真智子とルカ、二人の侵入者を退けた春樹だが、ある事に気付く。
「まだ昼前…って事はあいつら学校サボリか…」
いささか憮然とする春樹の頭に、『本日晩御飯抜き』と厳しい制裁案が浮かぶ。
「…ったくあいつら」
「はわわ…はるくん、おこってました…」
「ハルが本気になって怒ると恐いから…どうしようか…」
「でも…ゆかさんとぶんだんしなきゃ」
真智子とルカ、二人揃って顔を見合わせるばかりで、いい案は出ない。
「こまりました…」
さて豆田姉妹は。
「…お姉ちゃん、どうやって早退許可を?」
「生徒会規則32章2項…ここを読んでみ」
陽子は生徒手帳を貴子に手渡す。
「…『生徒会役員は生徒会行事その他適時に応じ、欠席を公休へ申請できる』…………
お姉ちゃんが校則に詳しいなんて…意外」
「芝村に教えて貰って、都合が良いから覚えてたんだよ。つー事であたし達はサボリじゃない!!」
陽子は薄い胸を張る。
「…でもどういった作戦をとるの?…テンメンジャンは病気だけど策士…」
「ねぇよ」
「…は?」
「あたしが思い付いたのは学校を出るまで!!後は正面から!!力押しなら負けはしない!!」
熱く燃える姉を見て、貴子は心中で呟く。
『やっぱり馬鹿姉…』
豆田姉妹は青山家近くの公園で作戦を練る。
「なんだよ?春樹んち行かねえのか?」
「……待って。今策を………………」
『貴の悪い癖だな…』
さすが姉妹。お互いの欠点は十分理解している…
「…よし、お姉ちゃんちょっと耳を…」
「おっ!?何かひらめ……(ガシッ)…うっ!!」
耳を寄せた陽子に、死角から攻撃を入れた貴子。
「……ごめんね、お姉ちゃん。具合が悪くなったお姉ちゃんを…青山家に運ぶ作戦に…」
…貴子の作戦。それは『具合の悪い姉を青山家に運び、内部に入り込む口実を作る』
というものだった。
「…今日はお肉料理にするからね…」
そう言って姉の体に手をかけ―
ドムッ
「かはっ!!……」
突然の急所攻撃に意識を刈り取られる貴子。
「…甘えよ。何と無く嫌な予感がしたから、警戒はしてたんだ。悪ぃな貴……」
陽子が済まなそうな顔で倒れた妹を見る。
「あたしがきっちり春樹をモノにしてやる!!」
最終更新:2008年07月11日 23:09