「何にしても、ハルが無事でなにより!!良かったわ!!」
いつも以上に上機嫌な妹の感想に、思わず春樹は笑みを浮かべる。
途端に左耳をキュッと摘まれる感触。
「いててっ」
「春くん、私の活躍も忘れちゃ嫌。おばさまから聞いた時は…」
春樹の左腕をとった理菜が、ルカとは逆方向から自分の活躍を主張する。
「わかってるさ、理菜ありがとな」
「えへへ」
すると今度は右腕から柔らかく暖かな感触が強く伝わりだす。
「お、おい。ルカ、あんまり強く抱きつくなよ…」
それには答えず、右腕にすがりつくよう抱きつくブラコン妹。
「…ルカ、少し離れたらどうなの?」
「理菜こそ…!!」
天を仰いで嘆息するしかない春樹だった。
玲との話し合い後、呼び止められた豆田姉妹達を残し、春樹達四人が帰宅途中の出来事。
その帰り道半ば、春樹はある事実に気付いた。
「…囲炉裏?腹でも痛いのか?」
学校を出てから真智子の口数が極端に減っている事に。
いつもなら………
「ならわたしはおんぶかだっこしてもらいます」位は言い出す筈だが。
「…はるくん、みられてます…」
「は?あ、ああ。二人とも回りから見ても恥ずかしいから…」
「はなれてもらうのは、わたしてきにまるですが……ちがいます」
「…えっ!?うそ!?かなり離れた位置だけど、確かに尾けられてる…」
「なにものです…?」
「…ルカ分かるか?」
「ううん。寧ろ気付いた真智ちゃんと理菜こそ何者ってかんじ、私的には」
春樹達から離れること約100mの距離…
「ターゲット確認、遠山理菜だ」
「まあ主演女優はとっとくとして、残りは俺達で遊んで構わんだろ」
「……御意」
「ウホッ!!なかなか可愛い男の子じゃない!!」
「…『ウホッ』は辞めてくれよ…頼むから」
謎の男四人組が不敵な笑いを浮かべていた…
が。
「あやしい男たちね……不審者かしら?」
「それにあの格好…きっと『××(蔑称)』にちがいないわ」
「きっとそうよ…」
近所の暇な奥様方の視線に耐えきれなくなった四人組。
「…今日は止めだ、また後日にしよう」
「ああ…」
新醤油学園 青春編
「不穏なる展開」
最終更新:2009年01月24日 02:20