≫65-66 バイクを盗んだのは許せんが、オヤジはいい男だ。

俺の父親は物心ついたころには母親と離婚して家にいなかった。
中学になった頃に初めて会った。(小さい頃のことはあまり覚えてない)
ぱっとしない中年の男だった。愛情も尊敬も持てるわけがない。

高校生になった頃、母親に離婚した理由を聞いた。
お人よしの父親は商売をしていた友人の保証人になって大きな借金を背負い、
家族に迷惑がかからないように家を出たのだという。
考えると、母のパートに毛が生えた程度の収入では子供3人を養えたわけもなく、
ずっと生活費は送ってきていたようだ。

そう聞いても、まだ子供だった俺は「あの人が死んでも俺は泣けない」といったことを
母に言って、さびしい顔をされていた。

高校を卒業する頃、母親の古いアルバムを見せてもらった。
若い両親が写っていた。CBに乗った父親の姿があった。
正直、かっこよかった。本当の父親を見た気がした。

それから父について冷静に考えることができた。
家族を支え続けてきた一人の男として見る事ができるようになった。
両親は再婚するらしい(ややこしい)。

俺は高校卒業と同時に中型の免許を取り、2年後に限定解除した。
今の嫁と出会って、俺にも支えるべき家族ができた。
何年か経って、今は自分がCB750に乗っています。

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最終更新:2009年01月18日 16:41