新醤油学園 青春編 「勘兵衛老人の憂鬱」

豆田邸を辞した勘兵衛老人が帰宅したのは、時計の針が十時を回った頃だった。
「帰ったぞい~」
「お帰りー、おじいちゃん」
出迎えたのは孫娘。
「おお、ただいま」
「こんな遅くまでお仕事なの?」
孫娘の声色は呆れ半分、気遣い半分といった所か。
「何か食べる?」
「いや、大丈夫じゃ。茶でも入れてくれ。芋羊羹買って来たしの」
「あたしも!!」


「しかし…」
「ん?どしたの?ジロジロ見ちゃって」
羊羹を美味しそうに頬ばる孫娘を見る勘兵衛老人。
「お前は昔のままじゃなぁ…色々な意味で」
「し、失礼ね!!これでもちゃんと成長して!!」
孫娘は抗議するが、その表情(や胸など)は勘兵衛老人から見て、幼き頃とあまり変わってない。
「まだまだ子供じゃな、いつになったら女らしくなるのやら…」
「べーっだ!!そんな事言ってると、すぐお嫁に行っちゃうんだから!!!」


孫娘が自室に戻った後も勘兵衛老人は一人考え込んでいた。
「陽子嬢ちゃんの見合いはまだ早過ぎじゃ…あの子、亜弓と同じ年じゃしな…」
ふと脳裏に孫娘、亜弓の婚礼衣装姿を思い、涙が出て来た勘兵衛老人。
「亜弓はまだまだ子供じゃから…」
そう思っても寂しくなった勘兵衛老人であった。


新醤油学園 青春編
「勘兵衛老人の憂鬱」

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最終更新:2009年01月24日 02:37
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