『勝者は全てを手に入れ、敗者は全てを失う』
布団の上に無様に転がっている友に目を向け、テンメンジャンはふと感傷的な気分になった。
そして友を討ち果たし、次の標的を自分に定めたであろう少女を見返そうとした時、新たな脅威に気付く。
『山の中腹から光の反射?…双眼鏡か?』
覗き…とすれば許すつもりはない。…そうでなければ夕方現れた少女、遠山理奈の線も考えられる。…そちらの方が厄介か。
XOジャンに視線を返す際にこの情報を伝達。帰って来た視線は不敵な笑みも含ませていた。
『……………罠なら仕込んである。細工は流々仕上げを御覧じろ。』
『ま~貴ちゃんが仕込んだなら間違いなさそうだけどさ。』
手はもう一重打っておくべきか…。そう考え、夕圭は携帯電話をとりだして3桁の番号を入力する。
「はい。○×署です。」
「あ、お巡りさん?ちょっと前、変質者が出てきたんですよ。
黒尽くめの人だったんですけど、いきなり露天風呂に乱入してきて…。」
「…不審者ですか?分りました。何人かパトロールに向かわせます。」
…これで外敵は排除できるだろう。青山くんに帰れって言われている以上、彼女も殴りこみには来れないだろうし。
さて、戦闘を続行するか。
「ねぇ青山くん。この料理、すっごく美味しいね。どうやって作るのかな?」
「鯖を昆布でしめた後、バーナーで炙ったのかな?…鯖は難しいけど、鰯とか鯛なら…。
って黒田、くっ付きすぎ!!(む、胸が……)」
最終更新:2008年04月27日 18:12