「ただいま!!!!」
ドタドタと大貴はおばさん家の廊下を走ってある一室に入った。
「おじゃましまーす……」
あたしは遠慮がちに靴を脱ぐとそろりと家の中に入った。
「いらっしゃい」
にっこりとした笑顔で、おじさんは迎えてくれた。
「おじゃましてます」
あたしはお辞儀をすると、おじさんに促されてリビングに入った。
「あらぁ、アリスちゃん。いらっしゃい」
おばさんも笑顔で迎えてくれた。
だけど、ちょっと気まずそうにしてるのは気のせいかな?
「あれからアリスちゃんどうなったか気になってたんだ」
「あの、ほら、親戚のうちで?」
保険金のことにふれたくないのか、
お母さんはすこしかみながらいった。
「え、えぇまぁ。なんとかバイトも見つけました」
「そうか、よかった」
「よかったわ、ほんと、心配してたのよね」
おじさんとおばさんはホッと息をはいた。
よく言うよ。保険金全部持ってったくせに。
あたしは少し、イライラしていた。
おじさんはともかく、おばさんは平然を装って気がするし。
「さ、夕ご飯食べましょー。大貴、座ってー」
「はーい!お母さん!」
大貴は素直におばさんに従った。
思えば、大貴はおばさんのことをもうお母さんって呼んでる。
なんか、虚しいなー。
違和感みたいなものが、あたしの心に溜まっていった。
.
最終更新:2010年06月25日 22:34