人間以外の男の子とのお話

さて突然だが、俺の部屋に幽霊が出没します。まぁエロパロ板なら、普通はオイシイ展開かも知れません。
「和也よ。茶はまだか?」
あ、和也ってのは俺の名前ですね。ちなみに姓は柏木ですが…どうでもイイっすね。
で、その幽霊は年若く、容姿端麗なヤツなんですが…。
「茶はまだか?あと羊羹も出せ。」
…ええ、見ての通りズボラでわがままです。そして何より…。
「待たせたな。敬一。」
「おう。待ちかねたぞ。」
はい。コイツ男です。…エロパロ板なのに。

俺が住んでいるのは、とある大学の学生寮。この地にはかつて海軍航空隊の基地があり、戦争末期には幾多の特攻機が飛び立っていった。
そして彼、柳川敬一大尉(二階級特進済み)もその一人だったりする。
…まぁ俺の部屋で正座してエロ本を熟読してる英霊というのもどうかと思うが。靖国神社なり護国神社に居なくて良いのか?
言いたいことは色々あるが、とりあえず『あんまり』な面を晒しているので突っ込んでおく。
「なぁ敬一。洋物ばっかり読んでるお前がおっぱい星人なのは把握した。…だが鼻血はスマートじゃないぞ。」
彼ら帝国海軍の心得は『スマートで、目先が利いて、几帳面、負けじ魂、これぞ船乗り』だとか。無様だぞ、大尉殿。
「む…。これはいかん。」
鼻血による出血に対してか、それともシーマンシップに背く己のの行為を恥じてか、敬一は一人ごちる。…多分、前者だろうが。

「ちなみに和也よ。一つ誤解を解いておかねばならない。」
ティッシュを鼻に押し込みつつ、割と真面目な表情を俺に向ける。
涼しげな目元に、色黒で精悍な肌、真摯な表情。うん。血染めのティッシュと坊主頭を考慮してもムカつくくらい美青年だ。
もし俺がそっちの趣味だったらかなり喜ばしい状況だろうが、残念ながら俺はノーマル。こんな事を考えてる俺に対し、口を開いた色男。
「あの頃には『亜米利加娘のぽるの雑誌』など無かったからな…。もっとも、この時代の我が国の娘も良い。昔から考えられないくらい発育が…。」
…やっぱ、おっぱい星人じゃねぇか。
「ところで和也よ。…貴様、性行為はどの頻度で行っている?というか筆下しは済ませたのか?」
えらく唐突だな…。お陰で茶を吹いたぞ。
「その反応だと、まだという訳か。」
大きなお世話だ。ちっ、悔しさの余り目から汗が出てきたぜ。

「手前はどうなんだよ…。」
とはいえ、エロ本程度にあそこまで喰いついてる男だ。少なくとも百戦錬磨ではないだろうし、場合によっては俺と同ランクだろう。
「俺か?…その事で話がある。」
俺の質問に直接答えない敬一。しかも先程の舶来物グラビアを語っていた時より、9割増な真剣な表情をしている。
「おそらく俺が成仏できない原因は多分、童貞なことだ。…そこで貴様に協力を依頼したい。」

「…どういう、ことだ?」
コイツはまさか婦女子の幽霊を連れて来いとかいうなよ?
「俺は肉体を持っていない以上、生身の女子と交われない。かといって、女子の幽霊もそう簡単に見つかるとは思えん。」
「女の幽霊の話なんざ珍しくともないだろ?…お前が死んだあの戦争だって、多くの女子供だって死んでる訳だし。」
実際、ココから10kmほど離れた場所にある工業地帯にもかつては兵廠があった。そこも戦略爆撃の対象となり、作業していた女学生達から多くの犠牲者が出ている。
「残念ながら、俺には霊感というヤツはない。多分、探しても簡単には見つけられないだろう。」
幽霊のクセに霊感がないだと…?そんなアホな。しかし、女幽霊とコンタクトが取れないとなると、いかがしたモノかね。
「そこで提案だ。貴様が上手く女子と情を交わした際に俺に憑依されろ。」
あーと。つまり俺の感覚を通じて擬似的に童貞捨てたい訳ね。…お前、憑依なんてマネできるのかよ!?
「あと、要望を言わせてもらうと胸のふくよかな女人が良いな。…おおそうだ。貴様の研究室、英吉利出身の娘が居たな!
 確か、マーガレットという名前の…。そういえば貴様の従姉も胸が大きかったな…っておい!一体何を!!待て!にんにく投げるな!!塩撒くな!!」
2101時、交戦(エンゲージ)。この戦闘は30分ほど続き、俺の勝利で幕を閉じた。
しかしおっぱい星人からも激しい報復(おやつの盗み食いおよび作成したレポートの廃棄)が行われ、事態は混迷を深めていった。

なお俺が童貞を捨て、柳川敬一大尉が無事に昇天するのはそれから相当の時間を要した事を後述しておく。

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最終更新:2008年04月27日 16:37
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