青春編「風邪引き 中盤戦」

「ふふっ。そろそろ春くんが様子を伺いにやって来るはず…
ベッドに引きずり込んでしまえば、私の勝ち!!」
理菜はベッドの中でほくそ笑む。昨日池へ落ちた後に思い付いた起死回生の作戦。

『風邪のふりで、グラウンド勝負inアダルト』

「早くこないかな~」
理菜は静かにベッドの中で獲物を待つ…


「おい、囲炉裏。勝手に入って良いのか?」
「かぎあいてましたし、だれかいるはず。ようすみてぷりんです」
既に頭はプリンで一杯の真智子。反対に陽子は嫌な予感が頭から離れない。
『どうも妙だ、嫌な予感しまくりだぜ…』


ガチャ

「(小声で)ねてるようですから、おかゆをおいておきましょう」
真智子がベッドそばのサイドボードにお粥を置いた。

次の瞬間。

ベッドから手が伸び、真智子の姿が消える。

「○※△%◇!!!」
「春く――ん!!!!」
「い、囲炉裏っ!!!!」


貴子は頭の痛みで目を覚ました。
「……つぅ!!……お姉ちゃん……?」
「気が付いた?貴子ちゃん」
「…ルカさん?…ここは……春樹さんの…?」
「そうよ。頭にコブなんて喧嘩したの?」

貴子が頭に手をやると大きなコブが出来ていて、おまけにかなり痛い。
『…そうだ、お姉ちゃんに反撃されて……お姉ちゃんの晩ご飯は【お麩だけ】の刑…!!』

貴子が密かに決意した時、ルカが貴子に尋ねた。
「貴子ちゃんは……ハルのどんな所が気に入ったのかな?」
「!!…ル、ルカさん!?」
余りにも直球な質問に慌てる貴子。
「い、一体…そ、その質問は……」
「……ごめん、変な事を聞いて。忘れて」
下を向くルカの表情を、貴子からは読む事が出来ない。
「……春樹さんといると暖かいから……春樹さんに笑って貰えると幸せだから……」
「貴子ちゃん……」



「黒田?起きてたのか」
「う、うん。さすがに目が冴えちゃって…」
春樹が夕圭の部屋を訪れると、ベッドに半身を起こした夕圭の姿が。
「顔色も随分良くなったみたいだし…どれ熱はどうかな……」
春樹が夕圭の額に手を当てる。
『ひゃっ!!春樹…くんの手が…!!』
「ありゃ?意外にまだ高いな……って顔赤くなってる。熱上がった?」
「わ、分かんないよ……そんなの……」
「まあ、ゆっくり休んでおけよ。何かして欲しい事あるか?」

夕圭は少し躊躇いがちに切り出す。
「……あのね」
「おう、なんだ?」
「あ、青山くんのことを『春樹くん』て呼んでも……いい……かな?」
顔に血が集まるのを感じるのと同時に、再び頭がクラクラとなる夕圭。
『やば…わ、私何を……言って……』
「ああ。構わないが?」

「!!……うん、ありがとう……春樹……くん」
ニコリと柔らかく微笑む夕圭を見て、春樹の心は踊る。
『黒田ってこんな優しい顔で笑うんだ……な、なんか胸が……!!』
普段とは違う夕圭の笑顔に揺れ動く、春樹の(恋愛経験値低い)男心。
更に百合地獄へ引きずり込まれた、囲炉裏真智子の運命は!?

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最終更新:2008年07月14日 22:43
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