システムの構成
コンピュータのシステム構成
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シンプレックスシステム
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1台のプロセッサと外部記憶装置で構成された単一システム
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経済的だが、1つのシステムの故障が全体に影響を及ぼす(信頼性が低い)
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リアルタイム処理にはあまり向かない
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デュアルシステム
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構成機器を二重化して通常は2つのシステムで処理し、結果を照合(red(クロスチェック))しながら処理を進める
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障害が発生した場合、故障したシステムを切り離し、残りのシステムのみで処理を続ける
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システムダウンが許されない信頼性の高いシステムに利用される
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デュプレックスシステム
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主系と従系の2系統を持つシステム構成
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デュアルシステムが両方同時に動いているのに対して、デュプレックスシステムはどちらか一方が主系として動作し、他方が従系として待機状態になっている
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red(ホットスタンバイシステム)
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従系システムに主系システムと同じオンライン処理プログラムを起動した状態で待機しておき、主系に障害が生じた場合、速やかに従系に切り替えて処理を行う
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red(コールドスタンバイシステム)
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通常は従系システムは主系システムと異なる処理を行っていて、主系に障害が生じた場合、速やかに従系に切り替えて主系処理を行う
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マルチプロセッサシステム
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複数のプロセッサを並列に動作させることで処理能力、拡張性を向上させることができる
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いずれかのプロセッサが故障しても、そのプロセッサを切り離して処理を続けることができるので、信頼性も向上する
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red(密結合マルチプロセッサシステム)
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複数のプロセッサが1つの主記憶装置を共有し、1つのOSによってシステム全体が管理されるシステム
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red(疎結合マルチプロセッサシステム)
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共用記憶がなく、プロセッサごとに主記憶装置とOSを持つシステム
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クラスタリング
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複数の独立したコンピュータを相互接続し、全体として1台のコンピュータのように動作するシステム
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疎結合のマルチプロセッサシステムと見ることもできる
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システムの一部に障害が生じても、システム全体はダウンしない高い信頼性を実現するためのシステムなので、大規模なサーバのシステムに用いられる
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タンデムシステム
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1台のプロセッサとそれより小型のプロセッサで構成されたもので、処理速度を高めるために直列にしたシステム
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例:前処理として通信を制御するフロントエンドプロセッサを配置し、後処理としてデータベース管理をするためのバックエンドプロセッサを配置するといったものがある
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それぞれのプロセッサが機能分担をして、処理効率の向上を図っている
システムの信頼性
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RASIS:コンピュータシステムの皇后的な信頼性に対する概念
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R(信頼性)Reliability
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システムが与えられた条件のもとでどれだけ故障せずに昨日するかをいう。red(平均故障間隔(MTBF))で表す。
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A(可用性)Availability
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システムが処理要求に対し昨日を維持している確立、時間の割合をいう。red(稼働率)で表す。
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S(保守性)Serviceability
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システムが故障したとき最小限の時間で稼動できるように予防、修復することをいう。red(平均修理時間(MTTR))で表す。
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I(保全性)Integrity
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システムが故障状態からどの程度修復できるかをいう。
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S(機密性)Security
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不正利用などからどの程度システムを保護できるかをいう。
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信頼性の尺度
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MTBF
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故障と故障の平均故障間隔で、コンピュータシステムがどれだけ長時間、安定しているかを評価する
MTBF = 稼動時間/故障件数
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MTTR
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故障時に要した平均修理時間で、コンピュータシステムが故障したときどれだけ短時間に再生できるかを評価する
MTTR = 不稼動時間/故障件数
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稼動率
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コンピュータシステムがどれだけ稼動したかを評価する
稼動率 = MTBF/(MTBF + MTTR)
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直列システムの稼働率
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各装置が直列に接続しているシステムは、途中のどの装置が故障してもシステム全体の故障につながる。→ 装置を直列に並べるほど信頼性は低下する
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装置nの稼働率をPnとする
全体の稼働率 = P1 × P2 × …… Pn
フォールトトレランス
コンピュータシステムの故障や誤操作などの人的な失敗が生じた場合でも、停止させることなく常に稼働状態を保つ技術をいう
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フェイルセーフ
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システムの障害が生じた場合、安全な状態でシステムを停止させる技術をいう。
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例:アプリケーションのアンドゥ(取り消し)
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フェイルソフト
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システムの障害が生じた場合、システム全体が停止しないよう影響を受けた部分を切り離すことで、処理を続行しようとする技術をいう。
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機能は低下するが、障害が最小になるようにするred((縮退運転))
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フールプルーフ
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ユーザが意図しない使い方をしたり、誤った操作をしても、システムが停止したり、異常終了しないように設計段階で安全対策を施したものをいう。
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ミラーリング
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故障に備えて2台以上の磁気ディスク装置を用意し、すべてのディスク装置に同一データを書き込むことで信頼性を高めることをいう。(RAID1)
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red(RAID)
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複数のハードディスクを並列に結合し1台のハードディスクとして使用することで、高速で大容量かつ信頼性を高める技術をいう。
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高速性と信頼性により、RAID0からRAID5までの6レベルがある。
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RAID0
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データを複数のディスクに均等に振り分け、同時並列で記録することで、高速化を図る方式。ストライピングともいう。
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RAID1
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ミラーリング、またはデュプレックスともいう。2台のディスクに同じデータを同時に記録することで、信頼性の向上を図る方式。
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RAID2
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ビット単位に分割されたデータとハミングコードという誤り訂正符号のパリティがディスクに分散されて記録する方式。
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RAID3
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RAID2と同様だが、パリティは専用のディスクに記録する方式。
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RAID4
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RAID3と同様だが、分割したデータをブロック単位で記録する方式。
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RAID5
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ブロック単位に分割されたデータとパリティが複数のディスクに分割して記録される方式。
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無停電電源装置(UPS)
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電池や発電機を内蔵し、停電してもしばらくの間システムを稼働できるようにした装置をいう。ユーザは電源が供給されている間に安全にシステムを終了することができる。
システムの性能評価
コンピュータシステムの代表的な性能評価として、次の3つがある。
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レスポンスタイム
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データ入力が終了した時点から出力開始までの時間で、応答時間とも呼ばれる。
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レスポンスタイムが短いほど性能は高いという評価になる。
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ターンアラウンドタイム
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ジョブを出してからすべての結果が出力されるまでの時間をいう。
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ターンアラウンドタイムも短いほど性能は高いという評価になる。
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スループット
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単位時間当たりの処理能力をいう。コンピュータ処理におけるジョブ数や、通信回線における実効速度などがある。
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スループットは高いほど性能も高いという評価になる。
ベンチマークテスト
実際に使用する環境のもとで、コンピュータを実行させたときのハードウェアやソフトウェア性能を評価するテスト。
TPC
実環境のもとでのコンピュータの実行速度の性能指標を明示する非営利団体。トランザクション処理性能協議会ともいう。
性能評価に使用する単位tpm(Transactions Per Minute)
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TPC-C
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トランザクション処理システムの性能指標を示すもの。
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オンラインで端末からホストへ処理要求を出してから処理結果を端末に送り返すまでの処理のOLTP(オンライントランザクション処理)の性能評価で使われる。
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単位は一分間に処理できるトランザクション数tpmCで表わす。
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TPC-D
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意思決定システムの性能指標を示すもの。
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単位は一分間に処理できるトランザクション数tpmDで表わす。
1秒間に処理できるトランザクション数 = (求める処理のMIPS値×その装置の使用率)/1トランザクションの命令数
SPEC
UNIXで動作するコンピュータの実行速度の性能指標を明示する非営利団体。
OSGにおける整数演算の性能評価をする red(SPECint) や、浮動小数点の性能評価をする red(SPECfp) はCPUの性能評価として広く使われている。
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OSG
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HPG
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大規模なコンピュータや高性能なコンピュータの性能評価をする部門。
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GPC
最終更新:2009年08月24日 23:19