」
「ちゅぼ、ちゅ、くぷ、ンんー………んふ、はむ」

キスというよりは、お互いの唾液を飲ませあっているといったほうが遥かに的確だろう。
惚けたようなその口元から涎が垂れるも、少年も少女もまるで意に関せず、
一瞬の呼吸を置いて再び噛み付くような激しい接吻に舌を躍らせた。
その口淫が、突然離される。

「ああ、あんッ!鉄、く、うわぁぁぁっ!」

少年が膣内に突き刺したまま、あえて腰を引かずにこねるように子宮口を愛撫したのだ。

「それ、それすごい!おくが、すごいよぉぉっ!!」

大波のように襲いくる快楽を噛み砕く余裕もなく声にする少女。
その乱れようは、とてもさっきまで男性器に怯えていた少女のものとは思えない。

「あ、凄、これ、だめ、だめ、鉄路、これ、だめぇぇえええ!!」

途端、ぎゅうっ、と少女の内部が締まった。限界が近いのだろう。

「ね、鉄、鉄路、あたしっ、あたしねっ?」
「ああ、なんだ?小栗!」

少女は、少年の首に手を回して抱き寄せると、ぶつけるように激しい口付けをした。

「あたし、鉄路のこと、だいすきだよ!!」
「―――馬鹿、俺だって、だいすきだっ!!」

涙の浮いた目を細め。
少女は一際大きく痙攣し、快楽の絶頂に大きく声をあげ―――。
少年もほぼ同時に凝った白濁をびゅくびゅくと放出し―――。
最後の力が尽きたように、くたくたとベッドの上に倒れこんだ。

「大丈夫か?」
「………うん。平気。だけど」

シーツに包まったまま、小栗はまだもぞもぞしている。
苦痛はないどころか気持ちよくさえあったものの、挿入による異物感は後を引いているらしい。

「うう、明日上手く歩けるかなぁ」
「学校休みなんだし、別にいいんじゃないか?」

正確にはまだ春休みにはなっていないが、テストも終わった今は自由登校。
行っても行かなくても同じなのである。

「………学校でするのもいいかもなぁ」
「普通にしようよ。ただでさえ初めてで目隠しプレイなんかしたんだから」

ぼそりと呟いた言葉に、小栗が苦笑いして答える。
目隠ししたのはお前が我が侭だからだろうに。

「………だって、本当に怖かったんだもん」
「今は?まだ怖い?」

言われて、小栗は俺の下半身に目を落とす。
そう見つめられると流石に恥ずかしい。

「ごめん、やっぱ見んといてつかぁさい」
「でもてっちゃんだってあたしの、見たじゃん。凝視したじゃん」

そりゃしたけど。
一仕事終えてウェイトモードになっていた俺のシャイボウイは、視線を感じて再び鎌首をもたげた。
あんだけ出したのに元気だなお前。っていうか俺。

「………キモいけど。見慣れると、そうでもないかも。キモ可愛い?」

どうやら小栗の方は無事和解したようで。よかったよかった。
それより小栗、ちょっと困ったことになったんだが。

「何?」

俺のイチモツは女の子の熱視線で、すっかり大きくなってしまっていた。
申し訳ないが、このままじゃ収まりません。

「………………しょうがないなぁ」
「すまんね、俺の愚息が」
「………いいけどさ」
「すまんついでにひとつ、お願いがあるんだが」
「何?」
「口でしてくれない?」
「いや!」
「目隠ししていいから」
「絶対いや!!」

この後俺が無事フェラチオしてもらったのかどうかは……。
俺のモノについた、八重歯の傷跡のみが語る物語である。まる。




                 あい☆ます~新ジャンル『アイマスク』妖艶伝~ 完

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最終更新:2008年04月27日 13:46
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