春樹と愉快な仲間達の宿からほど近い、ある山の中。
そこには黒いボディスーツの少女、遠山理菜の姿があった。
「帰るつもりだったけど…どうも胸騒ぎがするのよね…」
先程春樹から帰る様にきつく言われたが、それでもその気になれない。高性能双眼鏡を手に、理菜は張り込みを再開する。
「春くんと変な虫がくっ付かないためにも…!!」
六人の食卓には、数多くの美味しそうな料理が並んでいた。
春樹は嘆息する。
「すげぇ…言うことは何もない……」
「…おいしそうです」
「真智ちゃんよだれ垂れてるよ~(ふきふき)」
「………!!(親指を立てる貴子)」
「豪華~おいしそう!!」
しかし、一人浮かない表情の陽子。その視線はある一皿に注がれている…
「どうしたの?陽子」
「…お姉ちゃん…イカの類は…だめ…」
夕圭の質問へ代わりに貴子が答える。陽子は固まって動かない。
「なんだ、豆田はイカが苦手なのか?」
「春樹、イカなんて食いもんじゃない!!これは毒なんだー!!!!」
「ま、まあ嫌いな物を無理に食えとは…」
陽子の剣幕に圧倒される春樹。しかし…
「残念ね、ハルの大得意料理『大根とイカの煮物』に『イカのマリネ』
なんて食べられないんだ、豆田姉は」
「おいしかったです!!」
ルカと真智子の発言により、陽子の表情は更に固くなる…
『まずいっ!!春樹の得意料理が食べられない→争奪戦にマイナス→
他のヤツに春樹を取られる!!……貴っ、あたしは今こそ限界を越えてみせるっ!!!!』
陽子は箸を手に取ると、凄い勢いでイカを口に運んでいく。
『うげぇ…ま、不味い!!で、でも食べるんだ、食べてみせる!!』
「ま、豆田!?」
「ち、ちょっと!?陽子、大丈夫なの!?」
春樹と夕圭の声には耳を傾けず、必死にイカを口に運ぶ陽子。
『あたしの秘策!!慣れないイカで気分の悪くなったあたしを春樹が介抱
→弱って甘えるあたしに春樹はドキドキ→結ばれる二人!!!!
ドキドキプランδ【ごめん駄目みたい】発動!!』
やがて限界を迎えた陽子の動きが止まる。
そして……
(暫くお待ち下さい)
フラフラになった陽子は横になる。慌てて介抱を試みる春樹。だが……
「…春樹さん。…駄目。甘やかすと…癖に…」
妹であるはずの貴子に制止させられる。
「た、貴…?」
「でも貴子ちゃん、いくら何でも…」
「大丈夫…私が……解毒作用の…ツボを」
貴子は陽子に近寄り、背中数ヶ所のツボをかなり強めに押す。
『グヘッ!!た、貴っ!!!!てめえ何しやが…………声が出ねぇ!!!!
おまけに体も動きゃしねぇ!!!!』
ツボを押した貴子は平然と食事に戻る。
「体を…一時的に麻痺…これで体内の毒素の…分解促進」
『貴っ、酷いぞ―!!』
『勝負は非情なもの……それに抜け駆けしようとした罰…』
目で会話する豆田姉妹。更に貴子は止めを刺す。
『馬鹿姉…私達の結婚式には呼んであげる…』
『くそー――っ!!!orz』
身内にして最大の敵を倒した、XOジャンこと豆田貴子。しかし…
「はい、ハル。あーん」
「はるくん、くちうつしでたべさせてください」
「青山くん、もっと側に来なよ~」
「さ、三人とも離れろ~(ああ、大きさと柔らかさの黒田、抜群の弾力と張りのルカ、
それにちんまり掌サイズ&ノーブラの囲炉裏の胸が)!!!!!」
負けるな、貴子!!
闘えXOジャン!!!!
君には胸は無くとも知恵がある!!!!
最終更新:2008年04月27日 20:56