日下部 夢
【日下部春流】
ある動物病院の夜
*自分が日下部に投稿したキャラを使用しています。男主人公です。名前は秋樹〈あき〉です。春ときたら秋かなー・・・という安直な名前です苦笑。男主人公となっていますので、苦手な方はご注意下さい。
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時間は午後9時過ぎ。
診察にやってきた動物達の診療が終了して、自分の病院に入院している動物達の具合も大方確認できた。
秋樹は一つ伸びをして椅子に座る。そのまま机を見ると2つのカルテ。バイトの獣医候補生が気を使って自分が帰る間際に置いて行ってくれたのだろう。
しかし秋樹は二つのカルテを見て眉を顰める。カルテに書かれた名前はボスとオーガ。舌打ちして白衣に入れた携帯を手に取った瞬間、狙ったかのように病院のドアではなく、診察室に直結する勝手口が開閉した音がする。
この勝手口を利用する人間は限られている。振り返り見てみると案の定、日下部春流が2匹を連れて立っていた。
「すまん秋樹。遅れた。」
そんな言葉を無視して秋樹は尻尾を振っているボスとオーガに抱きつき、撫でながら2匹に顔を埋めた。
「ボス、オーガいらっしゃいっ!待ってたよー。相変わらず、うっとりする良い毛並みだねー。」
「秋樹。」
「連絡より3時間の遅刻なんですけど。」
秋樹は憮然とした面持ちで立ち上がり腕を組む。日下部はその様子を見て済まないと言った顔をしながら頭をかいた。
「だから済まないと言っているだろう。」
「いつも言ってるでしょ?春流の仕事柄2時間位の遅刻は認めるけど、それ以上は連絡しろって!」
「あぁ。」
「・・・ふぅ。春流のコーヒーで許す。」
秋樹が大げさに仕方ないといった動作をするのを見て日下部は無意識に柔らかく笑い、2匹のリードを秋樹に渡し、持ってきたコーヒー豆を取り出して秋樹の自宅に繋がる2階へ登っていった。
秋樹はそれを見てからボスとオーガの首輪を外し始める。
「ボスー、オーガー、結局いつもの流れだねー。ま、いいや。さぁさぁフィラリアの注射するよー。」
*
フィラリアの注射をし、2匹を連れて2階へと上がる。そこには心地よい香りのコーヒーが2つ用意され、小さなテーブルの上に置かれていた。
秋樹はソファーに座らず、胡坐をかいてその間にボスを乗せてコーヒーを飲む。ミルクと砂糖が入った自分専用に作られたコーヒーを一口飲んで秋樹は一息つく。
「注射のついでに体調診といたよ。別段異常なし。」
「助かる。何時もすまないな。」
「別に?お仕事ですから。ボスとオーガに会えるしね。」
ねー。と膝の上に居るボスと、日下部の隣に居るオーガに相槌を求めると二匹とも尻尾を振って答える。
「それに春流の様子も見られる訳だし。困ることは何にもないよ。・・・んで?仕事の方は順調?今回はどこまで取材に行ったのさ。」
これを皮切りに2人は途中温め直したカレーを食べながら、お互いの近況を話し合った。
「__それに醤油かけて食べたら、そりゃあ怒られ・・・ん?春流、携帯光ってる。」
日下部は黙って携帯を見る。内容は未来から来た≪シゴト≫メール。確認した後、日下部は携帯を仕舞って食べ終わった食器を流しに置く。
「あ、そのままにしといてー。帰る?」
「あぁ明日予定が入った。朝の内に溜まった洗濯を片付けたいしな…そろそろ帰る。」
ボスとオーガにリードを付け階段を降りる。勝手口まで来た時、日下部は思い出した様に立ち止まって振り返る。
「秋樹。コーヒー挽いておいた。」
「ありがとう。んじゃあそれが注射代って事で。時間が空いた時にでも食事しにおいで。」
「あぁ。おやすみ。」
「おやすみ。ボスとオーガもお休みね。」
1人と2匹が出た後、鍵を閉めて病院の時計を見る。
「うん。いい時間。明日休みだし・・・のんびりしますか。」
時刻は午後11時。
動物病院の明かりが消え、もう一人の男の部屋に明かりが付き、この日の夜は終りを告げた。
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最終更新:2012年05月04日 21:27