青春編「INTERMISSION」

深夜の繁華街、良い子は出歩いちゃマズい時間。
いい年の痴女クール&素直クールな千所姉妹は、屋台のおでん屋で酔っていた。

「ちくしょう………あと少しで、上玉ゲットだったのになー…はぁ…」
「相変わらずだな、姉さんは。気が多いのは感心しないぞ」
「お前こそ恋愛の一つもしてみろ。私の人生は、常に刺激と快楽に満ちているぞ!!」
「姉さんのは恋愛ではない、只の色情狂だ」
「色情狂で何が悪い!!」

どうやら千所姉(校長)は先日の一件で、かなりご不満な様子。
この所、満足できる獲物にありついていないのも拍車をかけている。

「…それに私を、ロボットみたいに言わないで欲しいんだが」
「舞は昔から絵にしか興味が無かったし、どうせ今も変わらんだろ?」
「…私だってもう24だ。気になる男の一人や二人はいる」

ニヤリ

はっと千所妹(舞)が傍らの姉を見れば…

「舞ちゃん~…姉さんに話してごらん…」
「ね、姉さんのその口調は明らかに面白がっているな!!」
「おほほ。きのせいよ」
「棒読みになってるし!!」


「……なんだ青山春樹だったのか」
「ううう…」
吸った揉んだの末、千所舞は姉へ白状に及んだ。店の親爺が前屈みなのは…気にしない。


「でもな、まだ高一だぞ相手は。男の色気にはまだまだだな」
「どうして姉さんは、すぐ話を下品な方向へ持っていく…」
「仕方ないだろう、私の長所なんだから」
「長所ではない!!」
先程とはうって代わり、妹の方が興奮している。どうやら似たもの姉妹のようだ。

「高一というが、あと十年もすれば立派な男だ!!更にもう十年ちょいでナイスミドルになる!!」
「……あっ!?わ、私はどうして、そんな事に気付かなかったんだ!?」
「……姉さん?」
「今だって中々顔立ちは悪くないし、何より青山先生の息子じゃないか!!結構似てるし!!」
「…もしもし?」
「決めた、決めたぞー!!舞ーっ!!!!」
「な、何よ…」
「私達姉妹で青山春樹を手に入れよう!!」

椅子から立ち上がり、大声で野望を語る千所姉。
「し、しかし私達って…き、共有はちょっと…」
「構わん。舞と青山春樹の二人、まとめて私が可愛がってやるとも!!」
「それは嫌だ!!いろんな意味でー!!orz」
「はははは!!!!明日から忙しくなるぞ!!巧く行けば青山春樹だけでなく、
囲炉裏真智子に四天王、更には青山先生まで………!!」

鼻血を出しながら、目をギラギラさせる姉を見て千所舞が一言。

「姉さん、初めては私が貰うからな」

やはり似たもの姉妹だ。



翌朝のこと。春樹が廊下を歩いていると…
「ん~、ゴホン…。青山春樹くん。ちょっと…」
「(ゲッ)こ、校長先生…お、お早うございます」
「うん、おはよう」
「い、いつもながら凄い服ですね…」
確かに古今東西、レザーのビキニ上下のみで、校内を歩く校長はただ一人だろう。
「はは、君にそう褒めて貰えるとは光栄だ」
『褒めてねぇよ!!』
心中で突っ込む春樹。
しかし視線はつい…

『こ、校長の胸…黒田以上の大きさ…まさに凶器と呼ぶしか…………!!
しかも、足長いな………あんなに綺麗で白い足なんて……』
『ふふっ、視線を感じるぞ、青山春樹。…しかし見れば見るほど父、青山先生にそっくりだ…
…いかん、濡れてきたな………舞には悪いが味見させて貰うとするか』
両者に沈黙が流れる……がそれを破る者が。

「おーす、春樹ぃ!!…と校長!?…先生……何やって…」
生徒会長、豆田陽子が通りがかる。
「うるさい、トウ…じゃない豆田。あっち行け」
「こ、校長!?いくら何でもその言い方は!!」
「あ、いーよ。校長せんせー失礼します…」
そう言うと陽子は春樹の手を取り、猛ダッシュで逃げ出す。


「ま、豆田!?」
「春樹、あたしを信じて逃げろ!!…今の校長はヤバいぞ!!」
半信半疑の春樹だが、言われるまま走り出す。
残された校長は…
「やってくれる…トウバンジャンめ!!」
ハンカチを噛み締めて悔しがっていた。

はたして春樹と陽子はこのピンチをどう乗りきるのか?


新醤油学園 青春編
「今そこにある危機」



授業開始の鐘が鳴っても二人、いや先導する陽子の足は止まらない。
「お、おい!!豆田!!授業が始まってる…」
「それどころじゃねぇ!!ヤバいんだよ!!」
陽子の声に真剣な物を感じとったのか、春樹は黙って陽子に従う。
いつしか二人は高等部の校舎を離れ、中等部の敷地へと足を踏み入れていた。

「…久しぶりに来たな」
「ん?あ、豆田は持ち上がりで進学したんだっけか。…懐かしいか?」
「まあな。とりあえずここなら大丈夫だろう」

二人が一息を入れたその時。

足下へ短剣が刺さる。

「誰ダ!!」
「……あたしだよ」
「陽子サマ!?…謝々!!」

校舎の陰から姿を表したのは、春樹達と同年代の少女だった。
黒い頭髪を頭の両側でお団子に、切り揃えた前髪と可愛らしい目の少女。
「どうしたネ、陽子サマ……と?」
「ああ。こいつは青山春樹。あたしの連れだよ、レーファ」
「…ヨイ人みたいネ」
「な!?ち、違う…いや違わないが…その!?」
慌てふためく陽子を横目に春樹が尋ねる。
「えっと…青山春樹だ。君は?どうやら豆田の知り合いみたいだが?」
「是。ワタシはレーファ=シラー。レーファと呼んでくださいネ」
「レーファ…さん。君は…中国の?」
「イヤ、中国系カナダ人ネ。陽子サマの家にお世話になってるヨ」
意味ありげに陽子を見るレーファ。
『レーファ!!あたしの正体は黙っておけよ!!』
『オー、陽子サマ。怒ったら台無しヨ、彼氏の前で』
『…くそぉ!!』



「……でどうするんだ?ここまで来て」
「そうだ。レーファ、隠し部屋を頼む」
「?…良いけど、何に使うネ?あと貴子サマにも連絡…」
「いや…貴にも内緒だ。どこから漏れるか分かったもんじゃ…」
「…了解ネ」


「はるくん…どうしたんでしょうか?」
「春樹くんがサボるなんて初めての事だし。何かあったのかしら?」
真智子と夕圭が顔を付き合わせて考えていると、夕圭の携帯が鳴った。
「はるくんですか!?」
「いやメールみたい。誰かしら……!?…」


『四天王へ
トウバンジャン離反。
同行者青山春樹共々捕縛の上、第三会議室へ連行せよ。
コードF by BB 』
痴女クール校長からの指令メールだった。

『どういう事!?一体…!?しかも、コードFなんて最優先事項の…』


一方その頃。
「……やってくれる馬鹿姉が…!!……春樹さんと駆け落ちなんて…!!」
凄まじい勘違いをした中学生が一人、怒り狂っていた。
「…捕まえたら馬鹿姉は渡すとして…浮気な春樹さんは……お仕置き二倍
……なでなでをいつもの四倍(///)に…あと…」

打算高き中学生、その名は豆田貴子。又の名を四天王XOジャンという…

新醤油学園 青春編
「逃亡者と追跡者」


獲物を狩るべく、貴子は行動を起こす。
取り出したるは、ピンクの可愛らしい携帯電話。
貴子が相手を呼び出す。

『お呼びでしょうか?貴子様』
『…姉ともう一人、至急居所を掴みたい…付近を捜索して…』
『了解です。僕一人で構いませんか?』
『…いや、貴方の恋人にも協力を』
『ち、違います!!レ、レーファとはそんな関係じゃ!!』

電話の相手、少年らしき声に焦りが混じるが、貴子は冷静に返す。
『…あれだけ愛されてよくもそんな事を…来月の給料10%カット…』
『ひぃーん!!』


春樹達は中等部校舎のとある教室にやって来た。
「…ここ、普通の教室じゃんか。隠れるのには不向きだろ」
「まあ春樹、黙って見てなよ」
陽子は電灯のスイッチを乱雑に、いやある規則性を持って素早く切り替えてゆく。
すると…

ゴゴゴ…

「こ、黒板が!!し、しかも空洞が!!」
「入るヨロシ、春樹サマ」
謎の中国系カナダ人、レーファに促されて、春樹は黒板の裏、空洞の中へ身を入れる。

「…な、なんだ!?」
そこは六畳程の小部屋、しかし学校にはふさわしくない普通の部屋。
「豆田…この部屋は?」
「説明するとちょいと長いから、また今度な」
陽子は肩をすくめて答える。
「それよりレーファ」
「…ワタシで良ければ探ってみるネ」
「頼む。…校長が一体何を…って分かるが、突然の行動だからな」
「じゃあ、マイダーリンにも手伝って貰うネ」
それまでどこか飄々としていた少女の顔が、微かに赤くなる。
「…勝手にしろ」
「陽子サマ、焼きもちは良くないネ。でも、しばらく二人でしっぽり休むと…」
「…行けっての!!」



「最近番長冷たいなぁ…姿も見せてくれないし」
芝村麻里愛は屋上で一人黄昏ていた。
「コードF発動なんて何を考えてるのかね、あの玲にゃんは…」
校長をあだ名で呼びつつも、麻里愛はしっかりと任務を分析してる。
『大体、陽子が離反なんて悪い冗談よね。なんだかんだで、あの子が一番職務熱心だし』
『となれば安易に任務遂行とは…まずは情報収集から』


「ハル~、朝御飯頂戴よぉ!!」
ルカが教室にやって来たが、見たのは主のいない机。
「夕圭ちゃん、ハルはどこ行ったの?」
夕圭はかぶりを振る。
「私にも……」
「おかしい…あの真面目なハルがサボるなんて…!!…私探してくる!!」
あっという間に出ていくルカ。夕圭は内心で自問する。
『…どうする…夕圭。春樹くんを取るか、任務を取るのか……?』

さて真智子は。
「…はるくんさがすまえに、まずははらごしらえです!!」
呑気に購買部でお菓子を大人買いしていた。


新醤油学園 青春編
「INTERMISSION」

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最終更新:2008年08月23日 20:10
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