「ひぐっ。えぐっ。はるくん、きちくさんです。」
敗者に下された制裁。苦悶の表情を浮かべつつ試練を乗り越えた囲炉裏。
しかし、彼女を迎えたのは仲間たちの労いの言葉ではなかった。
「甘い!!甘いわ、囲炉裏真智子!!!何、イヤイヤ青汁を飲んでるのよ!!!?」
「あ、あなたは!?」
青山春香でも、豆田姉妹でも、黒田夕圭でもない、しかし囲炉裏真智子も知っている少女の声。
…何故かボロボロな格好をしていたのかは知らないが。
「理菜ぁ!?帰ってなかったの~!?」
「な、何でお前が居るんだよ!?(ようやく復活)」
『……ねぇ………XOジャン。』
『………ええ。………しくじったみたい。』
周囲の困惑を他所に、大いに熱弁する遠山理菜。
「そもそもあなた判ってない!罰ゲームといえど、春くんが単なる市販品を出すと思ってるの!?
素材を吟味した究極の青汁よ!!ケールの葉を一枚一枚選別してミキサーにかけてるのよ!?」
そんな彼女に最もドン引きしてるのは彼、青山春樹。
「いや。コイツは市販品だから…。お前に普段出してるヤツとは別モノだぞ?」
そんな彼に内心突っ込む一同。
『作ってるのかよ!!!』
青汁への熱きパトスを心行くまでシャウトした彼女に対し、現状を確認するべく口を開く春樹。
「それそうと、帰り損ねたんだよな?もう時間も遅いし。 …理菜、俺の布団を使うか?(ソファーで寝れば良いし)」
半ば期待はしていたが、狙い通りな展開に歓喜の表情を浮かべる彼女。
「…えっ?良いの?良いの~!!?じゃ、早速、一緒に寝よ!?(添い寝フラグキターーーーーー!!!)」
「いや、だから俺はソファーで…。」
「「だ、ダメーーーー!!!」」
春樹の言葉を遮る叫び声。そこには断固たる反対を示す二人の姿。
「だ、だめですはるくん!!」
「そ、そうだぞ!!男女七歳にして同棲せずって言ってるだろ!?」
「………………それは同衾。馬鹿姉。」
「orz」
対して、二人ほどは条件付き賛成の様だが…。
「別に良いじゃん。ハルと私、中学に上がるまで一緒の布団で寝てたし。あ、ハル~、久しぶりにどう?」
「断るっ!というか。話をややこしくしないでくれ!!」
「あら?青山君は私の裸、ご不満?」
「そりゃ非常に魅力的…なんだが、やっぱ駄目だ!!第一、折角の布団が狭くなるだろ!?」
そして動いた策士。
『……………そう。狭いのならば、次の手がある。』
「………春樹さん。身体の私なら、一緒に寝てもあまり迷惑をかけない(この身体に感謝)。」
しかし、あっさりと入る横槍。
「む~~~~~!だめです!からだのサイズもわたしだってかわりません!!だからわたしと!!」
彼女らに続いて名乗りを上げた始めた少女達をわき目に、春樹は思考を巡らせる。
二人の顔を交互に眺め、出てきた結論は…。
「そうだな。」
「「…えっ!?」」
「囲炉裏、一緒に寝てくれ。………貴子ちゃんと。(二人のサイズなら、それほど窮屈じゃないだろ)」
『そんなオチなんて………』
愕然と、そして憤然と布団に潜り込む両者。
「む~~~~~~~~~~~。よりにもよってこのまめこと~~~。」
「……………黙れ、ちびおばさん。」
「もう夜も更けたんだ。二人ともさっさと寝ろ。もう12時まわってるんだし。」
全員が布団に潜り込み、春樹が電灯を消すと共に最終戦のゴングが鳴る。
暗闇の中、6対の瞳が妖しく輝く。
最終更新:2008年07月11日 22:10