幼い頃わたしは母とお城に住んでいた。
お城で母と二人、それがわたしの世界の全てだった。
世界を優美に現すこと、それが父の仕事だった
父は仕事を愛していた。
そして仕事を通して世界を愛し、家族を愛した。
数式の様に。
父と母は遠い極東の国の人だった。
父の仕事の都合で夫婦はこの国に来たのだ。
石でできた大きく古い屋敷、「お城の様ね」最初母はそういって喜んだそうだ。
だが次第に慣れぬ異国の生活は母にとってつらいものになっていった。
父にとっては懐かしいこの国も、父の母校であるこの学都も彼女の心に何も慰みを与えなかった。
見知らぬ人、通じぬ言葉、彼女の世界は家の中へと閉じていった。
お城の様だと行った屋敷も次第に牢獄の様に感じていってのかもしれない。
そうしてわたしが生まれた時、母はとても喜んだそうだ。
可愛い女の子が欲しいと言うのが母の望みだったから。
人形の様に可愛い女の子が欲しいと。
多分わたしは彼女の望み通りだったのだろう、母はわたしを愛してくれた
人形の様に。
そうして牢獄の様な家は再びお城になった。
だけどそんな母は、わたしがまだ幼い内に目の前から姿を消した。
裁判所と医師の診断書が母からわたしを取り上げた。
彼女の心が此所に無かったから。
そして彼女自身もこの世界から去った、永遠に。
母を失った父はわたしを溺愛した。
わたしも幼いなりに父の愛に答えようと思った。
母の様にわたしの目の前から父が消えない様に。
学都の寮で父とナニ-との暮らしはそれなりに楽しかった。
父はそこで世界を教えてくれたから。
本にかこまれたそこは世界を広げるに十分だった。
学生達もよく幼いわたしの相手をしてくれたものだった。
しかし
わたしが相応しい年令に達するとわたしは寄宿生の学校に送られた。
「あの父の娘」と言うので周囲のわたしに対する評価は高かった
わたしも最初はその期待に応えることに夢中で新しい環境になった事も忘れらた
いや忘れる為に没頭したのか。
だけど
慣れていくにしたがってやはりこの世界はとても狭いと感じた。
そして父かも放された喪失感がわたしを苛み始めた。
だから
すこし世界から踏み外してみたのだ。
切っ掛けは何だったのか、同級生に誘われるまま街に出た。
今迄規則に従っていたのはそういうものだと思ってたからだ。
外れることに躊躇は無かった、そんなわたしに廻りは驚いた様子だったが。
週末の都会は刺激だらけだった。
そうしてまたわたしは新しい世界を得た
その時もそんな「新しい体験」の一環みたいなものだったのだ。
「男の子と付き合う」というものの実践。
異国人と言うのと実年齢よりかなり幼く見られると言うで、わたしはどこに行っても
目をひいていた。
反面そういう対象に見られてなかったのも事実だ。
正直誰でもよかった、だからあんな男を選んだのだろう。
今考えると莫迦な事だと思う。
勿論その選択は間違っていたのだけれど、その結果「彼」と出会う事ができたのだ。
その日彼はわたしを人気の無い浜辺に誘った。
求めて来るであろう事は明白だった、彼は興奮していたし勿論わたしも。
ボート小屋の影、彼はわたしを抱きしめキスをした。
彼の手がわたしの裸の背中を這いまわり、やがてその手が水着の中に…
そう思っていたのだが、
わたしは突き放され、何者かに後ろから抱きしめられた。
ボート小屋の扉が開いていた。
知らない男がわたしを捕まえていた。
彼とその男との間に何らかの取り引きがあった様だ、要するにわたしは何かの
「カタ」だったらしい。
名門校の女生徒、そういうプライズだったのだ。
取り引きが成立した後、彼はさっさと去って行った。
その時でもまだわたしは自分に起きた事が理解できずに居た。
いきなり唇を吸われ、思わず顔を背けたら頬を2、3度打たれた。
初めて受ける痛みと暴力にわたしは恐怖した。
押し倒され、胸の布を剥ぎ取られ、乱暴に掴まれ、乳首を弄ばれた。
痛みしかない。
悲鳴を上げようとするとまた激しく打たれた。
首を捕まれ、頬を捕まれ、殺すと凄まれた。
声を殺して泣いた。
下の水着にも手を入れられ、乱暴に指を這わされた。
彼はそこの毛が薄いのに笑い、閉じたそこを笑い、こんな子供とするのは初めてだと笑った。
手が尻に行くと深い溝の中に指を入れられ、後ろの敏感なところを指でこじられた。
鳥肌が立ち、嫌悪感にしゃくりあげた。
唇をまた吸われ、唇を開くように脅され、舌に口の中を蹂躙された。
乳房を捕まれ、乳首が取れんばかりに弾かれ、摘まみ上げられた。
尻の手がそのままくるりと布を捲り、そのまま下に抜き取られる。
自身を曝される恐怖と激しい羞恥にわたしは激しく暴れた。
布を脚から抜こうとしていた男は虚をつかれたのだ、わたしは上手く男の下からぬけ出した。
だが男に髪を掴まれ、思わず悲鳴をあげた。
その声に激高し、男がまた私を打とうとした時
「彼」が現れたのだった。
「YEEAAAAAAAAAAAAH!」
わたしの悲鳴に負けず劣らずの奇声をあげてその少年は手に持った棒で男の手を打ち据えた。
髪から手が外れたのでわたしはその少年の後ろに廻った。
年の頃なら10才程か、黒い髪に切れ長の目、明らかにわたしと同じ極東の民の顏だった。
そういえば言葉もどこか辿々しい。
棒だと思ったのは木、いや竹でできた剣の様なものだった。
「ダメ!」
そう少年は目の前の男に言い放つとその剣を切っ先を男に向けた。
何ごとが起こったのか分らない男だったが、目の前の欄入者がほんのちいさな子供だと言う事に気付くと
彼はせせら笑った。
同時に自分に激しい痛みを与えたその子供に相応の罰を与えようと決めた様だ。
「ダメ」
身を起こそうとする男に少年はそう言う。
だが男は自分の胸ほどもない剣士の言う事などに恐れなかった、むしろ怒りをより露にして、立ち上がると
その少年に襲い掛かろうとした。
「Tyesssssstoooooooh!」
同じ様な奇声を上げ、その少年は前に跳んだ。
見事なカウンター、剣の切っ先は見事に男のみぞおちに食い込んだのだった。
「ふぐうぁ」とか何か奇妙な声をだして男は倒れこんだ。
(その技が「ケンドー」と言うものだと後で知った)
そして少年は身を翻すとわたしの手を取ってこう言った
「ハシレ!」
後は少年に引っ張られる様に、二人して走りに走った。
ホテルの近くに来たとき少年の両親に助けられた。
わたしの様子で事態を察した母親は何も聞かずバスと着替えを用意してくれた。
身なりを整え、お茶をいただいて一息ついた時、わたしの目から涙がこぼれだした。
緊張がとけた安心感から思わず泣き出したわたしを彼女はやさしく抱いてくれた。
母がいてくれたらきっとこんな風にしてくれたに違い無い。
そう思うとよけいに涙が止まらなかった、泣きながらそんな事も言ったかもしれない。
落ち着いて取り乱した事を詫びたころ、見計らったの様に少年が部屋にやって来た。
母親は彼をこう呼んだ
「Hero」
実に相応しい名前だと思った。
助けてくれた礼にすこし恥ずかしそうにでもまっすぐにわたしを見る彼の瞳を見た時
今迄に無い感情がわたしの胸を突いた。
そう最初は突く様に、そしてそのあとからじわっとなにか暖かいものが胸を満たした。
初めてのキモチ。
そう
わたしはこの小さなヒーローに恋してしまったのだった。
それから休日の度に彼の家を訪ねるのが新しいわたしの楽しみになった。
名目上は彼の語学教師。
父親の仕事の関係でこの国に来たという彼はまだこちらの言葉は不自由だった。
そこで助けてくれたお礼も兼ねたわたしが彼に言葉を、そして彼はわたしに母国語を
(やはり彼等はわたしの両親と同じ国の出身だった)教えると言う事になった。
彼と自由に喋りたいという一心で、わたしなりに工夫して教えたつもりだ。
その甲斐あってか彼はみるみる上達していった。
そしてわたしも同じ様に少年が教えてくれる言葉を吸収していった。
その言葉はやはり少し幼く乱暴な言葉だったようだ。
そう彼の母親が苦笑しつつ言うのだがわたしは構わなかった。
彼と同じ言葉でしゃべりたかったから。
わたしたちがお互いの言葉で不自由なく喋れる様になってからしばらくして、
彼等は母国に帰る事となった。
別れは悲しい事だった、恥ずかし気もなく涙を流すわたしに彼はこう言ったのだ。
「先生になれば?教えるの上手いし。先生になればこっちに来れるんじゃないの?」
名案だと思った、流石はわたしの愛するダーリン。
数年後、わたし達二人は彼の国で再会した。
教師と生徒として。
すっかり逞しくなった彼は再会を驚きつつも喜んでくれた。
もう少年ではない彼にわたしは心の内を打ち明けた。
彼はわたしを受け入れてくれた。
けど
前にも増して剣道少年いやむしろ剣道バカになった彼。
なんでも「どうしても倒せないライバル」が居るのだそうだ。
毎日練習であまりかまってくれない。
それに
教師と生徒という立場も考えろなどと一人前の事を言う始末。
なんという生殺し
彼が卒業するまでの我慢?
そう思いつつもなんと長き日々よ。
だけどそれで終わるのだろうか、というのが最近のわたしの悩みだ。
と、いうのが件のライバルの事だ。
それと言うのがそのライバルはとんでも無く強いらしいのだ。
彼をして未だに一本が取れないらしい。
彼の事だ、件のライバルを倒す迄とか言い出すのでは無いかと
そんな予感がするのだ。
そうなったら…
そう思うと…
毎晩悶々とし、陸に眠れぬ毎日。結果毎日の様に寝坊。
いけないと思いつつ彼に八つ当たり。
そして自己嫌悪に苛まれ、つい飲んでしまう日々。
そしてまた寝坊、二日酔い。
自己嫌悪、八つ当り
授業に支障はきたしてない積もりだ、
だが、これでは…
なんという悪循環、なんと言う無限地獄。
なんという…
ああだけど、これが惚れた弱味と言う奴か。
なんと憎たらしい、
なんと愛しい…
My Darlong
My Hero
My...
天「(ねぇたかくん、あれ絶対寝てるよね?)」
高「(ああ?いつもの事じゃないか)」
天「(だったら、あれ寝言?)」
高「(ん…どうも英語みたいだな)」
天「(やっぱり英語で夢みてるのかな?」
高「(そうだろう、向こう生まれの向こう育ちだからな)」」
高「(ふーんそうか…そうか、カズコ、ねぇカズコ…」
ソ「…」
天「(ちょっ無視かよ、ソニー!)」
ソ「テスト中だぞ、静かにしたまえM's桜井」
天「(だったらあんたも小声でしゃべりなさいよ!ねぇあの寝言、アンタだったら分るでしょう?
何て言ってるの?)」
ソ「興味無い…それに私達には関係無い事だ。それより試験に集中したまえM's桜井」
す「(そうよそこ静かにしなさい、明日香ちゃん起きちゃうじゃない)」
竹「(いやいや葛城、そこはむしろ起こした方が)」
浩「寝てるのか…しょうがないなまったく」
高「起こすのか東大寺」
浩「当たり前だろ」
天「あ、東大寺もむこうに居たんだよね、何言ってるか分る?」
浩「ん?寝言て……こ…」
明(以下英語)『ああ!こんなことならあの時喰っとけばよかったよ!あのカワイイオチンチンを!』
ソ「ほほう(キラーン)」
浩「!このあふぉぉおおお!起きろ,莫迦明日香!」
明(ビクッ)「っふぃへ!?…あ、」
浩「お前なっ!」
明「あ…あー…えーと…寝てないよ?」
一同「嘘つけ!」
最終更新:2008年04月27日 13:58