601 名前: 774RR [sage] 投稿日: 2007/12/27(木) 22:00:06 ID:7BwLZwgg
なんかスレがいい感じになってきたなぁ…。ちょいと投下してみる。

もともとクルマが好きだった俺は、中学を卒業して高専に入った。
そこでバイク乗りの友達が出来て、初めてバイクってものに興味がわいた。
原付免許で良いと思ったが、友達から中免を取れと諭された。
まぁ、免許は持ってて損は無いだろうと中免を取った。
そうしたらバイクがものすごく欲しくなった。反対する親を説得した。でもうんと言ってもらえなかった。
そんな状態をぽろっと母の妹、つまり俺の叔母(当時仕事を辞め、我が家に居た)に伝えた。
もっとも叔母は母の肩を持っていたが…。
ところがある日、母がいきなり半額出してやるといった。どうやらバイクに対する俺の情熱を知った叔母が、
母を説得してくれたらしい。
そんなこんなで中古のボルティーを買った。本当はVTスパーダが欲しかったが、贅沢は言えなかった。

ボルティーを買ったとき、俺はある約束を叔母とした。それは「ずっと、ずーっと大事に乗り続けること」と、
「うまくなったら私(叔母)を後ろに乗っけてどこかに連れて行くこと」だ。

ボルティーを手に入れてからは、親からバイク基地外と言われるぐらい乗り回した。
どんどんオドメータの数字が大きくなるのが嬉しくて、あちこちに出かけた。
叔母との約束など、どこ吹く風だった。

ボルティーに乗り始めてから数年後、叔母がガンに侵され、もう長くないことを親から聞かされた。
入院先の病院に見舞いに行くと、そこには約束をしたときとはまるで別人のようにやせ細ってしまった
叔母がいた。無論、タンデムなんぞ出来るはずも無い。

俺は馬鹿だ。

どうして仕事人間だった叔母が仕事をやめたのか。どうして都会が大好きだったのに田舎に戻ってきたのか。
ガンだと告知され、かなうことの無いであろう約束を俺としたとき、どんな心境だったのだろうか。
なにも分かっちゃいなかった。

結局、叔母は治療の甲斐なく亡くなった。約束を果たせないまま。

叔母が亡くなって年月はたったけれど、今もボルティーは俺の愛車だ。
酷使してあちこちガタが来てるけど、手放すなんて出来ない。
だって、手放したら俺は約束を果たせないクズ野郎になっちまうから。
叔母との約束はまだ生きてる。
俺のボルティーは、俺と叔母の約束の証拠なのだ。そう俺は信じてる。

タグ:

+ タグ編集
  • タグ:

このサイトはreCAPTCHAによって保護されており、Googleの プライバシーポリシー利用規約 が適用されます。

最終更新:2008年02月06日 20:09