日曜の昼下がり。
とある高級住宅地の一角。
家の周りに水路。白く長い壁。門から玄関まで続く大きな庭。
そして豪華な日本家屋。
豆田邸は立派な邸宅、いや館であった。
春「会長の家は…凄いな」
豆「旧いだけさ。それと青山!!あたしの事は『陽子』と呼べ!!」
春「な、名前でか?」
豆「貴だけ名前で呼んでるじゃないかぁ!!不公平だぁ!!」
春「…よ、よ、よぅ…」
豆「!!……(ドキドキ)」
春「だぁ!!無理だ!!…しばらくは豆田で頼む」
豆「(ガクッ)…仕方ない」
春『豆田には悪いが…』
XO「…おかえり、お姉ちゃん…!!!…青山さん…!!……と夕圭さん…に…ちびおばさん」
真「ちびはおたがいさまです!!」
春「突っ込み所はそっちかよ!!」
玄関まで出迎えたXOジャンこと貴子の前には四人。姉の陽子、家庭教師
役の春樹。そして真智子に夕圭の姿も。
甜「貴ちゃん久しぶり~(この前はどうも)」
XO「…いらっしゃい(チッ)」
春「ごめんな、貴子ちゃん。大勢で押し掛けて」
XO「…いいえ(青山さんだけで良かったのに…馬鹿姉)」
陽子の部屋は広々とした和室だった。部屋の中央には大きな平机が置かれている。
春「早速始めるか」
豆「えー!!おやつを…」
春「…あのな。TPOにあった発言をしろよ豆田」
豆「もうすぐ二時半…申し分ないじゃないか!!」
ゲシッ
陽子の隣に座った夕圭から突っ込みが入る。
ただし、左フックを突っ込みの範囲に入れるならばの話だが。
甜「駄目だよ~勉強しよ~(馬鹿。誰のせいで来てると思ってる)」
豆「痛てぇ!!…わかったよ(この前のといい…覚えてろよ)」
陽子に勉強を教える。
それが三人にとってどんなに難問だったか。
一時間後、貴子がお茶の差し入れで訪れた時三人の憔悴ぶりは
目に見える物だった。
XO「…すみません…馬鹿な姉で…」
豆「馬鹿って言う方が馬鹿なんだぞ―!!」
XO「…あほ、ぼけなす、のーたりん。まぬけ、がさつ、えぐれ胸も追加…」
豆「orz」
甜「ま、まぁそんなに言っちゃ可愛そうだよ~(でも正解)」
真「(もきゅもきゅ)」
春「…静かにしてるのは良いことだが、遠慮しろよ」
甜「いいじゃない、青山くん。食べてる真智ちゃん可愛いから。
はぅ~お持ち帰りたい~」
XO「…『本音で言ってる。…持って帰って良し』」
豆「ん?貴、そのノートはなんだ?」
XO「…宿題…分からない所…」
春「俺で良ければ教えるよ。でも黒田の方が…」
XO「…お願いします」
微かに表情を変えて春樹にお辞儀をする貴子。
無論、真智子と陽子は優先権を主張する。
それでも春樹は面倒見よく、三人へ丁寧に教えて行く。
甜『本当に面倒見いいよね、青山くん。流石、伝説の教師の息子だけあるわ。
でも真智ちゃんは渡さないよ』
夕圭は一人のんびりとお茶を飲み観察する。
まったりとした時間が過ぎていった。
春「暗くなってきたな。そろそろお暇するよ」
豆「飯くらい食ってけよ。貴の料理は旨いぞ」
XO「…(コクン)」
春「いや、俺が家の番飯作ってるしな。また今度頂くよ。ほら、囲炉裏。
…物欲しそうな顔するな」
真「たべたいです…」
甜「真智ちゃん、帰りにワッフル食べよ~
『もきゅもきゅ真智ちゃんフォト集に加えるチャンスだし』」
真「はいです♪!!!!」
甜「あはは、じゃあ…っ!!!」
長時間の正座で足が痺れたのか、夕圭がバランスを崩した。
そばにいた春樹は受け止めようとするが、受け止めきれず倒れ―
ちゅっ
五人の間に気まずい沈黙が訪れ…なかった。
甜「あ、あ、あはは。ごめんね~青山くん。事故だから…」
春「黒田、ごめん。
俺がきちんと受け止められられらりるれ…」
豆「青山?」
春「だーっ!!く、黒田ぁー!!」
甜「は、はい!!」
春「せ、責任は取るからな!!じゃあまた明日!!」
脱兎の勢いで春樹は豆田邸を後にした。
甜『青山くん…ちょっと男らしかったな。
えっ!?真智ちゃんが怖い顔して…って豆田姉妹も!!』
真「ゆかさんのうらぎりもの(ぷいっ)」
豆「テンメンジャン…ちょっとトサカに来たぜ…体に叩き込ませて貰う!!」
XO「……テンメンジャン!!(シャキン)」
甜「ま、真智ちゃんorz…そ、それに二人とも校外ではコードネーム禁止…」
豆「問答ぉ―!!!」
XO「無用…!!!!」
真「なのです!!!!!」
三人の制裁を喰らう夕圭ことテンメンジャン。
「明日青山くん半殺し」「でも青山くんも捨てがたいな」
「医療費は経費に入るはず」「明らかに私ってオチ要員…!?」
様々な事を頭に浮かべつつ、ゆっくりと意識を手放していった…
最終更新:2008年04月27日 20:58