青春編「総合公園の死闘 開始五秒前」

「着いた…さて…」
驚くべき足の早さで、遠山理奈は青山兄妹の訪れる入口とは別の入口に到着した。
「…豆田の姉は馬鹿だけど実力は確かだし、裏表は無さそう……ね。
となると警戒すべきは…妹の方。あと、ここに来るか微妙だけど…」

理奈の脳裏に二人の少女が浮かぶ。
「囲炉裏真智子と黒田夕圭……囲炉裏には恨みがあるけど…」
以前、訳の分からない痴女から夕圭には助けて貰った恩がある。
「…あの爆乳女…か」

道を急ぐ夕圭。
『真智ちゃんの事だから一直線に春樹くんへと向かうはず』
『しかし、私まで姿を現せばルカちゃんとの約束を破る事に…』
『事情からいって豆田姉妹には頼れないし、チーマージャン(芝村)は捕まらない…』

夕圭が考えている内に、公園が見えてきた。
しかし…

「…やはり来たのね」
「!?…遠山理奈!!『迂濶だわ…気配に気付かないなんて』」
夕圭の前に現れた理奈。
「…正直言えば、今貴女とは戦いたくはない。今日の私の敵はルカだけ」
「それは…有難いけど無理なの。私は同盟相手を裏切る趣味はないから」
「残念ね、交渉決裂なんてさ。仲良くなれたかもしれないのに」

口振りとは裏腹に、戦闘体勢に入る理奈。
「悪いけど、全力でいかせて貰うわ。私の敵は他にいるし…決着をつける相手もいるから」
「……私もやらなくちゃいけないのよ。真智ちゃんを止めないと!!」
夕圭も同じく戦闘体勢を取る。
『私達の幸せの為、今は遠山理奈を!!』


「ハルぅ、ほら公園だよ。早く入ろっ」
「おいルカ、そんなに引っ張るなよ…」
青山兄妹が公園まで10mの距離に近付いた。
入口の陰にいる陽子、更には茂みに潜む貴子にも、声がはっきりと聞こえる。
「(小声で)遠山は来ねえが…仕方ない。貴、頼んだぜ」
「…任せて」
貴子の目は、スコープ内のルカに注がれていた。
「……グゥレイトォ」
狙撃の際の祈りの言葉を口にし、引金へ指が触れる。
『…一発で仕留める』

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最終更新:2008年07月15日 23:56
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