結成!地球侵略軍!!

朝、予備校へ行こうと玄関のドアを開けたら、庭にUFOが刺さっていた。

「………………………………」

しゅうしゅうと煙を上げている。さっき小さな地震が起きて俺の部屋に飾ってあった達磨
(俺の勉学に対するやる気を上げようと両親が買ってきたもの。片目)が落ちて砕け散ったという
朝っぱらからまぁ縁起の悪い事件が起きて欝になったものだが、どうも地震速報がいくらニュースを見ても
一向に流れないのはそれが地震ではなくUFOが墜落してきた衝撃であったためらしい。

俺は寝起きでぼんやりとしている頭をがしがしと掻いて、ふわぁと欠伸をした。
UFOが庭に刺さっているなんて、珍しいこともあるもんだ。そういえばUFOは
アナイデンティファイド・フライング・オブジェクトつまりは未確認飛行物体の略なんだけど、
この場合どう呼称すればいいんだろうか。飛んでないし。しかもこの目で確認してるし。
物体であることは確かなようだけど。確認済み落下物?なんかヤシの実みたいでやだな。

などと考えながら、その確認済み落下物(俺命名)をじーっと眺めていると、なんだか頭が段々正常に
働いてきたようで、ついでに脳味噌からただでさえ足りていない血液がさーっ、と引いていくのを感じた。

UFO。
UFOだ。
そうとしか言いようがない。
銀色で、円盤で、より正確に言うなら平べったい皿の上にお椀を逆さまにひっくり返してくっつけたような形で、
そのお椀には丸い窓が開いている。といっても半分ほど埋もれているので中の様子はわからないけど。
お椀のてっぺんには、ひょろんとしたアンテナが伸び、その先端には光る玉。
なんとなくチョウチンアンコウを連想させた。
なんというか―――。
物凄く、UFOだった。

「………………………………なんじゃこりゃあ」

俺が呟いたのは、UFOすぎて逆に信用できないものがあったからに違いない。
でも、しばらくの間もなく俺はこれは疑いようもなくUFOなのだと信じざるを得ない状況に陥ることになる。
俺はこんな所でぼけっとUFOを見ている場合じゃなかったんだ。家の中で眠りこけているであろう姉ちゃんを
叩き起こし、一刻も早く逃げるなりモルダーさんとスカリーさんに電話するなりしなきゃいけなかったんだ。

質問。
UFOは誰の乗り物でしょうか?
答え。
宇宙人。

ピンポンピンポン、大正解だ。正解者の俺には多分人類史上でも稀な、宇宙人とのご対面をプレジデント。

UFOの傾いた機体ががたん、と揺れた。
俺は逃げようとした。だけど身体が動かない。情けないことだが、完全に竦んでしまっていた。
背中に冷や汗が伝う。UFOの頂点部分、チョウチンアンコウの部分がぎぎ、と音を立てて開いていく。
もう駄目だ。きっと中からアマゾンの奥地に生息していそうな不可視の怪人が出てきて
頭の長いエイリアンと接戦を繰り広げてなんやかんやで俺は殺されるのだろう。
思えば短い人生。せめて童貞を捨ててから死にたかった。

父ちゃん、母ちゃん。親不孝な息子でごめんよ。予備校の夏期講習代、どうやら無駄になりそうだ。
あと父ちゃんの大事にしてたゴルフクラブ、ひん曲げたの姉ちゃんだから。俺のせいにされたけど。
母ちゃんが陶器講習で作ってきた父ちゃんとお揃いの夫婦茶碗、割ったの姉ちゃんだから。俺のせいにされたけど。
姉ちゃん。悔い改めろ。借金返せ。俺のPS2弁償しろ。あと早く彼氏つくって幸せになれ。
そしてプロレス技はその人にかけてくれ。それから……。

今までの人生を振り返りながら、俺は涙しつつもなんだか一方で腹が立ってきた。
死んでも死にきれねぇ!

 
「……ぷあ」

がたん、と音を立て、顔を出したその生物を見て、俺はかなり意表を突かれた。

女の子だったのである。

女の子というからには、顔立ちは普通の人間のそれだ。
いや。どっちかというと可愛い、ひいき目に見てかなり可愛い容姿といえる。
可愛い、というからにはその少女は俺よりも年下のようであり、たぶん中学生かそこらだろう。
嘘みたいに鮮やかな緑髪と透き通るような白い肌の持ち主だった。頭からUFOとお揃いのアンテナが伸び、
やはり豆電球のような発光体がくっついている。
よいしょ、と女子が身体をUFOから引きずり出した。服はなんというか、銀色の―――スクール水着。
うん。多分これでイメージと激しいとは言いがたいしては間違っていないと思う。もちろんデザインは多少異なるけど、
印象としてはそれが一番近い。はっきり見てわかる女の子の身体のラインがどうにも
フラットなのがそんなイメージを強くするのか。
中学生かそこらにしてみても発育がいい方とは言いがたいみたいだ。

宇宙人(?)の女の子は斜めになったUFOから地上に降り立とうとして、
バランスを崩してべだんと派手な音を立てて落っこちた。

「痛い……」

涙目で鼻っ面をさすっている宇宙人(?)。
俺はグッと拳を握った。

………………………………………………………………………………勝てる!!!!

「あ、どうも。地球人の方ですね」
「がぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉおおおおおお!!!!」
「きゃぁぁぁぁぁああああああああ!!?」

俺は宇宙人(?)に向かって突進した。思えばこのとき、俺はかなり混乱していたんだと思う。思わせてくれ。
俺は年下の女の子に正気で襲い掛かるような鬼畜じゃあないんだ。いやマジで。

俺が正気に戻ったのは、がらら、と玄関の扉が開いたそのときだった。

「………………なにやってんの、諒(りょう)」

両手を広げて女の子に突撃する体勢のまま、俺の身体はぴたりと止まる。
我が姉、縄谷 明(なわや めい)の登場だった。
姉ちゃんは俺と、怯えている女の子の両方をしばらくじーっと観察したあと、
状況を粗方把握したのか履いていたサンダルをおおきく振りかぶって俺の顔面にブン投げてきた。

「死ねぇ、鬼畜外道!!!!」

めごす、と嫌な音を立てて底が木製の(便所)サンダルは俺の顔にめり込み、
俺は鼻血を撒き散らしながらくるくると回転して地面に倒れ臥した。

さすが姉ちゃん。UFOは超スルーである。


 

―――からん、と。
麦茶に浮いた氷が涼しげな音をたてた。

あのあと怯える宇宙人(?)をどうにかあやしてなだめて、とりあえず事情を聞くために
家に上がらせたのだった。ちなみにその間、俺は軽く数十回は姉ちゃんに殴られている。
いやまぁ、仕方ないっちゃ仕方ないんだけど。今回ばかりは悪いの俺だし。
そして居間。泣き止んだ宇宙人(?)は俺たち姉弟の前で座卓を挟んで正座していた。
宇宙人(?)はえへんえへん、と咳払いをして、クソ真面目な顔で、

「始めまして、地球人の皆さん。わたしは     からやってきた   、       といいます」

そう、言った。

「………………え?」

よく聞こえなかった。聞こえなかったというか、なんだろう。
頭の中でテルミンがほわーん、と響いたような。なんて言った、こいつ?
俺たちが不思議そうな顔をしていると、宇宙人(?)は慌てたように、

「あ、そっか。すみません。えーと、わたしたちの言葉は地球の皆さんには
 聞き取れないので      ……じゃないや。えーと、一応翻訳機を通してはしているんですが、
 名詞は翻訳のしようがなかったみたいです。すみません」

と頭を下げた。今さらながら戦慄する。なるほど確かに、頭に響くこの感じは地球人の言葉とはちょっと違う。
頭から生えてるアンテナも作り物じゃなさそうだし、こいつ、もしかして本当に宇宙人なのかも知れない。

「やり直しますね。わたしは、えーと、遠い星からやってきた宇宙人です」
「おおおおぉぉぉぉぉぉおお」

いきなりフワフワした感じになったが、これではっきりした。庭に落ちているUFOとかがあんまりにも
アレな造形をしているんで正直不安だったんだ。やはりこの女の子は宇宙人らしい。
宇宙人。スゲエ!本当にいるんだ、地球外生命体。

「へぇぇえ。宇宙人。へぇぇええええ」
「わ、や、な、なんですかぁ!?」

とりあえず姉ちゃんと一緒にぺたぺたと触ってみる。おお、普通だ。

「どうしよう、諒。とりあえず写メ撮って写メ」
「え?でもマズくね?こーゆーのって基本秘密とかじゃね?」
「あ、そっか。あー……でもさ。ぱっと見、コスプレした女の子だし。で、なんか名前とかないの?」
「それは……     ですが、地球の方にはちょっと」
「あ、そっか。発音できないんだっけ。あー……じゃあ、あたしが付けてあげる。宇宙人だから、ムーでいいや」
「いきなり胡散臭くなったな」
「いいじゃん別に。ムー、ムーちゃん、返事しなムーちゃん」
「犬猫じゃねぇんだから」
「あのね、相手は地球に来たばかりで右も左もわかんない宇宙の女の子なのよ?ある意味犬猫よりか弱い存在!
 と、いうわけでウチで飼います」
「拾った場所に返しなさい!!」
「うっさい。父さんと母さんがいない間はあたしがこの家の家長です。唯一絶対神です」
「姉ちゃんの傍若無人は今に始まったことじゃねぇだろうがよ」
「なんだとこの不出来な弟!くらえコブラ・姉・ツイスト!」
「痛い痛い痛い痛いいたたた!それ普通のコブラツイストだろ!!」

と、乱暴な姉に虐待されていると、ぽかんとした宇宙少女、ムー(姉命名)と目があった。
とりあえずこほんと咳払いし、笑いかける。


「あー、勘違いすんなよ。地球の姉が全部こんなんじゃないからな」
「地球の弟も全員が全員女の子に襲い掛かって泣かすようなバカじゃないからね」
「それは違うんだって!!」
「あんた、まだ謝ってないでしょ。謝りなさいムーに」
「あ痛痛たたた!!ごめんなさい!ごめんなさい!!」

ムーはそんな俺たちを見て、―――笑った。
ふわり、と。花が咲いたみたいに。

「安心しました。地球の人が、優しそうで」

――――――。

…………思わず見とれてしまった自分はちょっとうかつだ。とりあえず、さっき泣かしてしまったことは
不問にしてくれるらしい。よかった。星交問題とかに発展したら俺は全地球人から総スカンだからな。
姉一人を敵に回すだけでも現実問題勝てる気がしないのに、
さらにプラス66億9999万9999人なんてまっぴらゴメンである。

「―――で?ムーちゃんはいったい地球に何しに来たわけ?」

俺を解放した姉ちゃんが麦茶の氷をがりごり噛み砕きながら質問する。ワイルドな姉である。
それにしても、いつの間にかムーの名前がムーで決定してるけどいいんだろうか。まぁいいか。
こいつの本名は地球人には発音できないっぽいし。名前は必要だ。
ムーもその辺は気にしていないらしく、ニッコリと笑うと明るく宣言した。

「はい。地球を侵略しに来ました!」

………。

翻訳機とやらの調子がおかしいのだろうか。今、なんか侵略とか聞こえたような。
もしくは俺の耳がおかしくなったのかとも思ったけど、それは姉ちゃんも同じだったらしく、
耳の穴を小指でほじほじとほじったあと眉間に皺を寄せて、

「……ごめん、もう一回言って。侵略がどうのこうの言われた気がしたんだけど」
「はい!地球はわたしたち     が頂きます!」
「………………………」

にこにこしているムーの前で、俺たち姉弟は顔を見合わせた。そりゃあそうだ。
ムーはどう贔屓目に見ても強そうじゃないし、凶暴そうでもない。だいたい、侵略するって。どうやって?
俺はよく知らないが、人間は有史以前から戦争ばっかりしてきただけあって結構強いらしいよ?核爆弾とか。
俺がそんなことを考えていると、ムーはない胸を張ってフフンと笑った。

「もちろん、突然武力で制圧するほどわたしたちも野蛮ではありません。大人しくこの星の
 支配権を明け渡すと言うのなら、我ら200人の兵士たちも地球人を滅ぼしたりしないでしょう」
「200人?」
「驚いていますね?ええ、そうでしょうとも。さあ、この星の最高責任者に連絡を取るのです。
 そして言うのです。こちらには200人もの軍勢がいると!!」
「………………………」

なんだろう。何かが酷くずれている気がする。
その直感を確かめるべく、俺はリモコンでテレビの電源をオンにした。映し出される映像は高校野球。
全国の球児たちが集い頂点を目指す青春の1ページだ。無論、応援する側にも熱が入る。
各校応援団、生徒たち、保護者の皆さんに高校野球大好きな観客たち。人、人、人……。
ちなみに阪神甲子園球場は約46000人もの収容能力を持っているとのこと。
この炎天下、よくもまあこんだけ人間が集まっているもんだと俺も呆れたが、
ムーの方はやはり、呆れるどころの話じゃなかったらしい。


「………………………………………」

顎を外しかねないほどに口をあんぐりと開けて、ひいふうみい、と人間の数を数えようとし、
画面が切り替わった辺りで諦めてばっと俺たちを振り返った。

「で、で、ででででも彼らは戦闘員ってわけじゃないですもんね!?」

まぁそうだが。

「ふ、ふふふ、ふふん。ならばいくら数を揃えようと無駄です!
 ちなみに彼らはこの星の住民の何10パーセントくらいですか?半分くらいですか?」
「いや、知らないけど。何10パーセントどころの話じゃないことは確かだな」
「100パーセントですか!?あ~、よかった……じゃなくて。えへん、えへん。へ、へぇ?
 わたしを驚かせるために全地球人を集めたってわけですか!それはご苦労様ですね!!」
「いや、0.000……なぁ、姉ちゃん。一億ってゼロいくつだっけ?」
「さあ?」
「いちおくぅ!?え?地球人の話ですよね!?地球人だけで一億人もいるんですか!!?」
「いや、確か67億人」
「ろ……!!!?」

ムーは今度こそ完全に固まると、そのままぱたんと横倒しに倒れた。何事かとこめかみに冷や汗を感じながら
見守っていると、ぼん、という音と共に頭のアンテナについている謎のピンポン玉の光が消えた。
そのまま沈黙してしまったのでどうしたものかと姉ちゃんと顔を見合わせていると、ムーは突然がばー、と
立ち上がり両手を振り回して暴れだした。頭のピンポン玉もぴかー、と光を取り戻す。そして

「え、ええい!たかが66億人がなんですか!わたしだって200人の精鋭部隊  の端くれ!
 我が故郷     が為、ここで67億人の内2人をやっつけて66億9999万9998人にしてみせます!!
 圧倒的数の差をひっくり返すのはヒーローのお約束と相場が決まっているんですーっ!!」

と、手をぐるぐる振り回して俺に向かって突進してきた。奇しくもさっき俺がムーに襲いかかったのと
間逆の構図になったが、もちろん銀色のスク水を着た女の子がだだっこパンチで攻撃(?)してきても
少しも怖くないので泣いたりしない。極めて冷静に、というか素でムーの頭を押さえ、
はい、これでムーの攻撃範囲からは外れました。

やがてムーは疲れたのか(早い)、うじゅう~、と涙目になってだだっと背を向けて走り出した。
なんのつもりなのか、と思いとりあえず追ってみる。途中びだん、とこけたりもしていたけど健気に走って、
辿り着いたのはウチの庭先だった。なんだと言うのだろう。
見ると、墜落しているUFOによじ登っている。UFOの表面がつるつるしている割にムーは器用に
てっぺんまで登り、UFOに生えているアンテナ辺りを引っ張り始めた。

「ムーちゃん、何やってんの?」

俺の後ろから、やはり追いかけてきた姉ちゃんがムーに声をかける。
ムーは壮絶な笑みを浮かべて俺たちを見下ろすと、ぷるぷる震える指をびしっ、と向けた。

「ちょっと位数が多いからって調子に乗るのは早いのです!この宇宙船の中には武器だって通信機だって
 あるのです!応援さえ呼べば、すぐにわたしの他199人の精鋭が駆けつけて助けてくれるに違いないのです!
 それだけじゃない、このUFOの装甲はいかなる惑星への大気圏突入にも軽く耐え、
 兵装のビームは100万トンの氷山も一瞬で蒸発させ、さらに乗組員の安眠を約束する快適ベッドや
 プライバシー保護のためのオートロック機能も―――」


 
オートロック機能。


ムーはそこまで叫ぶと、がっくりと膝をついた。
……まさかとは思うが、閉め出されたのかコイツ。さっきの物言いだと、武器も通信機もこのUFOの中らしいし。
甲子園を見て驚愕していたことやさっきのだだっこパンチから察するに、コイツ自身の脅威は
ZEROに等しいと見ていいだろう。地球侵略の危機は去ったのだ。勝手に。

「う」

UFOの上でぺたんと座り込んでしまったムーはその大きな瞳に涙を浮かべると。

「うわぁぁぁぁぁぁぁぁん」

大声で、泣き出した。



………地球を侵略しに来た割に脅威をまったく感じなかった宇宙人は見ていて可哀そうになってくるほどで、
俺と姉ちゃんは再びあやしてなだめて励ましながらムーを家に戻した。
しくしく泣き止まないムーは話ができるような状態ではなさそうだったのでとりあえず姉ちゃんはベッドで
寝かせて落ち着かせると部屋に連れて行き、俺はといえば高校野球を眺めながら麦茶を啜って待つことにした。
しかし別段贔屓の高校が出場しているわけでもなし、俺の目はテレビを映していても観ているわけではない。
見えているだけだ。

ムーのことを考えていた。

あの、天然記念物級のドジである侵略者をどうするべきなのか。
侵略者といってもあいつはまだ何もしていない。せいぜいウチの庭に大穴を開けたくらいだ。大した問題じゃない。
UFOが開かない今、中にあるという武器も通信機も使えず、またUFOそれ自体も操作できないということは
ムーは今や頭にアンテナのついたただの女の子ということになる。
そんなムーをどこぞのヤバげな研究所やら警察やらに引き渡す気にはなれない。引き渡す方法も知らないし。
―――気が付くと、どうにかしてムーをこの家に置いてやろうと考えている自分がいた。
宇宙人なのに。侵略者なのに。いや、後者は自称であって中身が伴わないんだけど。

『安心しました』

そう言って笑ったあの顔が忘れられないのだ。

ああ、参ったな。
くそ。

そうやってぼりぼりと頭を書いたとき、ムーを寝かしつけていた姉ちゃんがドアを開けて部屋に入ってきた。
そのままどっかりと俺の前に座り込むと、残っていた麦茶を一気に喉に流し込んで、さらに氷をボリボリと
噛み砕く。その様子を見て、なんとなく俺は悟った。やはり俺たちは姉弟だ。考えることは同じらしい。

「―――諒」
「なんだよ」

顔をしかめながら、やっぱり顔をしかめている姉ちゃんに返事を返す。

「ムーのことなんだけど、この家に住ませることにしたから」
「わかった」
「――――――……」

姉ちゃんが驚いて目を丸くする。
俺は新たに麦茶を注いだ。そして姉ちゃんの顔も見ずに、さも当然のように言う。


「まぁ、見た感じ悪いヤツでもなさそうだしな。それにUFOが操縦できないってことは、
 つまり自分の星にも帰れないってことだ。そんな状態で行くあてのないムーを外に放り出してみろ。
 地球人はどんだけ鬼畜なんだってなるだろ」

そう―――そうなのだ。
ウチの庭に落ちてきたのも何かの縁。
しばらくは、ドジな宇宙人と同居生活をするのだって悪くない。

「……わかってんじゃん。さすが我が弟」

しばらく目を瞬かせていた姉ちゃんは、やがてニヤリと微笑んだ。

「家長には逆らえないんだろ?我が姉」
「もち」

俺は立ち上がり、そのまま背を向けて居間を出た。

とりあえず、ムーが落ち着いたら街にでも連れて行ってやろう。きっと人ごみに驚いて腰を抜かすはずだ。
インターネットを教えてやるのかもいいかもしれない。侵略しに来たくせに、どうせ何にも調べていないに
決まっているのだ。宇宙を飛び回ったり頭にモヤモヤ響くような言葉を地球の、しかも日本語に翻訳したり、
物凄い科学力を持ってるのはわかるんだがなんでそんなにウッカリしてるんだ?
あいつの星の住民はみんなドジっこなのかも知れん。
聞きたかった。
宇宙の話を。
ムーの、話を。

俺はにやつく顔を抑えながら自室のドアを開け、


――――――何者かに内側から引っ張り込まれた。


「うわ、わ!?」

余りに突然のことだったのでふんばることもできない。俺はひっくり返り、思い切り尻餅をついた。
そして打ち付けた腰をさする暇もなく、俺を引き倒した犯人がのしかかってくる。
襟元を締め上げるように引っ掴み、ぐぐいっと顔を近づけてくる―――宇宙人ムー。
なんだか目つきがおかしい。ちょっと見ないうちに色濃い隈ができたようで、
瞳から光沢が消えぐるぐると渦巻きが回っている気がする。どうしたというんだろう。

顔の近さにちょっとだけ顔が赤くなるのを自覚しながら、俺は―――っていうか、
なんでこの部屋にいるんだ、ムー。ここ、俺の部屋なんですけど。お前、姉ちゃんの部屋にいたんじゃないの?

「……メイさんに案内されたんです。好きに使えって」

ああ、そっか。ムーをこの家に置くってことは、つまりムーの部屋が必要だってことで。
姉ちゃんはそこで自分の部屋ではなく、俺の部屋を提供したってことですか。確かに空き部屋は
ひと部屋あるけどほとんど物置になってて片付けるには大変な労力がいるもんなぁ。
―――って、おい姉上!さっき少しだけ分かり合えたと思ったらコレですか!!


「ふふ、ふふふ……うふふふ…………」

ムーは何やら笑っている。さっきまで泣いていたのにもう立ち直ったのか。
それならいいが……しかしよく見るとそれはさっき見せたような花のような笑顔ではなく、
もっと鬼気迫るような何かだった。顔に影がさして表情はよく見えないのに目だけが爛々と光っている。
俺はなんだか恐怖を感じて、だがムーがお腹の上に乗っているので後ずさりもできない。

「えーと、ムー?」
「侵略は諦めません」

怖い笑顔のまま、ムーはそう言った。
そうして悟った。この顔は自棄になっている顔だ。宇宙人も自棄になるのか、なんて俺は頭の片隅で
そんなことを考えていた。ムーの重さをお腹の辺りに感じて、否応無しに神経がお腹に集中していく。
姉ちゃんのそれとは違う。アレは野生動物とかそういう類のものだが、ここに乗っているのは女の子のそれだ。
しかも銀色の宇宙素材とはいえ見るからに薄手のスク水モドキ。ということはこのお腹のすぐ上には……って、
いかんいかん。ヘンな気を起こすな俺。同じ家に姉ちゃんがいるんだ。こんな所を見られたら顔面にサンダルが
食い込むどころの話じゃなくなる。
俺は必死に理性さんを引きとめて、

「いや、しかし、侵略は諦めないって言ってもどうするんだよ」

そう言葉を紡いだ。

「UFOは使えないし、武器だってないし、仲間にも連絡は取れないんだろ?お前一人でなにが……」
「諦めたらそこで侵略終了です!!」

某名作バスケットボール漫画の監督のようなことを言い出すムー。

「確かに、わたしは一人かも知れません。それでは流石にこの星を侵略することは難しいでしょう」
「………いや、難しいっていうか無理だろ。あんた弱いじゃん」
「ですが!わたしの意志を継ぐ子供たちならどうです?孫なら?ひ孫なら?地球人に紛れ込んだわたしの一族は
 いずれ200人くらいになって、この星を制圧してくれる日がくるかも知れません!!」
「自分の責務を未来に押し付けるな!」

っていうか200人じゃ無理だって。
つまりはムーの言い分はこうである。ムーは確かに一人だが、ムーが子供を二人産めば侵略者は三人になる。
その二人がさらに二人ずつ子供を成せば七人。さらに、さらに……。で、なんやかんやで地球を
征服してしまおうというのだ。なんとまぁ、気の長い計画である。何百年、何千年かかるんだ、それは?
っていうか時間の経過に合わせて地球人も数を増やしていくだろうから、結局無理なんじゃなかろうか。
そしてムーの子供でさえ半分は地球人になるのだから、何世代にも渡って薄まっていけば
そいつは別に地球を侵略する必要もなく普通に地球人と言えるんじゃなかろうか?

ツッコミどころ満載ではあるが、自暴自棄になっているムーの耳には届かない。

「うるさいですうるさいですうるさいです!」

ムーはじたばたと暴れると、

「したっぱでも、落ちこぼれでも、失敗ばっかりでも!わたしは誇り高い     !!
 一度こうと決めたら他のひとの忠告なんていらないのです!行き着くところまで突っ走るのですー!!」
「うわぁ、すげえ我が侭!そしてやっぱり落ちこぼれだったんだ!」
「やっぱりってなんなのですか、やっぱりってー!」

頭のアンテナがくるんと動いて俺の方を向き、先っちょのピンポン玉みたいな発光体が
ぴかっ!と一際強い光を放った。そして―――。


「あ、あれ!?動けねぇ!」
「ふっふっふ。まぁざっとこんなもんなのです」

ふふん、と無い胸を張るムー。俺はといえば、金縛りにあっているかの如く身体がぴくりとも
動かなくなってしまっている。超能力だ。すげぇ!ムーを見くびっていた。こんな隠された能力があったのか。
俺の身体から自由を奪ったムーは、それで何をするのというと―――。

俺の服を脱がし始めた。

「どぇぇぇええええええああああああああああああ!!!?」
「うるさいです。うるさいです」
「な、ななな何するんだよ!?」
「さっきの話を聞いていたでしょう。わたしはこの星をなんやかんやで侵略するのです!!」
「自棄になるな!自分の身体は大切にしろ!!」
「聞く耳持ちません!!」

ムーはしばらくジーンズのファスナーを下げようとわちゃわちゃやっていたが、不器用なムーは上手く金具を
掴むことができす、業を煮やしたようにジーンズそのものを引き摺り下ろした。一緒にトランクスも脱げてしまい、
ムーの眼前に俺のモノが飛び出してくる。既に大きくなっているが、だって仕方ないだろう?
宇宙人とはいえ、可愛い女の子であることに違いは無いムーにマウントされたあげく、
なかなかファスナーを下ろせずにいたその刺激が敏感なところに伝わってきていたんだから。

「ひぃ」

目の前に突然飛び出してきたソレに驚いたのか、ムーが喉の奥から変な音を出した。
そして目を白黒させながら、

「な、なななななんですかコレはっ!    ですよね!?    ですよね!?嘘!?え?だってコレ……。
 えぇ!?こんなんになるんですか?怖ッッ!!性交ってこれ、わたしの中に入れるんですよね!?
 無理!絶対無理!!死んじゃうじゃないですか!!」

いやいや。確かに大きくはなっているけど俺のは地球人、っていうか日本人の中でも平均的な大きさだと思うけど。
っていうかなんでお前が混乱してるんだ。襲っているのはそっちだろう!

「うるさいですよ!わたしだって性交の経験ないんですから優しくしてくださいよ!!」
「だったらやめろ!無理すんな!!」
「諦めたらそこで侵略終了です!!」

ムーはいらんところで熱血になると、俺の剛直を掴んでその上に跨った。
―――って、おい。俺も経験はないが―――それでも、今の時代インターネットでいくらでも情報は手に入る。
普通、こういう時は前戯や何やでたっぷりと濡らしてからするもんじゃないのか!?
経験はないって言ったよな!?ってことは処女だろ!?宇宙人だから大丈夫なのか!?
ぐい、と剛直がムーのその部分に押し当てられる―――。

「―――えい!」

ムーはぎゅっと目を閉じて、一気に腰を沈めた。
すべすべと柔らかな感触が鈴口から滑って裏筋に、そしてサオに押し当てられる。
ぞくぞくとした快感に思わず歯を食いしばる―――が。あれ?これ、入ってるのか?なんか変じゃない?
俺は逸らしていた顔をムーのその部分に向けて、すぐに悟った。
入ってない。俺の肉棒はムーの股に擦りつけられているだけで、挿入には至っていない。
ムーはムーなりに自分の『入口』に正確にあてがったのかも知れないが、それでも入るわけがなかったのだ。
何故なら、ムーはまだスク水モドキの銀色スーツを脱いでいなかったのだから。それじゃ入るわけがない。
俺は残念なような、ほっとしたような―――そんな余裕は一瞬で消え去った。


ムーが腰を動かし始めたのだ。

こいつ、必死すぎて入っていないことにも気付いていない。どんだけテンパってるんだ、こいつ!
動いているといっても股をもぞもぞと俺の下腹部に擦り付けているだけみたいなものだが、
それでも俺にはちょっと刺激が強すぎる。ひと擦りごとに背骨を駆け上る快楽に歯を食いしばり、
喉の奥から情けない声が漏れるのを防ぐしかできない。ムーに挿入をしていないという伝えることもできず、
またムーの金縛りのせいで動くこともできず、俺はムーのなすがままになるしかなかった。

「―――はぁ、ふ、ぁ……ッ」

やがて、俺の頭の上で―――甘い声が、聞こえる。
ぱたっ、ぱたたっ、と何か温かいものが零れ落ちてきた。
ムーの涎だ。半開きになったムーの口から、蕩けた声と唾液が漏れていた。その目は切なそうに細められ、
頬は真っ赤に上気して。擦り付けられるその部分から決して汗ではない体液が染み出し、
ぬちゃぬちゃと粘っこい水音が響く。擦り続けるうち、最初は気付かなかった小さな突起を
感じるようになっていた。ムーもそこが特別気持ちいいのか、腰の角度を変えて動きをこそに集中する。
多分、間違いない。クリトリスだ。

「あー、あーっ、はぁ、はぁあぁ、あー……」

苦しい。
ムーが上に乗っているからではない。
動けない、ということが。
自分が、一番気持ちのいいペースで動けないということが、とんでもなく苦しい。
もどかしく、しかし気持ちよく。
俺はただ耐えるように歯を食いしばっていた。

「ふぁ、あー……リョウさん、リョウさん……は、あぁ、あン、あぁぁ、」

ムーの動きが大胆になっていく。激しく、強く擦り、身体を丸めて俺の肩に噛み付く。
痛い。痛いけど、それ以上に気持ちがいい。奥の方から精液がこみ上げてくるのがわかる。

「くる、くるです、リョウさん、わたひ、あ、ヘンに、ヘンになる、ですぅ」

ムーの声も切羽詰ってきていた。ムーも限界が近いらしい。
摩擦熱で火がついてしまうんじゃないかと心配になるくらい―――いやもっと。もっとだ。もっと強く、
強く、強く、強く―――。

「は、ぁ、ぁ、くる、きちゃう、ヘンに、ぁ、あああ、あ、ああああ、ぁ~~~~~~~~~~ッッッ!!!!」


びくん、びくん――――――。


ムーがぎゅうっ、と俺の身体にしがみ付き、身体をぴったりと密着させてがくがくと痙攣する。
絶頂に達したらしい。そしてそれは俺も同時だった。硬く硬く立ち上がった肉棒から、
丁度ムーのおへそに突き刺さるように大量の精液が放たれた。
身体の芯から搾り取られていくような感覚に、金縛りとは違う意味で力が抜けていく。
かは、と息をつくと、腹の底に溜まっていたのかやたら生臭いことを自覚した。
そしてそれはムーも同じだ。しかしこっちはやたらに甘ったるい―――気がする。


「……はぁ、はぁ、はぁ………」

ムーは精根尽き果てたのか、くったりと俺に身体を預けて目を閉じ、動かない。
俺はとりあえずお腹にべっとりとぶちまけられた精子をふき取ろうとムーを抱きかかえたままティッシュに
手を伸ばし、いつの間にか金縛りが解けていることに気がついた。
ムーの意識が途切れたために超能力もその効果を失ったらしい。

「痛て」

腰を捻っただけで痛みが走る。ベッドの上ですらないフローリングの床での行為だったので身体がぎしぎしする。
ムーは俺の身体をクッションにしていたからいいだろうが、腰をさすると床の跡がついていた。
噛み付かれた肩にも歯形が残っているだろうし、これを姉ちゃんに見られたら何されるかわかったもんじゃない。
いや、というかこの場を見られたら間違いなく重くて硬いものを投げつけられるだろう。

「………………………」

なんだかもの凄く嫌な予感がして、俺はとりあえず自室の鍵を閉めようとドアに手を伸ばした。
しかしその手が鍵をかけるより前に、ドアが外側から、開く。

「なーにやってんの諒、さっきからわぁわぁうるさい……よ………………………」

姉ちゃんと。目が。合う。

「…………………………………………………………………………………………………………………………………
 …………………………………………………………………………………………………………………………………
 …………………………………………………………………………………………………………………………………」

完全に硬直する姉ちゃん。

状況確認。ちくたくちくたくちくたく。
ムー。俺の腕に抱えられて、さらに意識がない。しかもお腹からとろりと垂れているのは、
どう見ても精子です。本当にありがとうございました。対する俺。下半身丸出し。
ちーん。状況把握。

「……いや、あのですね。お姉さま、これはムーの方が俺に襲い掛かってきたわけでして、
 俺は金縛りで身動きが取れなかったわけでして、むしろ俺のほうが被害者なわけでして、
 信じてもらえないのは百も承知ですが信じて欲しいけど信じられるわけないですよねやっぱりーッ!!?」

目の前に重くて硬いものが迫っていた。
めごす。



―――――――――………。
――――――………。
―――そして。

「うう……消えてしまいたい」

目を覚ましたあと、ムーはやっとテンパり状態から正気に戻ったのか、
自分のヤったことの恥ずかしさを自覚して両手両膝をついてがっくりとうなだれていた。
そりゃあそうだ。俺も恥ずかしいが襲い掛かった本人は穴があったら入りますからそのまま土葬にしてください
ってなもんだろう。しかも行為に及んだ理由があまりにバカバカしすぎる。死んでも死にきれない。

あまりに見事に凹んでいるので見ていて可哀そうになり、俺は

「大丈夫だって、ムーちゃん。挿入は未遂なんだから。犬に噛まれたとでも思って」
「いや噛まれたのは俺ですけど姉ちゃん!?」


噛まれたどころか重くて硬いものを顔面に投げられて鼻血出たけど。

「すみません。この刃物借りますね」

はッ!しまった、ムーがカッターナイフを手にしている!
きちきちと刃を出して喉元に押し当てようとするムーを羽交い絞めにして止める。
宙に浮いた足をじたばたさせながら、ムーは涙目で叫んだ。

「やー、死なせてください!星にも帰れず、侵略もできず、おまけにあんな恥ずかしいことまでして、
 それでも生きていけっていうんですかぁ!!どんだけ精神力強いんですかわたし!
 いっそ死なせてくださいぃ!!」
「落ち着け、落ち着けって!頑張ったよ!お前は頑張ったから!その結果はアレだけど」
「死なせてぇぇぇぇぇぇええええええ!!!!」

とりあえずカッターは没収して、落ち着かせるために俺は叫ぶ。

「わかった!わかったから!手伝うから!」
「へ?」

ムーの動きが止まる。姉ちゃんも、何を言うのかを目を丸くしている。
俺は方法を間違えたか、と早くも後悔しながら、それでも後戻りはできそうになかったので続けた。

「ようは67億人も人間のいる地球は一人じゃとても侵略できないっていうんだろ?だったら俺も
 ムーの仲間になるって言ってるんだよ。少なくとも、一人VS67億人よりかは
 二人VS66億9999万9999人の方が見込みはある。違うか?」
「……で、でも………」
「諦めたらそこで侵略終了……なんだろ?」
「………………………………」

我ながらアホなことを言っていると思う。たった一人、たった一人仲間が増えたところでなんだって言うんだろう。
焼け石に水、どころか溶鉱炉に霧吹きみたいなもんだ。しかし、それを聞いて吹き出した者がいた。
姉ちゃんである。

「………なんだよ」
「いや、別に?」

ニヤニヤしている。なんだってんだ、クソ。
―――ああ、そうだ。姉弟なんだ。考えていることはわかるだろうさ。
俺が、とっくにこの女の子に侵略されてしまっているってことも。

「じゃあ、あたしも仲間になるわ。これで三人VS66億9999万9998人、ね?」

66億9999万9998人。
それは奇しくも、ムーが俺たち姉弟を亡き者にし、数の不利をひっくり返すと宣言した数と同じだった。
しかも、あの時、侵略者はムー一人だけだったのが今は三人に増えている。
ムーはしばらくぽかん、としていたがやがて口元を緩ませると俺を振り返った。

俺は大きく、頷いてやる。
もうすぐ。もうすぐだ。

「は……はいっ!よろしく、ですっ!!」

はたして、この天然記念物のようなドジっこ宇宙人は、ぺこりと俺たちに頭を下げ、
ふわりと。まるで花が咲いたみたいに、笑うのだった。


              結成!地球侵略軍!!~新ジャンル「うつうじん」妖艶伝~ 完

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最終更新:2009年01月24日 02:34
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