女「……」
男「女ってさ、いつも難しい本読んでるよな」
友「ああ、タイトル見てもさっぱり何の本かわからん」
男「けど、女ってさ、かわいいよな」
友「ああ、文学少女という形容がぴったり来る美少女だな。メガネだし、おさげだし」
男「でさ、俺、女にアタックしようかと思って」
友「けど、アイツ割とクールだぞ。どうやってアプローチするんだ?」
男「そこはま、当たって砕けろだよ。とりあえず、本の話題に何とか喰らい付いて……」
友「やれんのか?」
男「やれるさ!」
友「なんでー?」
男「なんでかって!? それは、そう……鍛えてるからだー!」
友「……まあ、シカバネは拾ってやる」
男「……かたじけねえ」
男「やあ、女!」
女「……何」
男「何読んでんだ?」
女「……人類史上におけるマイノリティとマジョリティの変遷とその歴史的影響の考察」
男「む……難しそうな本だな」
女「……面白い、よ?」
男「ど、どういう風に面白いんだ?」
女「普通歴史的影響に関する考察においては、マジョリティに関する
考察しか行われない例が多いのだけれど、この本においてはマイノリティに
ついての考察も行われ、それが少なからず歴史的な影響を人類史に与えている
という事を、納得できる形で論証している。凄く、興味深い。英語で言うとインタラスティング」
男「……そ、そうか。面白いんだな、要するに」
女「そう、面白いの。……読む?」
男「……俺に、読める?」
女「……さあ……わからない、けど」
男「……せっかく女が貸してくれるって言うんだし、読んでみるよ!」
女「そう……頑張って、男君」
男「じゃ、じゃあ、これ、借りてくな」
女「うん……返すの、いつでもいいから」
友「おい、何かいい感じだったんじゃないか?」
男「あ、ああ……」
友「……で、それはどうするんだ?」
男「……男たるもの、女に誓った言葉を曲げるわけにはいかない……っ!」
友「男……漢だな……」
男「……でも、曲がりそう。何この分厚さ? 千ページ軽く超えてんですけど!?」
友「けど、それを読破して、その本の話題で盛り上がれば……」
男「そう、もっと女と仲良くなれるはず!」
友「……頑張れ、男よ。俺は影ながら応援してるかもしれないししてないかもしれない」
男「どっちやねん。……まあ、頑張るわ」
一ヵ月後
女「どうだった?」
男「うん、面白かったぜ! なんかこう、読書ってのもいいもんだな!」
女「どの辺りが?」
男「ああ、やっぱり二章の辺り、こう今まで考えてもなかった斬新な
着目点は目から鱗だったな」
女「……うん、私もそう思うよ」(ニパッ♪)
男(お、女が笑った……! あのクールで有名な女が、こんなに可愛らしい笑顔を……!
一ヶ月かけて、レジュメ作りながら、学校休み休み読んだかいがあった……!)
女「嬉しいな……今までこんな風に本の話できる人いなかったから……」(ニコニコ♪)
男「そうなのか? あのさ……俺でよかったら、いつでも、話し相手になるぜ?」
女「ホント?」(パァッ♪)
男「うん、ホントホント!」
女「じゃあ、今度はこれ読んできてくれるかな?」(ニコニコニコニコ♪)
男「………………さ、サイコロみたいな本だね?」
女「……だめ、かな?」(……シューン)
男「いや、読むさ! 読んでみせる! それが君のためならばっ!」
女「……男君、私男君のこと……好きかも」(キラキラキラ)
友「……あいつも難儀な恋したなぁ」
新ジャンル「読んデレ」
最終更新:2009年01月24日 02:26