797 名前: 774RR [sage] 投稿日: 2008/01/10(木) 21:40:45 ID:6SvwMKJI
元々あまりバイクに興味は無かったが、とあるテレビ番組を見てからバイクに興味が出て来た。
好きだったジャンルはオフロード。
ところが、大学で後に師と仰ぐ先輩に影響されて徐々にオンロードの方向にシフトして行った。
講義も終わって帰る途中に先輩から携帯に電話が入り、暇だったら少し付き合えという事で、他愛も無い事を喋っていると、
先輩がさっき買ったというバイク雑誌を取り出した。
そこには既に生産が中止されていた2stレプリカが特集されていて、俺は隅っこに載っている一台の車体に目が釘付けになった。
車体の名はRGV-250γ、型式番号はVJ23、つまり最終型だ。
それからは寝ても覚めてもγの事が気がかりになり、物は試しにと中古車雑誌を見てみると安くても40万円強の価格。
とても学生には手が出ない。当時バイトもしていたが、バイト代はバイト代で色々な理由で湯水の如く消えて行った。
やがて時は流れ先輩は先に卒業し、俺はと言うとバイクの免許も取らず氷河期の煽りも食らって就職先も決まらずと言った状態で卒業する事となった。
≫801やあ、やおいさん。まだちょっとだけ続くんじゃ。
卒業後とりあえずバイトをしてはいたものの方向性を失ってしまった俺の毎日は苦痛で仕方が無かった。
とりあえず金は入るがただ時間を持て余している代わりに入る金なので、微々たる額ではあるもののただ金は溜まる
だけだし、バイトも毎日していたワケではないので時間も余って仕方が無い。
そんな生活が始まって1ヶ月くらいたった頃の事だった。
その日もボケ~と自宅警備員をしていると、あの時先輩が持っていた初めてγを目にした雑誌の事を思い出した。
確かγの事は忘れられなくて学校からの帰り道その本を買ってそのまま何処かにしまったままの筈だった。
掃除も兼ねた発掘作業を進めると、果たしてその本は見つかった。
そうだ…バイクの免許を取ろう。早速俺は教習所へ入校した。
それからはバイトが無い日は毎日教習所へ通った。初めてCB400に跨った時には感動の余り鼻血が出た。
初めて教習所内のコースを走る事になった時はこんなの動かせる筈が無いと思った。
一本橋と急制動でつまづいた時は免許持ってる奴等は化け物に違いが無いと思った。
そしてどうにか免許を取得すると俺は生きる力を与えてくれたγを探しに出かけた。
しかし件のγ(VJ23)はやはり強気な根付け相場で、上物と言わないまでもそこそこのタマとなるとやはり50万円は欲しい所だった。
しかしそんな金は無い。
そこで俺は生まれて初めてIYHする事になった、利子も含めて60万の買い物だ。
今まで生きてきてそんな額の買い物をした事など勿論無かった。
ちょっとカウルが傷だらけだけどそれが他のタマより安い理由だろう。
そしてγが納車された。
納車されたその日、あれは小雨が降る夜の事だった。
友人に見せびらかしに行こうとしたらエンジンがかからない、その内セルの回りも弱くなりセルもついに動かなくなった。
昼間はこんな筈じゃなかったのに…仕方が無いから押しがけを慣行する事にした。
だが100mもしない内に俺は泥に乗り上げて車体もろとも倒れ、
傷だらけのカウルに更に傷がつきブレーキレバーもへし折れた。
泣いてなんかないっすよ…
それからがこのγとの本当の付き合いの始まりで、峠に行けばプラグの付け根からオイルが漏れてるわ、
ミッションのオイルシールが破損してるわで故障が絶えなかった。つまり、そーいう車両を掴まされてしまったという事だ。
挙句の果てには腰上OHをしたら回してもいないのに1ヶ月も経たず焼きついた。
流石にもう駄目だと思い、診てもらう店を代えて徹底的にやり直した。
その際フロントフォークもばらしたのだが、
スプリングが上下逆だわオイルの量が左右で規定より多かったり少なかったりとバラせばバラす程元が悪かった事がわかってくる。
しかし元々乗りたかったγだが、実は本命の車両が出るまでのツナギとしての認識だったので、待ちに待った本命
が出れば心は既にそっちに動いてしまい、γは手放す事にした。
そんな時に、バイクの事を教えてくれた先輩にふとγを手放すという話をすると売って欲しいと言われたた。
バイクを知ったのもこの人のお陰だから、この人になら預けてもいいと快く応じた。
だが先輩は既に妻子持ち。
ここでもし、俺がγを手に入れた時のように不具合だらけの車両を手渡して、
それが元で事故でも起きて万が一の事態になったら申し訳が立たなし、後に手を入れようとした時に、
アイツはこんなにもバイクの事を考えていなかったのかと思われたくも無いので、
手放す前に更にキャブ、腰下、油脂類、タイヤの交換…と思いつく限りのメンテは全て行った。
そしていよいよお別れの時、俺じゃない別の誰かがγに乗る姿は不思議な物だった。
「コイツは速い」と先輩はγを気に入ってくれたようだ。
そして数ヵ月後。
γは当て逃げされ廃車となりました/(^0^)\
最終更新:2008年02月07日 21:28