部屋の隅で唸って寝るハルを見て改めて思う。
『ハル女の子に人気有るんだなぁ』と。
さっき豆田姉が裸を見られてもハルには文句一つ言わなかった。
(そのかわり主犯の真智ちゃんとは大喧嘩したんだけど)
その豆田姉と真智ちゃん、それに夕圭ちゃんは今揃ってお風呂タイム。
貴子ちゃんは何処かへ出掛けている。
…この部屋には私達二人だけ。ちょっとドキドキするね、ハル。
私は静かに双子の兄に近付く。タオルで冷やしてるのに、顔はほんのり赤い。
久々の大出血だったし。
少し温くなったタオルを変えようとしたその時
「……ルカ?」
「あ、ハル!大丈夫?」
目を覚ましたハル。
いつもは少しだけ険のある目付きが柔らかい。こうして見ると私に似た目の形。
双子である事を実感すると同時に残念な気持ちすら湧いてくる…
「そっか…俺倒れたのか…すまないな」
「気にしないの…妹なんだからさ」
「ルカには迷惑かけっぱなしだな。一緒に産まれてから」
そんな事は決してない。
共働きの両親に変わって私の面倒を見てくれたハル。
風邪で寝込んだ私に、火傷を負いながらもお粥を作ってくれたハル。
毎朝低血圧の私を起こし、ご飯を作ってくれるハル…
私の人生はハルとずっと一緒だった。
誰にも渡したくなんかない…
私はそんな大切な人を渡したくないから、よその女の子をハルから遠ざけた。
幼馴染みの理菜と協力して、あらゆる手段を使った。
そのせいかハルは極端なまでに女性が苦手になってしまった。
ごめんね、ハル…
「泣くなよ…」
気が付くと、ハルが私を優しく抱き締めてくれていた。
「は、ハル…ごめん」
「体調悪いのか?無理しないで休めよ」
鈍いけど優しいハル。
私の大好きなハル。
「布団敷くか?」
「ううん…平気…」
浴衣の裾で涙を拭う。
「ちょっと昔思い出しただけ。大丈夫」
「無理すんなよ」
私の頭にポンと手を置くハル。あったかい手…
ハル…ハルの隣にどんな女の子が来るか分からないけど、私が責任持って見定めるね。
ハルにふさわしい女の子ならちゃんと祝福するから……
でも誰もふさわしくないんだったら……
ズットズット…
ワタシガイッショニイルカラネ……
最終更新:2008年04月27日 20:49