カマック・ライフ
【かまっく・らいふ】
ジャンル |
RPG |
対応サイト |
PLiCy |
作者 |
ヒラリラー |
公開日 |
2023年8月6日 |
判定 |
良作 |
ポイント |
ゲーム内の街の中で生活を体験するRPG 前作『ロフト・アンダーグラウンド』同様、様々なステータスが登場 現実の時間経過に合わせてゲーム内の時間も進んでいく |
WWAコンテスト2023 エントリー作品 |
概要
見に覚えのない借金を背負った青年が、借金返済に奮闘する!
青年アルマが街中でお金を稼ぎながら進んでいく形式のRPG。
特徴
- 当作品独自のサブステータス
- 食べ物を食べることで回復する「満腹度」、睡眠を取ることで改善される「眠気」といったステータスがあり、回復手段を取らずにゲームを進めていると生命力が徐々に低下していったり、街の中で寝てしまったりする。
- 高難易度モードの場合、風呂に入ることで回復する清潔度(低い状態だとアルバイトの賃金を減らされたり、そもそも働けなかったりする他、NPCのセリフにも変化が見られる。)や、幸せな生活をすることで回復する幸福度(低い状態だとアルバイトの賃金を減らされたり、主人公アルマが仕事から逃げてしまったりする。)といったサブステータスも登場する。
- EASY以外では、これらのステータスの状態が悪いと攻撃力や防御力、移動速度などが低下していきゲームプレイにも支障をきたす。プレイヤーは主人公アルマのパラメータを適切に管理してゲームを進めていく。
- 世界観
- 現代に近い世界が舞台になっており、街の中にも鉄道やコンビニ、不動産会社など現代的な要素が揃っている。
- ゲームセンターにはスロットマシーンがあり、当たり台も用意されている。
- 各種施設には営業時間が設定されており、時間経過で営業時間外になると外に追い出されるようになっている。
- 4段階の難易度設定
- EASY、NORMAL、HARD、人生の4段階から選択可能。
- 最難関モード「人生」を遊ぶには、一度HARDで特定のエンディングを見る必要がある。
- JavaScriptによるリアルタイムな時間経過
- リアルの時間経過に応じてゲーム内の時間も進んでいく。Rキーを押したり、図書館(時の流れが停止している)に訪れたりすることで一時的に止めることも可能。
- マルチエンディング
- 借金から逃亡するエンディング、借金を返済するエンディング、どちらにも該当しないエンディング、隠しエンディングなど幾つかのエンディングが用意されている他、ゲームオーバーにも幾つかのパターンがある。
- ただし、ゲームオーバーについてはただ単に生命力が0になるだけでは病院送りになるだけであるため、特定の条件下でしか見ることができない。
評価点
- 場所や回数に制限のないセーブ
- 前作『ロフト・アンダーグラウンド』では場所と回数に制限のあったセーブだが、今作では原則としてどこでもセーブが可能である。
- 一定以上の難易度ではロード時のペナルティが存在するが、ロードしたことの有無だけを見るのでこまめなセーブ&ロードを繰り返しても問題ない。
- 風呂の存在
- バトル銭湯という施設では湯船に浸かり清潔度を回復することができるほか、サウナなどで他の客と交流し、攻撃力や防御力を高めることができる。
- 序盤は攻撃力や防御力を上げるための手段が事実上ここしかなく、プレイヤーたちは何度もバトル銭湯へ入浴することになる。主人公に裸のグラフィックが用意されているWWA作品は非常に珍しい。
- 上記の「バトル銭湯」以外でもホテルの浴槽などで清潔度の回復は可能。
- 鉄道への拘り
- 作者であるヒラリラー氏の趣味であることもあり、鉄道周りには力が入っている。
- 作中では主人公アルマが電車に乗ることができるが、目的に到着するまでのメッセージや列車種別には幾つかバリエーションがある。
- とある条件で電車に乗った場合のイベントも。
- とことん遊びやすいEASYモード
- NORMAL以上の場合は「満腹度」「眠気」といったサブステータスに応じて移動速度が低下したり、攻撃力/防御力が低下したりとストレスの溜まりやすい要素を抱えているが、EASYではそういった点が緩和されている。
- 同じギミックを抱えていたヒラリラー氏の前作『ロフト・アンダーグラウンド』ではEASYモードでもその辺りの仕様は据え置きであったことを考えると、非常に遊びやすくなっている。
- ゲームオーバーになりにくい良心的な作り
- 生命力が0になるなど他の作品ではゲームオーバーになるような場面であっても、ゲームオーバーにはならず病院送りになるだけで済む。
- 借金(アルマが直接借りた分)が100万に達した場合のみゲームオーバーとなるが、故意に見ようとしない限りそこまで陥ることは滅多にない。
- アルバイト先の自由度
- 高賃金だが営業時間の制約があり、他の施設と距離がある「スーパー」、ホテルと距離の近い「コンビニ」、勤務時間が短く寝床が近い「カプセルホテル」の3種類があり、プレイヤーの考え次第でアルマを様々な場所で働かせることができる。
- ゲームを極めたプレイヤー向けのオマケ要素
- 達成は非常に厳しいが、最高難易度である「人生」で隠しエンディングを見た場合限定のオマケ要素がある。
賛否両論点
- 良くも悪くもリアリティのある世界観
- 真夜中に図書館に入ることができない、民家や用のないビルに入ることができないなど。
- 現代的な世界観の演出としてはよいのだが、プレイヤーの行動範囲に制限もかかっており遊びにくさを感じる部分がある。また、街は5×5の25区画で成り立っているが、うち10区画ほどはプレイヤーが入れる建物が存在せず無駄に走るだけの道と化している。
- 特定の場所から別の場所に楽々移動できるようなワープポイント等も存在しない。アルバイト先や食堂、ホテル、銭湯などの施設を終始マラソンしていくことになる。中でも深刻なのがゲーム中盤~終盤にかけて訪れるとある場所で、非常に入り組んだ道を毎回往復しなければならない。
- 特定の場面で生命力が0になるとゲームオーバーになる
- 基本的には病院送りになるだけなのだが、特定の場面のみゲームオーバーになってしまう。ただし、状況的には病院送りのほうが不自然な場面である上に、オートセーブ機能もあるため膨大な時間を失う心配はない。
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【ネタバレ注意!】曜日の概念について |
- 午前0時を跨ぐ度に月~日の曜日も変動していくが、これらの曜日で何らかのイベントが発生することは一切ない。
- 作者いわく、制作当初は店の定休日などを設定する予定だったらしい。しかし、定休日はリアリティがあるだけでプレイヤーにとって不便な要素であるため、現状のほうが良かったとの見方も。
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問題点
- 図書館がやや不便
- 今作における図書館は「初心者の館」としての役割を担っているのだが、営業時間外には入ることが出来ず、ゲームの遊び方を理解していない初心者がうっかり夜に突入してしまうと情報も得られず翌朝まで右往左往することになる。
- 一応、お金のない状態でも野宿はできるほか、カプセルホテルやコンビニは夜間もアルバイトができるため時間の調整は可能である。ただし、初心者の館を見そびれた初心者がすぐにそういった行動を取れるとは限らない。
- また、駅を出た直後に会話できるNPCが図書館を訪れるよう促す発言を行ってはいるものの、ゲーム開始直後は主人公により足止めされてしまい立ち入ることができない。そして、主人公の誘導通りに会社へ行くと衝撃的な展開から一気に街を自由に動けるようになるため、図書館のことを忘れてしまうケースもある。
- やや機械的なNPC
- 難易度NORMAL以上だと主人公の清潔度に応じてNPCのセリフが変化するが、逆に言うとそれ以外のNPCのセリフ差分はなく、早朝でも昼でも深夜でも街中のNPC達は常に同じ場所にいて同じ発言を繰り返す。主人公が立ち寄れない家やビルなど、彼らの居場所はあるように見えるのだが……
- 調べられそうで何もないオブジェクトが多い
- 看板や表札のような画像のオブジェクトであっても、実際に調べようとすると何も出てこないというパターンが多々見受けられる。ただし中にはしっかりとメッセージが出てくるものもあり、何も書いていないと思っていたプレイヤーが有益な情報を見落とす場合も。
- また、扉の閉まっている民家は基本的に全て入ることができないが、とある民家のみは例外。
- クリア画面でセーブができない
- 本編中はどこでもセーブ可能だったが、クリア画面のみはセーブできない。特に問題なのが難易度HARDの場合であり、ここでは最高難易度「人生」をプレイする方法や、隠しエンディングのヒントについての情報が記されている。そのため、スクリーンショットを取るなどして情報をメモしておかなければならない。
総評
- 街の内部やシナリオ、設定、エンディングのパターンなど様々な部分で手の込んだ作品。難易度NORMAL以上の場合はこのゲーム独自の仕様によるステータスや移動速度の低下などスムーズに遊べない部分が存在するが、そういった点を踏まえても良作であると言えるだろう。
最終更新:2023年08月30日 09:54