「着いた…さて…」
驚くべき足の早さで、遠山理奈は青山兄妹の訪れる入口とは別の入口に到着した。
「…豆田の姉は馬鹿だけど実力は確かだし、裏表は無さそう……ね。
となると警戒すべきは…妹の方。あと、ここに来るか微妙だけど…」
理奈の脳裏に二人の少女が浮かぶ。
「囲炉裏真智子と黒田夕圭……囲炉裏には恨みがあるけど…」
以前、訳の分からない痴女から夕圭には助けて貰った恩がある。
「…あの爆乳女…か」
道を急ぐ夕圭。
『真智ちゃんの事だから一直線に春樹くんへと向かうはず』
『しかし、私まで姿を現せばルカちゃんとの約束を破る事に…』
『事情からいって豆田姉妹には頼れないし、チーマージャン(芝村)は捕まらない…』
夕圭が考えている内に、公園が見えてきた。
しかし…
「…やはり来たのね」
「!?…遠山理奈!!『迂濶だわ…気配に気付かないなんて』」
夕圭の前に現れた理奈。
「…正直言えば、今貴女とは戦いたくはない。今日の私の敵はルカだけ」
「それは…有難いけど無理なの。私は同盟相手を裏切る趣味はないから」
「残念ね、交渉決裂なんてさ。仲良くなれたかもしれないのに」
口振りとは裏腹に、戦闘体勢に入る理奈。
「悪いけど、全力でいかせて貰うわ。私の敵は他にいるし…決着をつける相手もいるから」
「……私もやらなくちゃいけないのよ。真智ちゃんを止めないと!!」
夕圭も同じく戦闘体勢を取る。
『私達の幸せの為、今は遠山理奈を!!』
「ハルぅ、ほら公園だよ。早く入ろっ」
「おいルカ、そんなに引っ張るなよ…」
青山兄妹が公園まで10mの距離に近付いた。
入口の陰にいる陽子、更には茂みに潜む貴子にも、声がはっきりと聞こえる。
「(小声で)遠山は来ねえが…仕方ない。貴、頼んだぜ」
「…任せて」
貴子の目は、スコープ内のルカに注がれていた。
「……グゥレイトォ」
狙撃の際の祈りの言葉を口にし、引金へ指が触れる。
『…一発で仕留める』
最終更新:2008年07月15日 23:56