超甲機神カルデロン

成暦20XX年。地上の楽園であったはずの日本で、“オウム真理教”を名乗るテロ組織によって、大規模な軍乱が引き起こされた。テロリストは独自開発したAT(AssaultTrooper)兵器を軸とした戦術により緒戦を制し、関東地方全域を支配下におさめる。これを受け、政府軍もAT兵器の開発に着手し、AT実験部隊を編成。祖国を危機から救おうと実験部隊に集った志願兵の中には、のちに英雄とたたえられることになる“元武コウ”の姿もあった。実験部隊の活躍で戦線は徐々に押し返された。この“オウム五ヵ年戦争”と呼ばれる戦いは、反乱軍を率いるテロ教祖、麻原彰晃の失踪をもって終幕となった。その後、オウム真理教は壊滅し、伝説となったAT実験部隊は解体。AT兵器によるパワーバランスの崩壊を恐れた大国の手により、AT兵器禁止条約が国連で採択され、全てのAT兵器は廃棄。AT技術者はことごとく処刑された。いつしか人々は戦乱の日々を忘れ、戦後の復興に熱中し、平和な日々を謳歌していた。


――あの事件から十年――


8月30日、終戦記念日。終戦記念式典会場ではチヌ、ホットボルトなどのAT兵器が主機を取り外され、戦争反対のオブジェとして展示されていた。多くの市民が集い、テレビカメラが見守る中、式典は順調に進んでいた。


しかし、全ての行事が終わろうかという時、轟音とともに一機のATが式場に乱入した。これまでのATとは明らかに異なる、禍々しいフォルム。紫色のその機体はブレードを振りかざし、殺到していた市民を虐殺。テレビカメラごしにその映像を見た人々は、戦争は終わっていなかったことを知る。


所属不明のATは日本各地の主要都市や式典会場を襲っていた。確認された機数は全部で七機。そのどれもが未確認の機体だった。謎の襲撃者は破壊の限りを尽くし、人々を恐怖のどん底に陥れた。



未確認機の襲撃直前、ゴンゾウから教え子のもとに一通のメールが届いていた。

『モグラが目を覚ました。第二四格納庫にて待つ』


元日本陸軍スーパーバイザー“加藤ゴンゾウ”の教え子。伝説的なAT実験部隊の生き残りにして、麻原彰晃を追い込んだ精鋭――元武コウ。AT禁止条約とともに分かれた師弟は、十年のときを経て再開する。


封印された鉄扉の裏では、かつての戦乱に終止符を打った機体“カルデロン”が、以前と全く変わらぬ姿で立っていた。TE機関にエネルギーをチャージ――鋼鉄の巨体に再び魂が宿る。


《メインシステム 戦闘モード 起動します》


敵の正体、性能は未知数だ。この“カルデロン”とて十年前の遺物。どこまで渡り合えるかわからない。だが、再び立ち上がった戦士に躊躇いはなかった。





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最終更新:2010年10月16日 16:37