野望編「夜襲」

思わぬ形でテンメンジャンと口づけを交わしてしまった青山春樹。

『責任…取らないとな。…でも、黒田の唇、凄く柔らかかったな。』
『…唇だけじゃない。受け止めた時、思わず抱きしめたけど…腕も、…胸も、柔らかかった。』
『あいつ、なにかと囲炉裏の面倒を見てくれてる優しいヤツだしな…。』
『責任取るって…ああいう事だよな…。』

恋愛経験値の低い青少年ならではの、青春な思考ループにどっぷり嵌っていた。
そんなモヤモヤの続いた状態で自宅のドアを開けたところで、いつものように飛びついてくる人影。

ルカ「あ!ハル―!おかえりー!(ぎゅ~~)」
春「…ああ。ただいま。」
ルカ「あれ?なんかリアクション薄くない?」
春「…ああ。」
ルカ「…ね~、ご飯は~。」
春「…ああ。待ってろ。」

ふらつきながらも台所に向かう春樹。思考にメモリの大部分が割かれており、通常モードの1割以下のスペックしか出ていないようだ。
ルカ「なんか疲れてない?…ってちょっと~!魚、焼け過ぎてる!ってか焦げてる!!」
春「…ああ。」
ルカ「…ねぇハル、一体どうしたの?いくら何でも上の空過ぎない!?」
春「…ああ。」
ルカ「……………。」

ルカ「…ははーん、さては真智ちゃんとなにかあったの?それとも理菜ちゃんと?
   手をつないでるのはいつもの事として…キスでもしたのかな~?お姉さんにば~んと話してごらんなさい!!」
春「…ああ。」
ルカ「ちょと!そこは『お前、妹だろ!!』って突っ込むところでしょ!?ボケ殺し!?」
春「…ああ。」
ルカ「…………………。」

ルカ「ハル…。疲れてるんだよね?休んだ方がいいよ?」
春「…ああ。」

ルカ「…ハル。他の女の臭いが付いてたわよ…。真智ちゃんだけじゃなく、もっと沢山の女の人たちの。」
あんなに上の空なのも、きっと、その中の誰かと何かあったんだよね?
…でもね。アドバンテージを一番持ってるのは私なんだよ?…生まれた時からハルは私の半身。絶対に離さない。

そして少女は足音を忍ばせ、兄の部屋に潜り込む。決意を固めた女の表情を浮かべて…。

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最終更新:2008年04月27日 20:32
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