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カランカラーン...
下を向いて、ファミレスのドアを勢いよく開けた。
彼は私を呼び止めることなく、さっきまで私が座ってた席の前で、
腕をくんで考え事をしている。
あぁ、止めてくれればいいのに。
そしたら、今もするこの吐き気が治るかもしれないのに……。
「別れよう」
ピタリと携帯を打つ手が止まった。
「は?」
予想もしなかったとでもいうように、彼の表情は固まっていた。
「あたし、片思い嫌いなんだってば」
「んなの知ってるよ!両思いだから付き合えたんだろっ」
「そうだね」
「じゃあ別れる必要なんてねえじゃねえか!」
彼は立ち上がって私に怒鳴った。
でも、なぜか冷めてる。自分。
「だって、祐介といると吐き気がするんだもん」
「はぁ?」
「あたしだってさぁ、好きでこんなこと言ってるんじゃないんだよ?
祐介と会うたび気持ち悪くなって、気分悪くって……」
「それはたまたま具合が悪かったってだけで……」
あぁ、またその言い訳か……。
「あたしだってそう思ってた。だけど、毎回毎回思うんじゃ不安なんだよ!」
たまたま具合が悪かった……。そんなの聞き飽きた。
思い飽きた。
「なっ……俺が信用できねえのかよ!」
「それは違う!だって両思いで付き合い始めたんだよ!?」
「じゃあ、別れる必要なんてない」
なぜか私の答えに納得した彼は、席に座ってため息をついた。
「もう……めんどくさいんだよ……」
私はボソっと一言、小さな声で言い放った。
「は?」
それを、彼は聞き逃さなかったらしい。
は?そんな聞き返し方ってないでしょ?
私の感情が爆発した。
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最終更新:2010年05月23日 20:15