ばあちゃんが死んだとき、遺品ってことで倉の中のモン処分することになった時の話さ。
ばあちゃんが若い頃大事にしてたっていう日本人形が出てきたんだ。
結構高価なものだっていうんで、ウチで引き取ったんだけどさ……変なんだ。
しばらく気付かなかったんだよ。でも、やっぱりおかしいんだ。
………伸びてるんだよ。
ムダ毛が。
怖いだろ!?引き取ったときはパイパンだったんだぜ!?
それが一週間、二週間としていくうちにどんどん濃くなって……
今じゃジャングルだぜ!?もう俺怖くって!!
………え?なんで人形の下半身事情を知ってるのかって?お前、話の腰折るなよ。
そんなもん、脱がすからに決まってるだろ。は?俺の話が一番怖い?
そうだろ?怖いだろ!?
新ジャンル「生きてる日本人形」
とある料亭。向かい合う一対の影…。声を潜め、言葉を交わす。
女「お代官さま。南蛮渡来の菓子にございます…。」
男「…ほほぅ。これは見事な山吹色の菓子だの。ワシはコレに目が無くてな…。」
女「それはなにより。隣の部屋には生けるが如き日本人形も用意してございます。」
男「………おい、越後屋。」
女「なんでございましょう?お代官さま。」
男「…ホントに空気嫁を置いてあるとは。」
女「……しかし、中肉で黒髪の『日本人形』なのは間違いございませんでしょう?」
男「…………そりゃ違わんけどさ。」
女「………………それとも何かご不満でございましょうか?何なら私がご相手致しましょうか?」
男「………………………お前、それが狙いだったのか?」
女「はい。……私はお代官さまが欲しゅうございます。
あっという間に燃え上がる二人…。その様子を凹みながら除き込む二つの影…。
男友「……なぁ。踏み込んでいいのか?」
女友「…………そっとしておきましょ。」
なべて世はこともなし。
後世にも、正義の味方として男友達が活躍することもなければ男たちが誅されたと伝えられることもなかった。
ただ、一人の代官が商人の娘を娶り、幸せに暮らしたそうな。
新ジャンル「生けるが如き日本人形」
最終更新:2008年04月27日 15:17