とある朝。XOジャンがいつものように台所に向かったところで、あり得ない光景と遭遇する。
豆「あ、おはようございます。貴子さん。」
XO『………誰?』
ただ、その姿は姉の陽子以外の何者でもない。
青山はいつもの様に台所に立つ。…普段、助太刀に来てくれるのはXOジャンのみなのだが、今日は一人多かったりする。
春「………豆田?」
豆「はい。お手伝いしますね、青山さん。」
春『何か悪いモノでも喰ったのか?』
普段は真夏の日差しのような笑顔の彼女が、今日は抑え気味の春の日差しくらいで落ち着いてる。
そして随分と柔らかく、随分と知性的で落ち着きのある言葉を発する彼女は、普段の豆田陽子を知る人間にとっては別人物にしか思えない。
その結果として朝食時…。普段はやかましいくらいの食卓が、随分と静かだったりする。
もきゅもきゅとひたすら口を動かしている囲炉裏真智子はいつものことだが、普段煩いくらいのルカや夏実すら沈黙を守っているのは珍しい。
一同、思う事は一つである。
『一体、何があったんだ!?』
もっとも彼女と面識のない春父および春母にしたら
『彼女、誰?』
な訳だが…。
この混乱は、当然学校でも起こるわけで…。
男友「あ、会長!おはよ~っす!」
豆「あら、おはようございます、音胡さん。」
男友「……え?な、何だ!?…か、会長!?」
豆「…いかがされました?」
男友「か、会長が!愛らしいけどちょっとお馬鹿な会長が!!ぅ、うわぁぁぁぁぁぁぁぁん!!(涙ながらにダッシュ)。」
豆「…随分と失礼な事を仰るのですね。」
その日の授業も普段寝ているだけの会長が起きている…どころか積極的にノートを取って発言する様子に、教室は大混乱に陥った。
すったもんだがあった末に昼休みのランチタイム。
例によって春の日差しの様な笑顔を見せながら、さりげなく春樹の隣をキープするトウバンジャン。
そして自分が作った卵焼きを春樹に差出し、評価を求める。
出汁を利かせた卵は火が通っているにも関わらず、柔らかな食感を伝えている。
春「豆田、料理上手いんだな…。」
豆「見よう見まねですから、春樹さんや貴子さんには敵いませんよ。…それよりも名前で呼んで下さい。陽子って。」
おもわず気道に食べ物が入りむせ返る春樹。周囲は殺気立つが、当の本人は華麗にスルー。
そして、春樹の口元に着いた食べ物をハンカチでフキフキ。
春「ちょ、ちょっと。そこまでしなくて良いよ。…迷惑だろ?」
豆「あらあら…好いている殿方の面倒を見れるなんて迷惑なんて思いませんよ?むしろ幸せです。」
『…………………』
一同、固まるしかないだろう。…そして再び時が動き出した時、少年は地獄を見た。
青山春樹が断末魔の痙攣をしている頃、トウバンジャンを除いた一同は緊急会議をしてたりする。
甜「で、原因はなんなのかな~?」
XO「……多分、肉断ちが続いたから。…煮干しも最近与えてなかったから、ずっと精進料理状態の食事。……何か悟ってしまったのかも。」
ルカ「へ~。でもさ、陽子ちゃんが今の状態なら、ハルも楽できていいんじゃない?」
真「よくありません!ひーとでおばかだからあまりがいはないとおもっていたのに、このままでははるくんがおしたおされてしまいます!!」
XO『確かに今のお姉ちゃんは驚異。…でも、それ以上に、元気のないお姉ちゃんなんて。』
なお、その頃トウバンジャンは春樹を保健室まで送り届けており、その後もまっすぐ教室へと戻っていった。
そして日も傾きかけた頃、意識を取り戻した春樹は何とはなしに呟く。
真「黒田に責任とらなきゃいけないのに、豆田も俺のことを…。」
悩む青年。…しかし、ヒロインの囲炉裏真智子、妹属性の青山春香、幼馴染遠山理奈に加え、実質通い妻の豆田貴子がリストアップされていない辺りが青山春樹たる所以だろう。
ともかく、青山春樹争奪戦の最前線に殴り込んだ豆田陽子。彼女は元に戻れるのか?…そして、今後もこのアドバンテージを活かせるのか?
最終更新:2008年04月27日 20:32