囲炉裏が飲み込まれて数秒、不気味に布団は蠢いている…。まるで捕獲した獲物を食しているかのように…。
後に豆田陽子は語る。
「あ…ありのまま、あの時起こった事を話すぜ!
『囲炉裏が布団の中に引きずり込まれた。…そして桃色な声が聞こえてきた。』
な…何を言ってるのかわからねーと思うが、あたしも何が起こったのかわからなかった…
頭がどうにかなりそうだった…。レズだとか百合地獄だとか、そんなチャチなもんじゃあ断じてねえ。もっと恐ろしいものの片鱗を味わったぜ…。」
そして現状の再確認を実施する。
『看護対象のハズの遠山理菜…。コイツは全くピンピンしている。
で、一緒に来た囲炉裏が現在進行形で誤食されてる。…コイツら、放って帰っても別に問題ないよな?』
囲炉裏の不用意な行動が招いた結果だが、そのお陰で厄介な遠山理菜の足止めに成功しているようだし…。
それ以上に春樹と夕圭の仲がこれ以上進展するのを阻止することが当面の優先事項である。
お粥を置いてくる事がミッションクリアの条件だが、これを果たした以上、長居してやる義理もない。
布団の中から、囲炉裏のものと思われるブラやショーツが飛んでくるのを脇目に、踵を返して玄関に向かう陽子。
特に、彼女のブラに対しては優越感と憐れみの混じった表情を浮かべながら…。
「……囲炉裏。聞こえているなら、君の胸の不作を恨むがいい。」
布団の中から何かが呻く様な『音』は聞こえるが、明瞭な声としては聞き取れない。
『哀れな…。押し倒された上に口も塞がれたか…。『口を使って』塞がれてなけりゃ良いが…。』
後日、囲炉裏の涙ながらの証言から、青山春樹は『やっぱり理菜、レズだったんだな』と再度確信を得たそうである。
最終更新:2008年07月14日 23:07