僕の恋人、鈴木さん

ぢゅうっ、ちゅ、くぷ、づるるっ……

熊のぬいぐるみやペンギンの貯金箱などが飾ってある、女の子の部屋以外の何物でもない空間に、
その淫靡な音はまったく場違いだといつも思う。
頭の片隅でそんなことを考えるのは、もちろん鈴木さんの行為に意識を持っていかれないためだ。
まともにこの快楽に身を委ねたりしたら、間違いなく腰砕けになって
鈴木さんのなすがままになってしまうだろうから。それでは男としてあまりに情けない。
………まあ、まったくもって今さらなんだけどさ。

「ん、んふ……ふぅっ……く、ふぅぅ……っ」

ちゅ……ぴちゃ、ずるるっ……れろ、ぺちゃぺちゃ……

鈴木さんは腰に腕を回して、ほとんど僕を抱きしめるようにして、
まるで三日三晩砂漠を彷徨った旅人がキンキンに冷えたミネラルウォーターを
前にしたような勢いでフェラチオに没頭している。
そこには、窓際最後列が定位置の引っ込み思案な美術部部長の姿はどこにもない。
妖艶さだけなら三十路を過ぎた娼婦のような、でもその幼い容姿はいつものセーラー服を
纏っている少女のもので、そのギャップに夢かうつつか、わからなくなってしまう。

「………鈴木さん、すごくエッチだね。そんなに欲しかったの?」
「うん、うん……!ぷは、欲しかったよぉ……これ、さとしくんのおちんちん………ずっと、
 こうしたかったよぉ……ああ、軽蔑する?こんなの、変だよね?
 ……はむ、れろ、れも……やめられない、やめられないよぉ………!」

鈴木さんの頭に手を添えて、少し意地悪な質問をしてみた。
僕なりに必死の抵抗のつもりだったのだけど、鈴木さんは潤んだ瞳であっさりと肯定する。
背骨まで蜂蜜に漬かったような言葉に、逆に僕がくらりときてしまった。
本当に………エッチなったなぁ。鈴木さん。

いきり立った僕のモノに下を絡め、サオの根元からカリ下にかけてねっとりと唾液を絡めたかと思うと、
カウパー氏腺液と涎の混ざったソースを音を立てて啜りこむ。
じゅぽ、じゅぷるるっ、とマナーとはかけ離れたいやらしい音が聴覚さえも愛撫する。
かと思うと一度口を離し、鈴口を細くした舌でちろちろと刺激してきた。
反射的に分泌された先走り液の原液を美味そうに舐め上げ、
ぬらぬらとサオに頬ずりするように玉袋にまで舌を伸ばす。
僕の下腹部で濡れていない場所はない。滴るような鈴木さんの唾液で、どこもかしこもぐっしょりと濡れている。


鈴木さんは学校の勉強も熱心だけど、どうもこういったことに対しても熱心なようだ。
身体を重ねるたびに目に見えて―――快楽神経直撃で上達していくのがわかる。
恐るべし鈴木さん。いつも窓際で大人しくしてる女の子が
こんな痴態を繰り広げていると知ったらクラスメイトはどんな顔をするだろうか。
想像して―――思考がうまく纏まらない。
かわりに、ぞくぞくとした感覚が腰の辺りに広がっていく。
射精が近いらしい。

「鈴木さん―――出るよ……っ!」
「うん、出(ら)してっ!たくさん……飲ませてっっ!」

ぷぁ、と大きく口を開けた鈴木さんの顔を、僕の白濁が汚していく。
いや鈴木さんに言わせると汚しているんじゃなくて化粧をしている、
つまり綺麗にしているということらしいんだけど―――こんな顔で外を出歩いたら
まず間違いなく通報されてもれなく御用になると思うよ、鈴木さん。

「ん、じゅるっ、んふ、ふふ、ふふふ……」

口に入らなかった分の精液をぬぐい、指先のそれをぺろり、と舐める。
うっとりとした妖しい微笑みで僕を見つめ、

「さとしくんの、美味しい―――」

鈴木さんはねっとりとした口調で、そう言うのだった。



引っ込み思案のくせに大胆で、大人しいのに破天荒。
僕の恋人、鈴木さんはそんな二面性を孕んだ不思議な女の子だ。
恥ずかしがりやで、人前に立つと緊張で変な汗が止まらなくなるくせに学級委員長に立候補するような。
なんでも小学校、中学校と計9年間連続で学級委員長に推薦&任命されていて、
ならいっそその記録を伸ばしてやろうと立候補したんだって。
でもLHRのときあんな死にそうな顔してまで教壇に立つくらいなら
そんな記録に拘る必要なかったんじゃないかな。
まぁ、その辺はともかく僕としては鈴木さんのアンバランスな大胆さに
感謝していないこともないんだけれど。
最近、それが少しだけ不満になりつつも、ある。

僕らはまぁ、奥手だった鈴木さんがこんなになっちゃうくらいにはセックスの回数を重ねているんだけど、
その主導権を握っているのは何故かいつも鈴木さんなのだ。
僕が慣れるのが遅いのか、それとも鈴木さんが異常に性欲旺盛なのか。
とにかく、僕だって男だし?いつまでも鈴木さんにヤられっぱなしになっていてはくやしいと思わけ。
と、いうわけで反撃の機会を伺ってはいるんだけど。敵はあまりに強大で。

今日だって、突然放課後の教室で全裸になったりするから、
大慌てで服を着替えさせて近所にある鈴木さんの家に避難してきたわけだ。



「ねぇ、さとしくん―――セックスしていい?いいよね?するよ?」

とろり、と蕩けた目つきで、鈴木さんが僕を押し倒す。
やわらかくて濃厚な雌の匂いがする鈴木さんの力は、まったく女の子のそれそのものだ。
一応男である僕がその気になれば押しのけられないこともないだろう。
でも、僕はそれをしない。そうしたら、鈴木さんが傷つくんじゃないかとか、
そんな考えが僕の四肢を弛緩させる。
よくよく考えれば押しのけなくても鈴木さんを逆に押さえ込む手はあるな、
と僕は押し倒されてから思ったり。時既に遅いんだけど。

「は―――く、ふぁあ……!」

ずにゅる、と鈴木さんの濡れそぼったそこに僕のモノが吸い込まれていく。
おとがいをそらし、大きく息をつく鈴木さん。鈴木さんはえっちだ。
えっち過ぎて恋人の僕でさえ呆れてしまうくらい。

「ん、ふぅ……っ!あ、あぁ……っ!!」

鈴木さんの身体が歓喜に震えている。
ぬらら、と鈴木さんの内側に波立つ千の襞が僕の肉僕を愛撫する。
それだけで射精してしまいそうな快感に、僕は丹田に力を込めてそれを堪えた。

「は、はいったよ?さとしくん……!」
「うん。気持ちいい?鈴木さん……」
「うん……!うんっ!うん……っ!気持ちいい……気持ちいいよぉ、さとしくん……!」

ぼたぼたと鈴木さんのしまりのない口元から涎が垂れて、僕のお腹に零れ落ちた。
すごく美味しそうなものを前にした時と同じ。鈴木さんの理性は今にも擦り切れそうで、
瞳もどこか虚ろになってしまっている。
――――――そんな鈴木さんは、最高に綺麗だと思う。

「あ、はぁ、あっ、あぁっ、あ―――さとしくん、動いていい?動いていい?」

がくがくと痙攣しながら僕に許可を求める鈴木さん。
僕は―――わざと余裕たっぷりに笑って、首を振る。

「だめ」
「………な、や、ぁ―――!!?」
「駄目だよ鈴木さん。我慢して―――動いたら駄目だからね」

鈴木さんは泣きそうになっている。
騎乗位の体勢で、僕のお腹に手をついて、その皮膚に爪が食い込んでいく。
痛い。けど、これは鈴木さんが感じている無情の証だ。
鈴木さんの膣内は絶えず収縮を繰り返している。その度にざわわ、と襞が僕の陰茎を撫ぜ上げていた。
言葉にさえならない鈴木さんの代弁。
もっと、もっと、もっと気持ち良くなりたい、もっと『これ』を擦りたい、咥え込みたい。
そう、襞の一片一片が主張している。それがまた、ぞくぞくとした快感を与えてくれる。
心地いい。


「やだ、嫌です、さとしくん、駄目だからね?わたしは、もう―――我慢、できないんだから―――」

鈴木さんはぶんぶんと首を振ったかと思うと、とうとう勝手に腰を動かし始めた。
ぬるる、と鈴木さんの膣内が僕の陰茎を離すまいと吸い付いて、
ぐちゅ、ぐぷ、と絶えず粘度の高い愛液を吐き出している。
入り口はきゅうきゅうと締まり、真っ赤に膨れ上がったクリトリスは小さいながらも
てらりと光って自己を主張する。上下運動だけじゃない、うねうねと腰を回転させるようにして、
単純なピストンに変化をつける。鈴木さんの上達は口淫だけでなく、腰使いも目覚しいものがあるのだ。
たいそう気持ちがいいけど、僕は呆れたように口元を歪めた。

「鈴木さん」
「あ、あ、ああぁ……!」

鈴木さんは泣きそうな顔をしている。というか泣いている。
ぼろぼろと涙を零して、僕を申し訳無さそうに見つめている。
それでも、鈴木さんは止まらない。こうしている間にも艶めかしく動き、快楽を貪っていた。
躾のなっていない、浅ましい動物のように。

「ごめん、ごめんなさい―――でも、駄目だから。わたし―――駄目なの。
 さとしくんがダメって言ったのに、動いちゃ、駄目なのにぃ……!!
 止まらない……気持ちいいの、止まらないよう……!!」

ぱじゅんっ!ぱじゅんっ!ぱじゅんっ!ぱじゅんっ!

鈴木さんが犬のように舌を出し、愛液と肉が叩きつけられる音を響かせて、何度も何度も腰を振る。
すでに何も考えられなくなっているようで、その動きには先程のようなテクニックも何もない。
セックスというより、交尾と言ったほうがよほど近いだろう。
自慰を覚えた猿になって鈴木さんは絶頂に向かって腰を振っている。

「あっ、あっ、あン、あ、あぁ、あっ、ああぁっ―――」

―――聞こえないと思うけどね、鈴木さん。
駄目だって言ったのに、勝手に動くようなえっちな鈴木さんは―――
『また』、何日かお預けしないといけないよね?
そうだなぁ。今回が一週間だったから、次は――――――




「――――――あ、あ、ひ、あぁぁあああああああああッッッ!!!?」


ぎゅぅうっ、と鈴木さんの膣が僕のペニスを絞り上げる。

とりあえず、触れ合いなしオナニーなしで二週間とかどうかな?と。
鈴木さんにとっては拷問と等しいことを考えながら、
僕は鈴木さんの子宮口に勢いよく精液を叩きつけていた。



引っ込み思案のくせに大胆で、大人しいのに破天荒。
僕の恋人、鈴木さんはそんな二面性を孕んだ不思議な女の子だ。
普段は素直なんだけど、ときどきわがままを言って僕を困らせる。
たとえば、一週間はお預けする約束なのに我慢できなくなっちゃって襲い掛かってくるとか。
いくら放課後だからって、鍵をかけたからって、教室で素っ裸になるのはどうかと思うよ僕は。
見つかったら停学どころか退学もやむなし。流石に危なかったから鈴木さんの家に移動したけど。
いや、求めてくれるのは素直に嬉しいし、そんなところも可愛いとは思うんだけどね。
でも、男の矜持として―――ちゃんとリードしたいのに。
鈴木さんは、ちっとも僕の言うことを聞いてくれない。

僕の恋人、鈴木さん。

………まぁ、そんなところも可愛いとは思うんだけど、ね。



              僕の恋人、鈴木さん~新ジャンル「普通すぎる思考」妖艶伝~ 完

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最終更新:2008年07月15日 00:25
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