会長「男くんとお付き合いを始めたそうですね。おめでとうございます」
幼「ありがと。……で?なんなのこの娘ら」
―――幼馴染みと会長を囲むようにして、女の子たちがズラリ
会「何って、我らが『男くんを影から見守り日向から愛でる会』のメンバーたちですが」
幼「他校の子もいるじゃない。……ホント、もてる彼氏を作っちゃったものね」
会「下手な挑発はおやめなさいな。私とて手荒な真似はしたくありません」
幼「これだけの数で囲んでおいてよく言うわ」
会「……幹部の中には、まだ得心がいかない者も多い。なんとか召集をかけても、コレだけしか集まらなかったのです」
幼「どんだけの規模よ。まぁいいわ。好きにすれば?アンタはこんな真似しないと思ってたあたしが馬鹿だったってことね」
会「こんな真似、とは?」
幼「………ッ!!だから、気に入らないからってあたしをどうにかしようっていう薄汚い真似よ!」
会「………私は会長です。私には、会員の総意を汲む義務がある」
幼「はっ!大変ね」
会「まったくです。私も所詮はファンクラブの一メンバーにすぎなかったということでしょう。
誘蛾灯の周りを飛ぶ羽虫と同じ。誰より光に憧れて、でも、光に触れると焼かれてしまう。
あなたがうらやましい。あなたは、その光になんなく触れることができ、その輝きを受けて自身も輝くことができる」
幼「言ってる意味がよくわかんないけどさ、やるんなら、はやくすれば?……逃げはしないわ。この数からは、どうせ逃げられないだろうしね」
会「話が早くて助かります。………では、私から」
ドクン ドクン ドクン ドクン ドクン
幼(ごめんね…あたし……どんなになちゃっても……男は、あたしを好きでいてくれるかな?)
スッ
幼「やっ………!!」
ギュ。
幼「………へ?」
会「―――ああ。これが、男くんと手をつないだ手なのですね」ウットリ
幼「………………………………なにやってんの、アンタ」
会「何って、決まっているでしょう。間接握手です。諜報部は早い段階で、あなたが男くんと手をつないで下校しているという情報を掴んでいました。
幹部はいきりたって粛清部を動かそうとしましたが、私はこのことを逆手にとって間接的に男くんと触れ合う機会を作ろうと考えたのです」
幼「…………前から思ってたけど、あんたって本当はバカ?」
会「全国模試で100番以下になったことはありませんが何か?」
幼「ちょっと待って、じゃあこの子たちって」
会「私と同じ、間接握手を求める者たちです。あなたには名誉会員になっていただき、月に一度間接握手会を開いていただきます」
幼「なんであたしが!」
会「(組織の幹部をなだめるにはそれしかなかったのです!命惜しくば、協力してください!)」
幼「……どんだけの規模よ。わかったわよ、もぉ……」
会「助かります。ではこれより第一回『キミも旧倉庫で名誉会員と握手!会』を開催いたします!!」
ワッ!!
会「………ところで」
幼「なによ……あ~~、疲れた」
会「男くんとは、もうキスをしましたか?」
幼「………なッ///」ボッ
会「………」ジー
幼「そ、それは嫌だからね!!」
最終更新:2007年07月26日 23:33