143 名前: 774RR [sage] 投稿日: 2007/11/04(日) 00:38:27 ID:aAlARqmK
その昔、学校の警備員を学生バイトがやれた頃、
俺は出身校の中学の警備のバイトをしていた。
大学が終って直行だったのでバイクでの通いは許可されていた。

ある年の瀬の日曜日、風の強い午後に奴は学校にいた。
いつも俺のバイクを遠くから見ていた目つきの悪い奴だった。
その日は何故か小さな子供をつれていた。

気になったので(寝泊りしている)警備員室へ二人を招いた。
部屋に入った途端、連れていた子供は俺の食べかけの
インスタントラーメンに釘付けになっている。
聞くとまだ飯を食っていないとの事なので、気まぐれについでに
インスタントラーメンを俺の追加分も含めて4人前作って出したが
奴と子供で完食w。
そして奴が少しづつ話した事を要約すると、
・急な引越しが決まって明日から遠くの街に行く。
・妹(とは気がつかなかった!)が友人に別れも言えず悲しんでいるので
 せめてもと思い通っている小学校の校舎に別れを告げに連れて行った。
・両親は不幸のてんこ盛りで貧乏な為、家では争いが絶えず、
 今日はその為、飯を食べられなかった。 etc
そして奴がいつも俺のバイクを見ていたのは
「こんなバイクで遠くに行けたら幸せだろうな」って羨んでいたと言うこと。

俺は奴に「俺のバイクに跨って見るか」と切り出したところ驚きの表情で
何度もうなずいた。
奴はとても緊張しながら俺のバイクに跨った。
校舎の窓ガラスに映るバイクに跨った姿に満面の笑み。
妹はその姿を微笑みながら見ている。

暗くなり、帰り際に妹が警備員室で何度もチラ見していた
サンリオの絵のトランプ(何かのオマケ)をお土産にあげた。
「ありがとう」と小さな声で両手で大事そうにしていた。
奴には俺のバイクにつけていたビニール製のヨシムラのキーホルダを
餞別にあげた。とても喜んでくれて、二人は校門を出るまで何度も振り返り
手を振っていた。

後日聞いた話では、
奴の引越しは夜逃げ同然で逃げるようにこの街を去った。
妹は今で言う育児放棄の状態でいつも奴が面倒を見ていたとの事。

まだまだガキだった俺は現実の厳しさに立ちすくむ思いだった。

・・・で、実は奴とは来春に再開の予定だ。

文章表現が痛くてスマンでした。

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最終更新:2008年02月06日 16:19