野望編「Counter attack」

二人きりの部屋。抱きしめる兄のぬくもりを感じ、鼓動を聞いているうちに青山春香は気持ちが落ち着きつつあることを感じていた。

ルカ「ハルにハグしてもらうの久しぶりかも…。えへへへへ。」
春「そうだな。お前が泣いてた度にやってたな。…これでルカが元気になるなら、これから、いつでもやってやるさ。」
ルカ「うん、ハル…ありがと。えへへへへへへ(すりすり)。」
春「お、おいおい。甘えんぼな所は相変わらずだな…。落ち着いたなら、そろそろ離れろ。」
ちょっぴり思考の暗黒面に落ちかけていたルカ。しかし現金なもので、今現在はピンク色の理力を放ちまくっている。
もっとも、幸福な時間など、そう長く続くものではない。
真「おまんじゅ、おまんじゅ………って。え、ぇぇぇぇえええ?」

一方、露天風呂にて…。

「たぁーーーーーーっ!!」
「はっ!!やぁ!」
黒づくめの襲撃者の一撃をトウバンジャンが捌いているその脇、テンメンジャンは援護のタイミングを計っていた。
ひとしきりの打ち合いが終わり、両者が間合いを取った瞬間を狙って彼女は投擲する。
飛翔体はヘアシャンプー。…上手くいけば、襲撃者の視界を殺せる。…標的はたやすく回避するが、そこに再度肉薄するトウバンジャン。
格闘戦を得意とする彼女と互角な辺り、やはり只者ではないのだろう。
甜『飛び道具では大した効果はない…か。後ろを取って、トウバンジャンと挟撃する。』
そして、狙った位置の半分近くまで達したところで、事態をさらに混乱させる大声。

真「あ~~~~~~~!!はるくんとるかさんがだきあってる~~~~~!」
「「「な、なんだって~~~~~~~!?」」」
ひとしきり叫んだ後、我に返るテンメンジャン。
甜『マズイ。結構、気をとられた。…凄い隙が出来てた筈。』
しかし視線を戻した先に襲撃者の姿はなく、…更には相方トウバンジャンの姿さえも無かった。

豆「春樹ぃぃぃぃ!!!何してる!!?」
?「ルカ~~~!!貴女、やり過ぎよ!!!」

…どうやら二人とも、ここでの戦いを放棄して青山の下に向かったようだ。

そして、彼女も春樹の下にたどり着いたとき、彼は妹に抱きつかれながら、4人の少女にタコ殴りにされていた。

最初から残っていたルカに第一発見者の囲炉裏。加えてトウバンジャンに例の襲撃者、挙句いつの間にか戻ってきたXOジャンまで居たりする。
ルカ「ん~~~~。ハルぅ(すりすり)。」
豆「春樹~~~~!!!あたしという者がありながら!!!あたしの裸じゃ不満か!!!!?(ぼかすか)」
真「ふ、ふえぇぇぇぇん。はるくんのうわきものぉぉぉぉ!!!!(ぽかぽか)」
XO「……春樹さん。浮気者には、お仕置き(ぎゅ~~~)。」
?「春くんの馬鹿ぁ!!浮気者ぉぉ!!!(げしげし)」

ちょっぴり意識が飛びかけているが、何とか持っている春樹。完全に気を失う前に、事態沈静と原因解明の為の叫び声を上げる。
春「ちょ、ちょっとお前ら落ち着け!!ルカ!とりあえず離れてくれ!!
  豆田!!お前のおっぱいは十分に…もとい!!あれは事故だ!!許せ!!! 囲炉裏!!晩飯分けるから泣き止め!!!
  貴子ちゃん!!抓るのやめて!地味に痛い!! あと理奈!!何でお前がここに居る!!!?」
「「「「「…え?」」」」」

?「あは、あはははは。ち、違うってば~。き、きっと他人の空似ってヤツよ。そう、私の名は初代XOジャン!!!」
汗だくになりつつ誤魔化す黒尽くめの少女。黒のレザースーツに口元を覆った黒のマフラー。
ポーズをとりながら名乗りを上げる彼女に冷ややかな目を向けながら、春樹は口を開く。

春「初代でも5代目でもいいが、お前、何て格好してるんだ?なんの真似かは知らんが、まさかコスプレ好きだったとは。
  しかもXOジャンって…。中華調味料かよ?もっとマシな名前なかったのか?」
?「………はい?」

春樹、天然鈍感男ゆえ、事態をまったく把握できていない。しかし、突っ込み体質の彼にすれば不可解な彼女の格好は絶好の標的である。
春「そもそもバイクにも乗らないのに革スーツって何だよ?戦隊モノに憧れてるなら、黒の全身タイツでも良いんじゃないか?
  いや、それでは仮面ラ○ダーの雑魚的と被るか…。まぁともかく今のお前はシ○ッカーの戦闘員以下だ。」
?『ふ、ふぇぇぇぇん。春くんのお説教モード、はじまっちゃった…。しかも吐いてる毒、当社比で8割増しだよぉ…。』

春樹の突っ込み(もしくは駄目出し)の嵐に戦慄を覚える他3名。
甜『い、言えない…。絶対に言えない…。』
豆『あ、あたしら生徒会メンバーが【四天王】なんて名乗ってるなんて、
XO『…こんな蔑みと憐れみを伴った目で見られる。………耐えられない。』

小一時間延々と突っ込みは続き、襲撃者が涙目になったところでようやく春樹は満足したのか、事態はようやく収束する。
春「しかし、なんでわざわざこんな遠いところまで…。宿は取ったのか?…取ってないだと?
  まぁなんだ、今からなら今日中に帰れるか。理奈にもちゃんと土産買って帰るからさ、向こうで待っててくれよ。
  この近くで売ってる桜鯛の骨せんべい、お前、好きだっただろ?」

この一言でテンションが復活する襲撃者。
?「春くん…。うん!待ってるから!!(しゅたっ)」
一陣の風を残し、彼女の姿は見えなくなった。…そりゃ理奈、身体能力が高いのは知ってたが、ありゃ忍者かよ?
全く訳の分らない幕引きだったが、ともかく腹が減った。
春「そろそろ晩飯か…。」

もっとも、自分の取り分の半分は囲炉裏の胃袋に消えるのだろうが…。
ともかく、謎の襲撃者を撃退した青山一行。しかし、青山春樹個人に対しては未だ数多の試練が残されている。

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最終更新:2008年04月27日 18:11
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