「ねーちゃん!」
「だ、大貴!?」
ぱっと振り向くと、そこには、
ここにいないはずの弟の姿があった。
「あ、あんたこんなところでなにやってんの!?」
あたしは、びっくりしているのにかかわらず、
大貴はニヒニヒと笑っている。
「ねーちゃん今日一緒にご飯食べようよー」
大貴は無邪気にあたしの手を引っ張っている。
思えば、弟の顔をまともに見たのって、久しぶりな気がする。
あの日から1ヶ月以上経ってるもんね?
「えー、でもおばさんたちが……」
「お母さんがいいって言ってたもん!」
確かに今日ご飯食べてないしなぁ……。
ま、1日ぐらいいいよね!
保険金全部持っていったんだからね。 ←
「じゃー行こうかなー」
「やったー!」
「てか家までわかるの?」
「うん!だってすぐ近くだし」
「そっかー」
意外に近くにあったんだね、おばさん家。
「じゃーあー、しりとりしながら行こー」
「お!いいねー」
そういって、姉弟は夜道を歩き出した。
最終更新:2010年06月25日 22:34