テゴマス     『くしゃみ』






『うち、今いじめられててさ……』



「うん」




彼女からいじめられてると聞かされた。



それを聞いた時、僕は君を守りたいと思った。




「それより今日誕生日でしょ?」



『うん、覚えてたんだ』



「どこ行きた……へっしゅ」



『あっはは、なにそのくしゃみ!』



「な、なんだよ、どこ行きたい?」




彼女は周りをキョロキョロ見回すと、




『あ!あそこのお店行きたい!行こう!』




そう言って、信号が赤にもかかわらず、



子供みたいに横断歩道を飛び出した。




「おいっ、危ないぞっ」



『大丈夫大丈夫!早く行こ!』



「えっ、ちょ、まじであぶな……ぃ……」




その時はたまたま、運が悪くて、車がやってきた。




『え?…………あ』




彼女が振り返った時にはもう遅かった。




そして、次の瞬間。








――――――――――キィィィィィィィィィッッ







「―――――っ、あああぁぁぁぁぁあああぁぁぁあぁ」







僕は交通事故で彼女を失いました。












彼女は神様を信じていた。




『神様はね、いるんだよーほんとは』




いつか、僕がテストで悪い点数をとったときに、神様は本当はいないんじゃいか?



って思ったことがあって、そのときに言われた言葉だった。




事故の後、僕は何度も神様の存在を否定した。



そのたびに彼女がひょっこりやってきて、




『神様はいるんだよ!』




って言いにきてくれるんじゃないかって、何度も思った。



でも現実になることはなくて、そのたびに悲しんでいた。




3年経っても変わらない。いや、変われないのかもしれない。



僕はまだ彼女のことが、今でも好きだ。












3年前の、あの事故が起きた横断歩道に花束を置いた。




10月5日、彼女の誕生日でもあったこの日。




彼女との思い出を振り返りながらなんども願う。




でも、わかりたくないけど、これだけは揺るがない事実。




























彼女はもういない。




























どんなに君に会いたいと願っても、




どんなに君と話したいと願っても、




どんなになにを願っても、






















君はもういない。



























「へっしゅ」







また涙が出てきた。

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最終更新:2009年12月28日 16:03